LGBTを読みとく ──クィア・スタディーズ入門 (ちくま新書) [Kindle]

著者 :
  • 筑摩書房
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感想・レビュー・書評

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  • 溢れる読書案内。
    バトラー読まなきゃ!
    読み返したい、教科書的な位置付け。

    ただしカバーされていないセクシャルマイノリティの属性もいくつかあると思った。(アロマンティックやノンバイナリーなど)

  • セクシュアル・マイノリティの入門書.この分野を学ぶ人の必読本.教科書としても使える本.

  • これまで人種に関する勉強を続けてきて、人種と性については不可分で深く結びついていること、これまで生きてきてぼんやりとしか知識を持っていない性についてしっかりと学びたいという思いから、まず手に取った一冊。

    結論から言うと、初学者であり、ジェンダー/LGBTについて学び始めた自分のような人にとっては非常に良書だった。
    「LGBT」と聞くと、「ああセクシュアルマイノリティの人たちの事だな」と容易に連想するが、一方でそれ以上考えたことがなかった。
    「自らの性別をどのように捉えているか」と「どのような人を性欲求の対象にするか(あるいはしないか)」は全く別の問題であり、まずはここの理解から始まる。
    また、そのようなセクシュアルマイノリティの人々が社会からどのように区分けされ、差別され、それでも対抗してきたか、時にはセクシュアルマイノリティ内での差別にも焦点を当てており、如何に私たちの社会が「普通」を押し付け、当事者の事を「分かった」気になっているのかについて、自分自身も内省しながら読み進めた。

    そう、LGBTは正に「読みとく」必要があるほど複雑であり、単純化してはいけない。
    ではLGBTはややこしいだけの学問なのか?と言われるとそうではない。
    基盤にはクィアスタディーズというしっかりとした視座があり、LGBTを知るだけではなく新しい視点を身につけることができる。
    読んで終わりではなくて、日常に触れる情報、子供や家族との関わりにおいてもこの視点を加えていこうと思えた。

    また、本書の構成はこれから社会学や学問を始める上での大切なメッセージが多分に散りばめられており、構成の優れた1冊になっている。
    ゼミや読書会はもちろんの事、たくさんの人に読まれることを願う。

  • 「LGBT」を手がかりとして、性の多様性を理解する方法を説いた本。

    本書はセクシャルマイノリティについて正しく知るための最初の一冊であり、さらに理解を深めるためのガイドブックにもなります。

    本書を読んで、性の多様性について自分がいかに上辺だけの理解しかしていなかったのかを痛感しました。まずは正しく理解することから。

  • セクシュアル・マイノリティについてほとんど知らないところからクィア・スタディーズの門戸を叩くのに有用な本だと思いました。正直クィア・スタディーズの5つの基本概念については今まで聞いたことがありませんでした。章ごとにその章の目的が整理されていること、また本書末に少なくない数の文献案内がされていることが良かったです。

  • LGBTなどを代表とする、世間での「性」に関する問題について理解するために必要な最低限の知識が書かれています。
    なかなかに骨太な内容ですので(この学問が)、準備編として丁寧に紙面を割かれて、難解な部分を説明されています。それを踏まえての入門と応用編とに構成されています。歴史的に何があって今があるのか。世界の思想的な潮流も踏まえたうえで見ていくことで、背景から知ることができるようになっています。
    この問題については、これからの時代、知っておかなければならないし、その一歩としておすすめできると思います。
    「性」にまつわる世間の対応について、歴史的にその背景を知ること、その構造的な理解をすること、それを知らない人間による無責任な差別がなぜ起こっているのかを知ること。自分とは違う他者と共存して生きていくために必要な知識は、まず宗教だと思っていました。それと同じくらいに本書の知識が重要だと思います。

著者プロフィール

作曲家、社会学者。1982年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士課程単位取得満期退学。第22回朝日作曲賞受賞。第13・18・20回朝日作曲賞佳作受賞。大学院生時代には東京大学コーロ・ソーノ合唱団の学生ピアニストとして松本望氏の合唱組曲『むすばれるものたち』の初演に携わった。作品はBRAIN MUSIC、音楽之友社、教育芸術社、Pana Musica、カワイ出版から出版されている。現在、早稲田大学文学学術院准教授。社会学者として大学での研究、教育もおこなっている。

「2023年 『混声合唱とピアノ連弾のための組曲 いつか必ず光は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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