- Amazon.co.jp ・電子書籍 (215ページ)
感想・レビュー・書評
-
現代の純文学私小説、と感じた。
狂気、エンタメへの渇望、笑いをやりとおす人の正義と愛、認められない悔しさ、社会の折り合いへの反発。
後半にいくにつれ、カイブツが見えてくる。
主人公を潰した「業界」は、くしくも映画が話題になっている2024年現在、その歪みが摘発されつつある。
同時代の人が書いた私小説(しかも、プロフィールを見たら同い年だった)は、近すぎて苦手なのだけど、はまった。
痛くて読めなくなる直前、自己愛と挫折、絶望が、ぎりぎりのところで表現されているからだろうか。
発売時、書店で装丁が印象に残ったのを覚えている。
でも、タイトルから、いわゆる「業界」的な売れっ子の話かと思って、手にとらなかった。
テレビとかでもてはやされる、「さすがこの人、カイブツですわぁ」みたいな、外向き破天荒なかんじを想像していた。
だから読んでみて、本当にカイブツやってたんじゃん、この人と思った。
ここまで振り切れる人は、なかなかいない。
めちゃくちゃ辛そうだけど、こんなに時間と自分の力を、愛する表現に振り切れたら、どんなに幸せだろうと思ってしまった。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
笑いにストイックに生きるには、こんなにも人生を捧げることが必要なんだなぁ。
笑いだけじゃなく、何かを突き詰めるというのは、このくらいやらないとダメなのかもしれない。
反面、興味あることだけ突き詰めて、他の部分が疎かになってしまうと、社会人として生きるのは難しいと考えさせられる内容もあった。
コミュニケーションは一番大事ですね!