- Amazon.co.jp ・電子書籍 (238ページ)
感想・レビュー・書評
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広報という仕事は何か、を調べていたらこの著者に行き着いたもの。戦略PRという本を読みたかったが、オーディブルでこちらがあったため、こちらを聞いてみた。
戦略PRって戦略マーケティングと極めて近い発想だなと感じつつも、戦略マーケティングとの違いってなんだろう、とちょっとまだモヤモヤ感が否めない。
ただ、著者の言っていることはとても平易でわかりやすくなるほどと思うことが多かった。
アカデミックな領域でPRってあるのだろうか?調べてみようと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いま起こっているのは、「買う理由」同士の戦いなの
情報洪水と消費飽和の時代には、商品そのものの差別化はおのずと難しくなる。「物欲」のあり方も変わる。生活者の可処分時間の取り合いが激化し、「敵」は同一カテゴリー内のライバルとは限らない。だから、商品やサービスそのものよりも「買う理由」のほうが重要
「商品をつくる」よりも「買う理由をつくる」 画期的な商品の企画はもちろん重要だが、同時に、画期的な「買う理由の企画」も同じくらい大事になってくるはずだ。
属性順位転換を起こすこと、すなわち「いい○○」を再定義することで、新しい「買う理由」が生まれるの
同じ商品カテゴリーなのに、なぜ「売れるもの」と「売れないもの」が生まれるのか?—それは「商品力」や「宣伝力」の問題ではない。その商品が売れるための「空気」ができているかどうか、だ。商品を売るためにつくり出したい空気=「カジュアル世論」をつくり、売上につなげる。それが「戦略PR」
インターネットの普及により情報コンテンツの主役が企業から消費者へと移行する中で、「オレがオレが」という企業発信の情報よりも、報道情報やクチコミの影響力が増していった ということ
SNSでつながった生活者は、共通の趣味や価値観などが同じ「関心グループ」でのやりとりを増やしていった。スマホによって情報入手はパーソナライズされ、情報流通は限定的になった。社会の興味関心はミルフィーユのように多層化して
戦略PRは何のためにやるのか。なんらかの情報を世の中にばらまくためではなく、人の行動を変えること─ビヘイビアチェンジを起こすことこそが、その目的
対象となるのは「なかなか変わらない定着した習慣や思い込みによる行動」であり、それを変えることこそ「ビヘイビアチェンジ」である
商品を売りたいという「あなたの関心」を、広い世の中の「みんなの関心」、そしてその商品を使う人の「生活者の関心」とどう結びつけていくか。これがポイントとなる。
いきなり生まれる社会関心なんてない」ということだ。急に話題になったように思えても、その裏には何らかの潜在的な流れがあったりする。この社会関心マップでいえば、PRする関心テーマが「顕在していてターゲットが高関与」な状態が理想だ。そこにどう持っていくか。そこにはいくつかのシナリオが
本来PRの仕事とは、社会やあるコミュニティの中に、新しい「合意形成」を生むことです。
これが、最初の要素「おおやけ」だ。 重要なポイントは大きく2つ。「社会インサイトの見極め」 と「ソリューションの有言実行」 だ。インサイトは「洞察」などと訳されるが、社会を深く洞察し、多層な社会課題をとらえることができるか。それに対するソリューション(解決のための施策)が明確に提示され、かつ有効性を持ったもの -
1)『驚きの白い』が消費者が求める像であった洗剤に
2)洗濯物には雑菌があること、洗濯物を取り込んだ手でそのまま料理すること、などのデータを提供し、問題意識を提起することで
3)『除菌』というニーズをつくりあげること。
1)『コンパクト』『軽い』が消費者が求める像であったベビーカーに
2)ベビーカーに乗る赤子の衝撃の大きさなどのデータを提供し、問題意識を提起することで
3)『段差を乗り越える大きなタイヤ』というニーズをつくりあげること。
タイトル小手先の戦略の話が盛り込まれていると思って本を開いたが違った。
自分が想像していたのは『広告』の世界だった。
戦略PRは、社会に問題意識を提起すること、新たなニーズを生み出すこと、その戦略だったのか。
目からウロコ。大変面白かった。