イノセント・デイズ（新潮文庫） [Kindle]

著者 : 早見和真

• 新潮社 (2017年3月1日発売)

感想・レビュー・書評

[しのさんの感想 · 2021年2月6日]

正義は一つじゃないかもしれないけど、真実は一つしかないはずです
放火殺人で死刑を宣告された田中幸乃。彼女が抱え続けた、あまりにも哀しい真実――

田中幸乃、30歳。
元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪により、彼女は死刑を宣告された。
凶行の背景に何があったのか。
産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人など彼女の人生に関わった人々の
追想から浮かび上がるマスコミ報道の虚妄、
そしてあまりにも哀しい真実。
幼なじみの弁護士は再審を求めて奔走するが、彼女は……。

読んだのを忘れて…購入してしまいました。再読です。
結末はプロローグで予想できたものの、そこに至るまでの幸乃の人生。
幼い頃から大人になるまで関わった人々。
幼馴染・中学の親友・義理の姉・元恋人の友人…。
彼女の人生の節目に関わった人々がそれぞれの章で、幸乃との思い出を
思い出し幸乃の人となりが少しずつ少しずつ明らかになっていった。
とても重い内容で読み応えがありました。

あのまま山手でお父さんお母さんお姉ちゃんに囲まれて暮らせていたら、
どうなったんだろう…。
全く違った性格になって全く違った人生になったんだろうって
思わずにはいられなかった。
祖母が憎かった(*`Д´*)
切なさ・悲しさ・怒り・圧倒的な孤独…色んな感情が湧きました。
そして最後まで重かった。
苦しさが止まらないです。
読了後も暫く考え込んでしまった。
暫くは頭から離れないんだろうなぁ。

結末はプロローグで予想できたと書きましたが、
読み進めるうちに、もしかしたらこちらの想像を超える
大どんでん返しがあるのではと、期待してしまいました。

余りにも辛い。
幸乃を救ってあげたかった。
彼女に生きる希望を持って欲しかった。

[ストレンジャーさんの感想 · 2023年3月19日]

すっきりしない読後感という、他の方の感想を見て内容が気になり、だいぶ前に購入し、途中で棚上げされてた作品。ようやく読み終えましたが、物語中盤に田中幸乃の人物像が浮き彫りにされてきて、そこから、大きく展開することなく終了。うーん、自分には合わなかったかな…どんでん返し的なオチもなく、同作者の店長がバカすぎての方が秀逸なミステリー感あったかな。相手の見えている部分、自分に理解できる範疇でのみ人を見てしまうのは大変危険であることはわかるが、相手に理解してもらうよう、想像力を働かせていくことが生きやすい世界の構築につながっていくと思う。大人になる前に必ず身につけておかなければならない、能力はやはり想像力なのかもしれない。

[nagasakafujioさんの感想 · 2021年1月31日]

まだ　本書を　読んでいない方は　読まないでください。

「店長が　バカすぎて」「ロイヤルファミリー」を読んで、

早見さんの　初期作を　読んでみようと思い

手に取りました。

読後の感想は

読まなきゃ　良かったです。

基本　ハッピーエンドが　大好きなので。

ええ　死刑執行ですか。

最後は　死刑中止となると思って　祈って

いっきに　読んでしまいました。

でも　幸乃さんにとっては　

死刑のほうが　幸せだったのでしょうか。

もし　死刑を　免れても

今後　幸せになる　保証は　無いですからね。

でも　私は　生きて　なんぼだと思っています。

現実は　厳しいですが。

幸乃さんが　いなくなって

ほっとした人たちは　幸せになったのでしょうか。

一生　罪と　戦うことになるでしょうね。

最後に　翔くん　最初　カッコよかったのに

最後　カッコ悪い。

皆さんは　どのように　思いましたか。

映画化もされているということで

ぜひ　見てみたいです。

[花子さんの感想 · 2023年7月2日]

苦しかった。
間に合って欲しいと思いながら読み進めた。

[taka_2さんの感想 · 2022年5月7日]

30歳女性が元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪で死刑宣告されるところから始まり、その女性の半生を様々な人の視点で振り返りながら、どういう動機で犯行に至ったかという、女性の内面を深くえぐる物語。
読み手を「放火殺人は絶対悪」というところから違うところへ導いていくような展開。人を一面からしか見ないと見誤るよという警告のようにも受け取れる。いつも見ているあの人は、こういう人だと決めつけているかも知れないけど、別の角度から見たら実はあんな側面やこんな側面もあるのでは？と気づかされる話。
まあでも正直救いのない話なので、気分が落ち込みました。。

[土瓶さんの感想 · 2021年1月25日]

とても辛い悲しいお話でした。

[takahiroさんの感想 · 2023年7月13日]

帯にあるとおりあまりに凄まじい衝撃でした。たった今読み終わってへとへとになっています。あと1日早く告白してくれていれば、口を塞がれるのがあと数分遅ければ、悔やんでも悔やみきれません。最後の言葉どおりこの後にどれほど怖いことが起こるのかもしれませんが、それでも生き続けて欲しかった。薄っぺらな裁判、軽薄なマスコミ、ご都合主義の警察捜査等にはもう怒りを通り越してがっかりするしかありませんが、それにも増して不条理と偏見に満ち溢れた社会の中で私自身も同じであることに愕然としました。哀しみで胸が塞がれた読書でした。

[みさんの感想 · 2022年8月19日]

どこかで歯車がちょっとでもずれていれば…。何だかやりきれない気分になる。
海外ドラマでは直前になって、新事実が？！中止だ！なんてシーンもあるのに、そんなご都合主義の展開ではなかった。
重い内容だったが、引き込まれた。

[harutomo0307さんの感想 · 2020年5月21日]

死刑判決が下された女の子の、
それまでの生い立ちや人生、事実を解き明かしていく物語。

これは感想が難しい。
まとめるのに時間が必要だなという感じ。

間に合ったのか、間に合わなかったのか。。。
主語により結果が変わる。

主人公の幸乃のような人が、これ以上いなくなることを願う。

[neneさんの感想 · 2018年8月8日]

裏切られ続け、他人の罪を被せられ、救われない雪乃ちゃんが不幸すぎる悲しい物語。

裏切られても人を信じることをやめず、必要とされることに価値を見出し、そして必要としてくれる人に見捨てられることが死ぬよりずっと怖い、と死刑を受け入れ、微笑んで死んでいった雪乃ちゃんの儚さがとにかく悲しい。

なんでも膨張して話が伝わり、180度違うものに捉えられて、いろんな人に誤解されたまま拡散される、恐ろしいですホント。人間こわい…；ー；
虚しいっていうかやるせないっていうかスッキリしない、そんな読後でした。

著者プロフィール

1977年神奈川県生まれ。2016～2022年に愛媛県松山市で執筆活動に取り組む。現在は東京都在住。2008年に『ひゃくはち』でデビュー。2015年に『イノセント・デイズ』で第68回日本推理作家協会賞、2019年に『ザ・ロイヤルファミリー』で山本周五郎賞とJRA馬事文化賞を受賞。その他の著作に『95』『あの夏の正解』『店長がバカすぎて』『八月の母』などがある。

「2023年 『かなしきデブ猫ちゃん兵庫編　 マルのはじまりの鐘』 で使われていた紹介文から引用しています。」