卵の割り方や、靴のヒールの高さなど、あまりにも馬鹿げた理由で争う小人の国のひとたち。小さな世界で、我こそが正しいのだと疑ってやまないその愚かさは失笑してしまうほどくだらないが、その取るに足らない理由で小人たちは殺し合うのだという。
小人とはなんて愚かな生き物なんだろう。小人の国とは違って人間の国は優れている。そう思うとき、果たして、人間の世界と小人の世界のそれの、なにが違うと言えるのか言葉に詰まる。むしろ、愚かなのは、小人の世界を鼻で笑う自分達にこそあてはまるのではないか。
場面変わって、巨人の国での別の話。小人の国とは逆転し、巨人たちから虫けらのごとくバカにされる主人公。自分たちは虫けらなどではないということを証明するために、人間の歴史を王様に自慢げに説明する。しかし、人間の叡智を披露したつもりが、お前たちはそのように愚かな理由で殺し合うのかと呆れられてしまうことに。
海の向こうの知らない世界。それは夢想にあふれた不思議な世界。「知らないこと」にわくわくしながら、分かったつもりになっていた「知ること」の意味を問い直す。ファンタジーの神髄ここにあり。