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感想・レビュー・書評
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神経科学者デビッド・イーグルマンの「The Brain - The Story of You」(2015)の翻訳版の文庫版。
アメリカのPBSで放送された6回シリーズの脳を解き明かす科学番組「The Brain」の書籍版という位置づけの本でした。この番組、日本でも見られたのかな?見られるのかな?
とてもおもしろい本でした。私達が生きていくときに、外部からの情報を得て、判断し、行動を司り、そして「自己」という「意識」をも持っている脳。頭蓋骨の中に収まっていてる「脳」は、自らは見たり感じたりしないのに、様々な情報を外界から得て、判断し、記憶し、次の行動指令を出すもの。でも、末端の現象を見ると、ニューロンという細胞の電気信号のやり取りでしかない…。
脳というものの、不思議な性質の解説と、その性質を知った上での今後の話が書かれてました。読みながら、攻殻機動隊などのSF作品で描かれる「電脳」とか「義体化」の実現性なんかを考えたりしていました。神経科学者たちは、未来の脳の姿として、そんなSFの世界まで視野に入れて研究を続けているんですね。
今後の脳に関する科学的な情報にアンテナを立てておかなくては、と思わせてくれた本でした。
以降、私がこの本を読みながら書いたメモをそのまま貼り付けておきます。単なるメモだから網羅じゃないよ。
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・脳は、可能な限り省エネで自動運転しようとする。予想外のことが起きた時に、活動が活発になる。
・動物の子供がすぐに動けるのは、すでに全てのことがプログラミング済みであるから。人間の脳は未完成。後から学習によってプログラムを作り上げるようにできてる。可塑性。
・見ているものは、すでに過去の世界。感覚器官から来た信号を脳が整理してから、見ている、と感じているから。
・事故の瞬間、スローモーションになるのは、その状況で体がフル回転して得た情報を、思い出そうとした時、情報量が多すぎて普通のスピードでは再生できないだけ。
・意識とは。大会社のCEOのようなもの。普段は末端の仕事には関与しないが、会社として統一体として長期展望を持っているもの。
・ボトックス注射(美容)…筋肉を麻痺させることによってシワをなくす。
ボトックス注射をしている人は、他人の感情を読み取りにくくなる。…ひとは、他人の表情をミラーリングする(自分でも筋肉を動かしてみる)ことによって共感しているから?
・虐殺
人間は、他人との関わりがなくなると、痛みを感じる(痛みを感じる脳の部分が反応する)。そのため、「内集団」を作り、共感する。
逆に、「外集団」に対しては、「非人間化」する。
E症候群…感情と共感を感じる脳の部位が意思決定に関与しなくなった状態。
・人工の視覚、聴覚
脳は機械から与えられる信号を、少しずつ学習していく。
新たな入力機構にも対応する可能性がある。
視覚イメージを触覚な舌への電気刺激などで入力することも可能。
eagleman.com TED VEST
・脳炎の4歳の女の子、2007年に脳の半分を取り除く手術を受けた。影響は少なく、勉強も、スポーツもできるようになった。可塑性。
・脳をとっておく、脳の構造をすべて解析する、
脳と同じことができるマシンを作る。iCub。…でも違う。指示されたことが出来るということと、自分でネットワークを作って行くことは違う。
・脳を電子回路にアップロードできるか?可塑性?
(素子?タチコマ?)
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日経の記事で紹介されていたので、読み始めました。BBCのテレビ番組を基に、この本が作られたようです。未来についての適切な意思決定を躓かせるもの、それは現在である。複雑な動きをする脳についての物語。興味深い内容なのですが、なんとなく読みにくいのは(すっと理解できないのは)、私の脳がそもそも良くないのか(笑)、翻訳が練れていないのか、★三つです。
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意識は傍観者である。主体は無意識である。これが脳科学の出した結論なら、その個人(無意識)の行ったとこはどこまでその個人(意識)の責任なんだろうか?なんて考えている主体である私(意識)は、本当は主体ではなく、きっと無意識に突き動かされてそう考えているんだろう?