二階の王 (角川ホラー文庫) [Kindle]

著者 :
  • KADOKAWA
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  • 日本ホラー小説大賞優秀賞受賞作

    引きこもりの兄を抱え人生に悩む朋子と世界を滅ぼす「悪因」を探す探索者の2つの物語が同時進行する。
    朋子パートは不気味な兄の存在と次々と身の回りに不吉なことが起きていくジャパニーズホラーテイスト。
    一方探索者パートはまさに和製クトゥルフ!という感じ。
    全くスケールの違う2つの話がやがて収束していく様は圧巻です。
    ラストの展開は予想外だった。
    え?あんたそうだったの・・・?!って感じ。

    そして何より古来より「深淵(アバドン)」「暁の子(ルシファー)」「王(バアル)」などと呼ばれていたと言われる「悪因」
    が本当に「王」だったのは意外中の意外だった。

    ホラー小説だけど怖いというよりは面白い小説だった。
    クトゥルフ好きな人にはお勧めです。

  • 面白かった。二篇収録されています。二つ目は「二階の王」の前日譚になっています。
    共通しているのは、「自分の知っているはずの家族が、人間でもない’何か’になっている」という怖さです。
    引きこもりという題材は、それを描くのにかなり適しているなと「二階の王」を読んで感じました。

    作中で登場する主人公の兄は、何年も引きこもっています。家族は数年間言葉を交わせず、姿さえ見れない状態です。しかし、生活音が聞こえるために「兄は変わらず暮らしている」と思っている…というより思い込んでいます。しかし、それが見知った兄ではないとしたら…。

    小説冒頭で描かれる一家と引きこもりの兄の描写は、ごくごく普通の小説に出てくるようなものです。それだけに、読み進めていくうちに語られる、世界観や’兄’の正体とのギャップに引き込まれました。

    引きこもりという題材を軸に、このような話を作れるということにも驚きましたし、日常生活にある様々なものがイメージを膨らませることで一つの作品になるような世界を作れるのだと、ある意味思い知らされるような作品でした。

  • 発想はいいと思うのだけれど、最期まで入り込むことができなかった。

  • 30歳過ぎのひきこもりの兄を抱える妹の苦悩の日常と、世界の命運を握る“悪因”を探索する特殊能力者たちの大闘争が見事に融合する、空前のスケールのスペクタクル・ホラー!二階の自室にひきこもる兄に悩む朋子。その頃、元警察官と6人の男女たちは、変死した考古学者の予言を元に“悪因研”を作り調査を続けていた。ある日、メンバーの一人が急死して…。第22回日本ホラー小説大賞優秀賞受賞作。

  • めちゃくちゃ面白かったんで二回読みました。

    一緒に生活しているものの、「引きこもり」のため姿を見ない兄が実は……

    彼の正体がわかるまでが怖かったし、楽しめた。正体判明後、異形たちがわんさか出てくるようになると違う意味で楽しい。

    登場人物欄の「ウェンディゴハウス」でかなり笑わせてもらった。

  • 冒頭からストーリーの引き付け度が強く、先がどんどん気になって、なかなかやめ時が見つからずほぼ一気読み。小説というより、漫画に近い展開。最後にはちゃんと仕込んだ伏線も回収して、うまく収める。後半は少しネタを大きくし過ぎた感もある。気になって、「悪魔を憐む歌」を調べた。

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著者プロフィール

(なばり・いずみ) 1970年、東京都生まれ。明治大学卒業。現在、会社員。本作『二階の王』で第22回日本ホラー小説大賞〈優秀賞〉を受賞し、デビュー。ほかの著書に『マガイの子』『噴煙姉妹』がある。

「2023年 『七人怪談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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