20 センチュリー・ウーマン [DVD]

監督 : マイク・ミルズ 
出演 : アネット・ベニング  エル・ファニング  グレタ・ガーウィグ  ルーカス・ジェイド・ズマン  ビリー・クラダップ 
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988021146463

感想・レビュー・書評

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  • 『サム・サッカー』『人生はビギナーズ』のマイク・ミルズ監督の自叙伝的作品。

    もうはじまって一分もたたない内からこりゃ好きな作品だわーと確信。その確信は揺らぐことなくラストまで続いた。

    1979年という、私自身が生まれた年が舞台ながら、なぜかとても懐かしかった。登場人物達が過去を回想する形でのナレーションのせいもあるし、私が今まで観たこの時代の空気を纏った映画達の記憶のせいかもしれない。

    バンドの曲のタイトルからもじった『20センチュリー・ウーマン』という言葉通り、20世紀を生きた女性達が生き生きと描かれている。こういう女性達に育てられたらこういう映画を撮るような人物ができるのか、と思った。役者さんもすきな人ばかりで歓声をあげてしまった。

    人をジャッジせず温かく見守るような空気と、おもわずくつくつと笑いたくなるようなユーモアが、映画が終わった後もハッピーな余韻を残してくれる。

    アカデミー賞の脚本賞受賞。

  • 夫と離婚し、1人で子育てをする母親ドロシー(アネット・ベニング)は、年頃の息子ジェイミー(ルーカス・ジェイド・ズマン)を持て余している。

    そこで、彼女が管理人をしている下宿に暮らす写真家アビー(グレタ・ガーウィグ)と、ジェイミーの幼なじみのジュリー(エル・ファニング)に、息子を支えてくれるようお願いする。

    彼女たちがそれを引き受けてくれたはいいが、ジェイミーは彼女たちから、とくにアビーからフェミニズムの薫陶を受け、ジェイミーは女性についてあけすけな発言をするようになる。

    ドロシーは、息子がある意味では母親という存在を知るためにフェミニズムに傾倒しているにもかかわらず、そんな息子に戸惑い、関係がギクシャクし始める。

    とはいえこの母子関係だけが問題なわけではなく、アビーもジュリーも一風変わっていて、それぞれに心的な問題を抱えている。もうひとりの同居人ウィリアムだけが、ちょっとどこか悟ったふうで自己完結している。

    そんな5人のちょっと滑稽な関係が、ドロシーの生まれた20世紀前半からの歴史とともに語られる。ドロシーが世紀の終わりに肺ガンで死ぬことはあらかじめわかっている。

    けど最後までジメジメしてなくて風通しのよい映画だった。なんというか、飄々と事件が起きていく。

    本作はもう何はともあれ女優アネット・ベニングのかっこよさに尽きる。彼女演じる母親は、つねにタバコを手放さず、いつも煙たそうにしていて、いつも率直な物言いをする。ちょっとやそっとじゃ動じない(ほんとは繊細なんだけど)。きほん寛大なんだけど、息子のこととなるとまごついてしまうところがまたチャーミング。

    他の俳優もなかなか良かったけど、この人の演技にさえ魅了されれば、本作の大半を楽しんだようなもの。

  • 舞台は70年代後半、アメリカのカリフォルニア・サンタバーバラ。高齢出産と離婚を経験したシングルマザーのドロシーとその15歳の一人息子ジェイミーの母子。近所に住む幼なじみのジュリー17歳、そしてパンクを愛すフォトグラファーのアビー(多分20代後半という設定?)という二人の女性に見守られ息子の成長とそれを見守る母の葛藤を描く。
    パンクを愛し、髪を赤く染め、フェミニズムに傾倒するニューヨーク帰りのアーティスト、アビーを演じるのはグレタ・ガーヴィグ。ジェイミーをクラブに連れていき、ただ自分のために踊ることを教える。
    エル・ファニングが演じるジュリーはセラピストの母を持ち、セラピーに毎度参加する、でもっていろんな男と寝る自己破壊的な女の子。
    ただ15歳の男子ジェイミーとは同じベッドで添い寝するだけっていうのはなんとも酷。

    開始30分くらいで、ジュリーは彼氏が避妊してくれなかったり、アビーの子宮の問題が発覚したり、という事件がバタバタ発生して結構ついていくのが大変。15歳男子の周囲でこんないろいろあるんだろうか?(僕の場合はもっとくだらないことばっかだったので・・)
    2時間弱の映画ですが、フェミニズムも含め結構複雑なテーマが突然に降ってきて、脳がオーバーフローしかけて休み休み観ました。

    第二次世界大戦を経験し、1999年に没した母ドロシーはまさにタイトル通りの20センチュリー・ウーマンか。
    戦闘機のパイロットとなるべく訓練を受け、戦後の大いなるパラダイムシフトを経験し、タバコを愛し、製図を生業として男性社会で働き、結婚・出産後に離婚をし、その後も自らの脚で立って、息子を育てた。
    息子の時代との価値観の違いに戸惑い、彼が自分と離れていくのを日々感じながら、アビーにパンクやクラブの教えを請い、理解をしようとする。
    軸が動く時代だからこそ、自分の頭で考えることを重視し、かつ他者への安易な否定を躊躇した。前時代的でもあるが、尊敬できるキャラクター。
    パンクを愛し、写真を愛し、フェミニズムに共感し、大人の女性っぽく振る舞いながら、ちょくちょく過激すぎてわけわかんなくなっちゃう、魅力の塊であるアビーや、自己破壊的な行動でしか親の束縛から逃れられないジュリーも、複雑で葛藤し自らを探した多くの女性と同じ「20世紀的女性」なのかも。

    上手く話せなくなっていく母子の関係が時に観ていて苦しい。
    母が自分ではうまくあなたを育てられないといったとき、ジェイミーは「そう、、でも僕は母さんと僕がいれば大丈夫だよ。。」といった。その一言が彼女にとっての救いなんだろうか。
    複雑で矛盾しててひねくれた思春期と、世代と価値観の違いに苦しむ一人の女性と。極めて等身大な映画で、それゆえに咀嚼がしんどい部分もあるけど。ただ、自分と異なる世界に揺さぶられてこそ観た意味があるよね、と思える、よい映画です。

  • かなり 淡々とした映画だった1979~1990年代くらいの
    シングルマザーで その時代の様々な年代の同居人と協力しながら15歳の息子を見つめてゆく 妙でクールな物語
    息子役の俳優は可愛かったね 素直で 男の子は母親想いなのかもね 母親は心を開かない そんな時代の女性像だったのかな?ストーリーという内容よりも その時代の雰囲気が優しく描かれた 特に面白い映画ではなかったが、スーと心に入って退屈せずに観れてしまった

  • 成長する息子に戸惑いを覚えながら、否応なく自分に
    向き合うことになるシングルマザーを演じる、
    アネット・ベニングが素敵でした。

    しわくちゃな顔(美しい!)がコロコロと表情を変える。
    いつの間にか幸せを感じることも、恋愛にも消極的な
    自分に向き合っていく様を自然体に演じていてさすが。

    周りに集う個性的なメンバーも魅力的。

    子宮頸がんを患う写真家を演じたグレダ・ガーウィグの
    フェミぶりとこじらせ感も良かった。
    のちに「レディバード」ではアカデミー監督・脚本賞に
    ノミネートされており、今後が気になる。

    エル・ファニングは「ネオンデーモン」や「ジンジャーの朝」
    などが記憶に新しく、大人になりかけ世代を印象深く
    演じている。タイトル通り、女性が素敵な映画。

    あ、息子役の子もとってもキュート!でした。
    あのまま育って欲しい。奇跡のままで。

  • 15歳の少年と、20世紀を生きる3人の異なる世代の女性。PG12だけど、12歳以上でも20世紀を生きたことのない人には、この映画はなかなか響かないのでは。
    インターネットや携帯電話はわたしたちに莫大な情報と新しい価値観をもたらしてくれたけど、合理性をよしとする文化が生まれたような気もする。

    上の世代にはまだ消費は悪だと考えられていた、インターネットのない時代、今とは比べものにならないほど物も情報も少なく、 今生きている場所だけがリアルだったわけだし、価値観だってものすごく狭く、固定化されたものだったはず。
    フェミニズムという考えはあっても依然として女性は絶対的に男性よりも弱いままであり、結婚して、 子どもを産むことが幸せだと固定化されていた(けれど少しずつ変わりはじめていた)時代の中で、シングルマザーとして息子を育てているドロシアや、 子宮頸癌だったアビーの強さに胸を打たれる。

    アビーがジェイミーに「はやくこんな街出た方がいい」「サングラス屋になる前に」というところがとても印象的でした。
    しかしそんなアビーが結局“こんな街”を出ていかないのは、世界が変わった(もしくは彼女たちが変えていった)からなのだろうか。

    問題の「生理!」(ハッピーな感じで)よりも、そのあとのジュリーが初めて生理になったときを回想するシーンに笑ってしまった。
    小中学生の女の子が「カッコーの巣の上で」なんか観に行くんだろうか。
    このシーンだけでこの映画を観る価値があるよ。

  • アネット・ベニングが良かった!表情とか。
    マイク・ミルズのセンスがさすが。

  • ドロシア「幸せか考えたらうつになる」

    私も軟弱野郎の音楽の方が好き。
    部屋にある小物の色が良い。

  • 40歳で息子を産んだ大恐慌時代経験のアパート経営の母親が息子を幸せにしたいが自分が幸せでないからなかなか息子に伝わらないエゴの話。
    息子が最後ママがいれば幸せっていうのに胸を打たれる。居住人とか幼なじみがとにかく不幸せの展覧会でドストエフスキーの戦争と平和の冒頭(不幸せはその数のだけパターンがある)かよ、といったところ。ラストまではつまらなくて観るの辞めようと何度思ったかって感じでしたがラストだけはよかった。親子の絆、思い合いってそういう地味だけど本質的に抱えている想いだよなあと思いました。でも70年代の下品さについていけないので観なくていい。逆にあれか、70年代を経験している人は懐かしく思えるタイプの映画で、知らない私は対象じゃなかったのかも?ただエル・ファニングの語る別に気持ちくないセックスで視覚と声で楽しむことについては本質かなあと思ったのでフェミを標榜する殿方には知っていてほしい笑

  • 嫌いじゃない。
    こういう映画は紙一重な感じだけどうまいことまとまってる。ワープみたいに時空が色づく演出はいらなかったかな、ちょっと醒める。

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