DNAの98%は謎 生命の鍵を握る「非コードDNA」とは何か (ブルーバックス) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • ブルーバックスってこんなに難しいんだっけ!
    難しかったけど、非常に興味深く読みました。

    DNAについては、世代によって教えられていることが違うのでしょうね。日々新しいことが研究で明らかになっている分野ですものね。

    まず驚いたのは、ゲノム解析によって、人のDNAの中に、タンパク質を作り出すための「遺伝子」と呼ばれる部分は2%しかなく、残りの98%は、タンパク質を作り出さない「非コードDNA」と呼ばれる部分であることがわかってること。

    染色体にぎっしり詰まっているDNAの中の2%しか使ってない!?

    でも、その「非コードDNA」が、生命を維持するために(染色体や遺伝子を正常に保つためや、遺伝子の発現の制御をしている)役割を果たしているということがいろいろな例をもとに書かれていました。

    いやー、生命の維持ってすごいですね。
    っていうのか、はっきり言って、全体像はよくわかりませんでした。

    ということで、もう1回読み直す予定。
    別の本も読んでみよう。
    生命って不思議…。
    っていうのか、精密機器過ぎませんか?生命!


    ーーーーーー
    読んでいたときのワタシ的メモ

    ユークロマチン(目覚めた状態)
    ヘテロクロマチン(眠った状態)

    脱アセチル化(ヒストン修飾)=ヘテロクロマチン化

    エクソン タンパク質をコードする遺伝子
    イントロン 非コードDNA配列

    ヒトゲノム タンパク質遠コードする遺伝子は2万2000。
    人を作るタンパク質は、5万〜10万

    ・細胞分裂
    DNAをコピーする際に、片方は、反対方向からコピーするため、少し前の塩基列を作ってからくっつける。その方法では、最後の塩基をコピーできない。それがテロメア。コピー回数は有限。
    幹細胞では、テロメアーゼという酵素により、テロメアが修復されている。

    分裂の途中は、コンデンシン(長いものをひとかたまりにする)とか、コヒーシン(適度なところで2つを束ねる)ができている。この構造を作るのにも非コードDNAが使われている。

    最後に、セントロメアが両端を引っ張って、2つに分割する?
    セントロメアの配列が、特定のヌクレオソーム(ヒストンの1つが普通と違う)に巻きつく。

    (ヒストン…8量体…4種のヒストンが2つずつ)

    ・免疫システム
    免疫グロブリン 無数にある抗原に対して特化した抗体を作らなくてはならない。→グロブリン遺伝子の再構成
    (ヒトでは10の7乗もの抗体を持っている)

    リンパ球のB細胞は、再構成されている。非コードDNAの一部から別の部分を選択することで、10の7乗を超える多様性を実現できる。

    ・3章 進化

    非コードDNA。タンパク質を作り出すことはないけれど、転写の調節をしている。転写因子。

    DNAのメチル化やクロマチン構造の制御が次世代に伝わることをエピジェネティクスという。

    タンパク質を作らない非コードRNAが核内にとどまり、クロマチン化を制御する?

    トランスポゾン

    イントロン 脆弱性
    複製阻害 パリンドローム構造
    修復するときに増幅されることがある。

    色に反応するオプシンには3種類ある
    S遺伝子(青)は7番染色体に、L赤・M緑はx染色体にありる。

    進化の過程で、最初は明暗だけが重要だったため、色を感知する遺伝子は2つになり(SとLM)その後、昼間に活動することによって、LとMが分かれたのでは?と考えられる。

    構造は似通っていて、改変もされやすい。Lとmでは相同組換えや増幅が起こりやすい。人によって、色の見え方はかなり違っているのでは?と筆者は考えている。!

    夜猿の染色体全てに187塩基対の非コードDNAがあり、網膜の中のレンズ様組織に関連している。(夜猿ほ真猿類の中で唯一夜行性)

    リボソームRNA遺伝子?

    ・4章 未来

    上流ORFによる、遺伝子発現の制御

    偽遺伝子 現在はコードされない遺伝子
    …オリジナル遺伝子の発現制御に関わっていることがある

    ・DNAに傷がつく
    ー活性酸素
    G(グアニン)が活性酸素により酸化されると、CではなくAと結合してしまうことがある。そうなると、次に複製されるときに、GーCの組み合わせではなく、TーAの組み合わせに変わってしまう。

    ー放射線
    チミン2量体(チミンダイマー)の生成

    ー放射線
    2本鎖の切断ー修復されるが、一部の塩基が削られてしまう

    →非コードDNAの部分が多ければ、傷が大事にならずに済む!

    リボソームRNA遺伝子に働きかけるタンパク質を活性化させることによって、老化を遅らせることができる?(酵母やマウスで実験)

    不安定な性質を持ったリボソームRNA遺伝子が壊れることで細胞が寿命を迎えられていたが、それを伸ばすことで、変異が積み重なり、がんのような状態になる…酵母が普通は20回分裂で死ぬのに、30回まで生きられる様になると、重要な遺伝子に変異が起こる確率が上がる。

    最大級の非コードDNA領域は、リボソームRNAと、Y染色体。Y染色体には、50〜80の遺伝子しかなく、スカスカ。

    進化と非コードDNA領域。
    ーーーーー

  • 人遺伝子の完全解読はずいぶん前に終わった。これによると2万程度の遺伝子の数で、この数字はなんと線虫と大差なく、稲などの植物よりもずいぶん少ない。それでこれほどの複雑な生物を作り出すわけだから、きっと遺伝子以外のDNAが重要なんだろう。で、そんな研究がいろいろと進んでいるよ。という本。面白い。

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著者プロフィール

生物学者。

「2023年 『高校生と考える 21世紀の突破口』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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