新装版 殺戮にいたる病 (講談社文庫) [Kindle]

  • 講談社 (2017年10月13日発売)
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  • 本 ・電子書籍 (294ページ)

感想・レビュー・書評

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  • 【感想】
    叙述トリックに定評があり、「THE ドンデン返し」のジャンルでは代表作の1つだと伺い、読み進めました。
    結論から言うと、どこが引っかけポイントなのかをかなり警戒しながら読み進めていたので、途中でオチがある程度読めてしまいました。笑
    前評判の高さ故に、些かハードルを上げすぎたのかも。
    とにかく読んでいて目を背けるほどグロテスクで、ブっとんだ内容に終始していました。
    が、作中に魅力的な人物が登場しなかったり、僕個人に響く台詞などが殆ど無かったため、個人的にはかなり薄い内容だったと、残念ながら思ってしまいました。。。

    とはいえ、蒲生稔をはじめ、作中には頭のブっ飛んだ人物ばかり登場していて、読んでいて単純に面白かったです。
    個人的には、途中で出てきた教授が一番ブっ飛んでいて、病んでいたな~と思いました。
    僕の周りにも、尻尾を出さないだけで、こういった種類の人間がいるのかもしれませんね。
    そう考えるとゾクゾクしてしまいますね!


    【あらすじ】
    永遠の愛をつかみたいと男は願った―。
    東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーが出現した。
    犯人の名前は、蒲生稔!
    くり返される凌辱の果ての惨殺。
    冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇を鮮烈無比に抉る衝撃のホラー。

  • 初版が1992年刊行のホラーミステリーだが、さほど古さは感じなかった。
    猟奇的な殺人、本書にも出てくる幼女連続殺人のMやパリで起きた人肉食事件のSなどの事件が決して色褪せないように…
    云われているほどグロい表現も苦にならず、ラストでひっくり返る叙述トリックを楽しませていただきました。

  • 叙述ミステリー。
    すごく残酷なシーンが多いです。1992年の初版。例えに出てくる実際の殺人事件名は古いけれど、それ以外はあまり古さを感じなかった。
    連続殺人犯・稔、その家族・雅子、元刑事・樋口の目線から話が進んでいきます。冒頭で稔が捕まっているシーンから始まるので、結末はわかっているつもりだったのに、ありゃ?ありゃりゃりゃ??あれ…?どういうこと?えーっっっ、とびっくりしました。
    よくここまでエログロシーンを詳細に書けるなという描写力と、稔の考え方やすることも全部おかしいけれど、歪んだ愛を「気持ち悪い」だけで済まさせない何か、ああ、そう思うのね、と思わせる何か、がすごいと思う。
    母・雅子の子への執着もある意味怖かった。
    最後の方で、かおると樋口がくっつきそうなところが好みではないので星4つです。

  • やられた!
    読了後、解説などを拝見してハッとする。
    あれも、これも!?
    文章に、様々なトリックがあったことに、すごく驚かされる。

    グロに耐えることができるなら、叙述的な部分や、小説の面白さを感じることが出来るに違いない。

    以下、ネタバレあり(備忘録)。


    愛を求めるあまり、歪む性癖は、異常者そのものである。
    異常者である犯人とは誰なのか。その人物に辿り着くための読者の思考の巡りこそが醍醐味であろう。

    息子を疑う雅子。
    父である稔を疑う息子。
    同居している稔の母。
    娘の愛。

    稔が息子であるかのように錯覚してしまうことで、作者の意図にまんまと嵌ることになる。
    しかし、息子は誰よりも先に、父である稔のことを疑っている人物である。
    息子の部屋で赤黒い血を発見した雅子は、当然のように息子を疑う。しかし、それよりも先に稔の犯罪を疑う息子が、庭に埋まった人体を見つけて掘り返している。ビデオについても、息子が父の犯罪ビデオを部屋で見ている際に、雅子が部屋を訪ねてしまったことで誤解が生まれている。もちろん読者も誤解することに一役買っている。

    最後に稔を止めようとした息子は、稔によって殺されることになった。雅子は遺体を確認し、異常者である息子の死を目にする。
    本当の異常者である父の稔は、帰宅し母を殺しおかす。亡き父と母の性に関する記憶が稔を歪め、母に本当の愛を求める性的倒錯の結末へと向かわせた。

    表現に曖昧さを加え、読者を導くトリックにジワジワと感動させられる。

    犯行の描写はかなりキツい。

    読了。

  • 叙述トリックミステリーの代表?として読んだ。
    人物トリックだったか、、、。
    内容はグロくてしんどかったけど、でも先は気になって、って感じでサクサク読めた。

  • 若い女性を殺しては屍姦し、乳房を切り取ってお持ち帰り。身の毛もよだつ猟奇的連続殺人事件を巡る叙述トリックもののミステリー。

    物語は犯人(稔)、息子を案ずる母親(雅子)、そして事件を追う元刑事(樋口)、三者の視点・異なる時間軸で描かれていく。

    読み終わってただただ唖然。ええっ、そうなの? 全く腑に落ちない。そもそも辻褄合ってるの? 稔と雅子のパート、ざっと読み返してみた。確かに「休講する」とか元々違和感を感じてた部分は読み返して腑に落ちたんだけど、稔は自ら大学院生だと名乗ってるじゃん! 部屋から出てくる息子に雅子が押し倒されるシーンはどう解釈するのよ(まあ、一応解釈出来ないこともないけど、息子の思い詰めた行動もかなり不自然だよなあ)。

    「現代本格における叙述トリックものの代表作」(解説)かあ。「葉桜の季節に君を想うということ」を読んだ時も感じたモヤモヤ感・気持ち悪さ。何とも後味の悪い作品だった。

    岡本孝子の「夢をあきらめないで」、懐かしい。流行ったのは35年くらい前だったかな。あの透明感ある名曲と猟奇的殺人のミスマッチも、作為的なものだったんだな。

  • 模範生のように、騙されました!

    伏線回収のために、2度読めば楽しめるのだろう、と思いますが、冒頭のみ2度読みしました。

    過去の歴史から、「殺戮にいたる病」が本当にあると思われるだけに、リアルに恐怖です。

  • “ラストが衝撃的な1冊”で有名らしかったので購入。
    最後の数ページで、ん?え!?となり、読了後はポカーン…となりました。
    そして考察サイト読んで答え合わせ(笑)
    私もまんまと騙されました。

    犯人目線では、どう被害者の女性達と出会って、どのような方法で殺害したかが描かれているのですが、よく文章でここまで気持ち悪いものが描けるな…と変に感心してしまいました。
    よく“1番怖いのは人間だ”って言うけど、
    犯行の描写を気持ち悪いな、怖いな、と思いながらも、面白くて読み進めてしまう自分の事も怖くなりました。
    この一冊でお腹いっぱいになったので、間に平和な本を挟んでからまたミステリーを読みたいと思いました。

  • ミステリー作品。物語はエピローグから始まり、最初に犯人が明かされるという独特の構成。
    その後は複数の視点で進行する。
    最後のどんでん返しには驚かされ、読み返すと叙述トリックの巧妙さに改めて感嘆した。
    これから読む人は、ネタバレ防止にネット検索もしないことを強くお勧めする。
    ただ、グロテスクな場面が多いので注意。

  • よかった!!今まで人生でネタバレせずにこの作品を読めて本当によかった!!と読み終わった後に「十角館の殺人」以来の感情が湧き上がってきた!ネタバレ厳禁のミステリの名著!!

    毎回読み終わって「えええっ!!!」ってなってから何故想像できへんかったんや自分!?しっかり読んでたはずやのに何故??って悔しい気持ちになるけどミステリを読んでそうなってる時が一番好きかも

    ミステリってほんまに面白いなぁ〜  ★★★★★

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著者プロフィール

1962年、兵庫県生まれ。京都大学文学部中退。在学中は推理小説研究会に所属する。89年、『8の殺人』で作家デビュー。主な作品に、『人形はこたつで推理する』にはじまる「人形」シリーズほか、『殺戮にいたる病』『ディプロトドンティア・マクロプス』『弥勒の掌』『眠り姫とバンパイア』『警視庁特捜班ドットジェイピー』『さよならのためだけに』『狼と兎のゲーム』『裁く眼』『怪盗不思議紳士』『凜の弦音』『修羅の家』などがある。小説の枠を越えマルチに活躍し、ゲームソフト「かまいたちの夜」シリーズの制作でも知られる。

「2022年 『監禁探偵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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