ワニの町へ来たスパイ 〈ワニの町へ来たスパイ〉シリーズ (創元推理文庫) [Kindle]

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  • "ワニの町"とはアリゲーターが出没するルイジアナ州の片田舎のこと。原題は"LOUISIANA LONGSHOT"。直訳すると「ルイジアナ大博打」だろうか。邦訳版タイトルは、日本人にはあまり馴染みのないルイジアナの特徴を"ワニの町"として端的に伝えるためのものだろう。そして当地を訪れる"スパイ"は、中東での任務において少女虐待の現場を目にして感情的に犯罪組織の男を殺害してしまった女性CIA職員である。

    主人公レディングは復讐のために彼女をつけ狙う犯罪組織から身を隠す目的で、長官モローの指示で長官の姪としてルイジアナのある屋敷に向かう。その屋敷はレディングがなりかわるサンディ=スー・モローの故人である大叔母のものであり、亡くなった大叔母の遺産を処分するという名目でルイジアナの夏を過ごすことになる。

    現役バリバリのCIA職員として世界を股にかけていたレディングは気位も高く、住民が250人程度しかおらず高齢者ばかりのルイジアナの片田舎にカルチャーショックを受ける。身分を偽りながらも無難に田舎での日々を過ごそうとするレディングだったが、訪問早々に裏庭を流れるバイユーの付近で人骨を発見してしまう。大叔母にあたるマージと親しかった、当地を取り仕切る老女たちと親しくなったレディングは、発見された人骨が五年前に行方不明になったハーヴィのものではないかと聞かされる。ハーヴィは親の遺産を受け継いだ富豪であると同時に誰からも嫌われた鼻つまみ者で、妻のマリーを虐待していたという。身を隠す目的で訪れたはずの田舎町で、奇しくもレディングは不可解な事件に巻き込まれてしまうのだった。

    都会派のタフなスパイであるレディングがひょんなことから片田舎に滞在することになり、さらに当地に似つかわしくない事件に遭遇するというミスマッチな取り合わせを特徴としたサスペンスである。当初は田舎の人びとをやや高慢に見下すレディングによって、そのミスマッチさが強調され、作品のコミカルな要素にもなっている。

    事件の謎を巡る展開としては、実は主人公やその周囲の登場人物の行動に空回りが多い。解決も一部を除けば主要人物たちの努力によってというより、どちらかといえば自然に訪れる。レディング本人も身体的な能力を除けばそこまで優秀というわけではなく、高飛車な態度が浮いて見えなくもない。

    基本的にシリアスな作品ではなく、のどかさ、場合によってはマヌケさも漂う作品だった。ちょっとした感動もある気楽なエンタメ作品として映画化されれば、それなりの人気を博しそう。

  • あらすじ
     私はCIA秘密工作品。潜入任務で正義感に駆られ、悪人を殺し、懸賞金をかけられた。心配した上司から、上司の名になりすまし、ルイジアナの小さな町でしばらく暮らすように命令される。しかし、到着早々、保安官助手に目をつけられるわ、変なにおいのする川から骨を発見してしまうわで、任務より忙しい。

     シリーズ1作目。想像していたミステリーとは違った。作品始めのほうは、ファンタジーRPGだな。出遭う村人村人全員が変わってるダンジョン。途中からアメリカのラブコメになってた。行く先行く先保安官助手と遭遇するという。コージーミステリーって自由だなーとしみじみ思った。読んでて後味悪くないし、なんも考えなくても話は進むし、次作も読む。

  • CIA所属のスパイの美女が、任務のやりすぎで中東各方面から命を狙われることになり、上司の姪に成りすましルイジアナの田舎で過ごすことを命じられたが、次から次へ遭遇する事件に、当地を裏で牛耳るスーパーばーさんずと一緒になって事件を解決する物語。いわゆるユーモアミステリに分類されるけど、殺人事件が中心なので動きは結構派手なストーリー。現地アメリカでは人気シリーズですでに10作出てて、邦訳はまもなく第6巻が出る。
    今回、Kindle半額&8冊まとめ買いで10%ポイントアップキャンペーンの数合わせとして3冊購入。
    短期に読めて、それほど複雑な内容でなく、面白さ満載で楽しめるシリーズ。気楽な読書としておすすめです。

  • 「カラハリが呼んでいる」で読み疲れした反動で軽いミステリー物を選定。CIAの女性工作員がとある事情で、南部ルイジアナの湿地に囲まれた田舎町に潜伏することになったが、思わぬ事件に巻き込まれ…という展開。一緒に大暴れするおばあちゃん達がいい味だしてるんだけど、ちょっと軽すぎて残念。

  • 文句なしにおもしろかった。
    読み終わるのが寂しくてわざとノロノロと読んだくらい読み終わりたくなかった。ルイジアナのおばあちゃんたち、最高です。かっこいいなぁ!独身でもそういう活躍してるって素敵!
    願わくはこういう老後をと思う。男女のラブロマンスからかけ離れたこういう本が私が求めてる世界なんだろうなあと痛烈に思った。
    続編あるんですっけ?読まねばですね!

  • たまたま手に取って見たら面白かった。

    主人公がCIAの凄腕スパイだけど環境の変化によって本人の気持ちや身体にも変化があって、ロボットが人の感情に初めて触れるような単純な描き方をしていないのが珍しくて面白い。

    テンポがいいので話がどんどん進んで読み易い。

  • 読んでて楽しかった~!満足

  • 評判良いなー、と気になっていたコージー、ようやく入手。
    常識外れな主人公、元気なおばあちゃん達、小さな町に湧き上がる騒動と、コージー要素満載で、飽きるかなと思いきや、最後まで楽しませてくれた。
    今回の謎自体はわかりやすく、ミステリーとしてはアレかもしれないけど、コージーシリーズの最初としては、人物紹介あれこれの基盤固めとして十分。

    いつかは別れの時が来るのかな?
    それまですごく濃い時間を過ごしそうなフォーチュンに、とりあえず幸運を祈る。

  • 210911読了

    入院のお供に
    おばあちゃん達すごくいいキャラ
    前半フォーチュンがドタバタしてて、あまり有能に感じられない
    後半の勢いすごい
    おばあちゃんの経歴にびっくり
    続編楽しみ

  • 面白かったー!テンポ感もストーリーも深く考えずに楽しめる感じ。3人ともカッコ良いな〜。加えて主人公の運の悪さも面白い。
    思わず笑っちゃうところも多いし。バナナプディング争奪戦とかめっちゃ笑った。この手の海外文学はセリフがほんとにセンスいい。ユーモアたっぷりで楽しい。シリーズを読んでいかなくては!

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