- Amazon.co.jp ・電子書籍 (400ページ)
感想・レビュー・書評
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1章の流れは美しかった。
やっぱり哲学は思考の補助線を引く上で非常に有用なんだろうな。
東浩紀氏に限らず哲学的な知識を持つ人と、世界に対する解像度が圧倒的に違うのを感じる。
一度その枠組みが頭の中にできてしまえば、その後の人生で物事を整理する力が高まるため、より高い解像度で世界を捉えられるようになるんだろう。
本書の内容を真っ当に捉えれば政治家でもない一個人が現実に役に立つのかと感じるが、人の集まりとして捉えれば企業の組織論について考える際の補助線として応用することもできそう。
たとえば国を会社に置き換えて「会社の意思を私的な意思として内面化できるか否か」にすると繋がってくる施策も多くある。
一度読んですぐ身になるものでもないので、ゆっくり噛み締めつつ考えてみたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
p.2021/10/6
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コロナによって、世界から国境を跨ぐ観光客が失われた。観光客が失われることは、この世界にどんな影響を与えるのだろう。もちろん経済の面で影響があるのはわかる、けれどそれ以上のことはないのだろうか?
そんなことを考え、名前がぴったりに思えたこの本を読み始めた。結果、自分としては一つの答えらしきものが得られたので満足している。観光客が失われたことと、戦争が始まったことはおそらく無関係ではないのだろう。観光客という存在が造る世界のつながりは確実にあるのだと私も思う。
この本は読み進めながら自分で噛み砕き、考え、疑い、立ち止まらないといけない本だと思った。そもそもの話として、多くの哲学者の考えや論文を引用して話が展開していく(というかほとんどのページ数は作者自身の考えの展開というより援用に割かれている)が、これをまず鵜呑みにしていいかどうかを考えねばならない。作者の視点で解釈した言葉や考え方は、不当にねじ曲がっていないか、それとも新たな解釈可能性なのか。参照する哲学者の著書や解説書に当たったことがないと難しい行いではあるが、全てを丸呑みするのは違和感があると個人的には思う。作者は自身の考えを補強したい、だから都合の良いものを連れてくる。一方哲学者たちは作者に使われる未来を予想していない、彼らには彼らなりの問題提起と考えがある。それを踏まえて読まないとどうにも騙されたような気がしてしまう。その点でこの本は読むのが難しい。
加えて、冗長的で繰り返しが多いのも特徴的だ。何度も何度も同じ議論を舐める。それは丁寧で論点や進み方が印象に残る良さもある一方で、くどさも少々ある。各文章の比重―どれが大事で、どれが反復で、どれが新規なのか―を考え、かつ今の流れを度重なる反復に抗って自身で押さえておかないといけない。これが結構大変だけれど、やらないと知らない内に知らない場所に来てしまっているような感覚がある。
以上の大変さはあれど、この本の中身はある種の問題提起、ある種の視点の提供であるため、読んでおくと一つ自分の中に新たな思考を取り入れられる分価値があると思う。 -
何かのランキングに入っていて読んだが、哲学書との事で内容が難解で殆ど読み飛ばしてしまった。
作者がどういう目的でこの本を発行したのか残念ながら理解できなかった。 -
哲学書なんだよね。これ。
理解出来た様な所もあったけど、まぁ難しかったぁ。
けど、作者がとてつもなく困難な事にチャレンジしている事は、よくわかった!