アリスマ王の愛した魔物 (ハヤカワ文庫JA) [Kindle]

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  • 「ろーどそうるず」「ゴールデンブレッド」「アリスマ王の愛した魔物」「星のみなとのオペレーター」「リグ・ライト ──機械が愛する権利について」の5篇収録。秀逸な作品たち。どの作品も面白かった!

    「ろーどそうるず」
    万能プレジャーオートバイ "メガロス3R" 3011と、研究開発用の仮想可塑性供試体の交信記録。未熟なライダーによるタンデムデート中の事故、バイク便による酷使、プロライダーとのサーキット疾走、そして盗難・内戦下ミャンマーでのバイクタクシーと、まさに波乱万丈の生涯。AIながら伝法な口調で愚痴や夢を語る3011がいい!

    「ゴールデンブレッド」
    好戦的な山人(ヤマト)民族の宇宙戦闘機が、内向き・安定志向のカリフ人の小さな星に不時着した。パイロットの豊菓は、カリフ人の異文化に反感を覚えつつもやがて馴染んでいく。

    「アリスマ王の愛した魔物」
    「算術の栄えは国の基」。数学の天才、アリスマ王子は、王になると "算廠" (人海戦術で計算しまくる人間コンピュータ)を創設してあらゆることを計算し、隣国との戦争に軒並み勝利し、社会を徹底的に合理化して国を隆盛させた。

    「星のみなとのオペレーター」
    小惑星イダの管制官すみれは、埠頭で拾った円錐形の謎の存在「コンちゃん」に懐かれる。やがて太陽系に無機物を食い荒らすウニ状の物体(通称宇宙ウニ)が大量に飛来するようになり、人類は大混乱。連合艦隊が駆除にあたるが…。

    「リグ・ライト ──機械が愛する権利について」
    シキミが祖父から相続した自動運転車クローは、何故か人型AIアサカが運転席に乗らないと動かせない。人のようでありながら、本質的に人と全く違うアサカに戸惑うシキミ。そして土砂崩れに遭遇した際のクローの不可解な行動。

  • sf短編集。
    キノの旅みたいにどの物語も読みやすい一方で考えさせられるようなテーマがあり読んで良かった。

    バイク目線で見たバイクの一生のお話は視点が新鮮で感動した。

    自動運転やそれに搭載されたaiのお話はSFらしく技術の進歩とそこで発生する課題など考えさせられることも多く興味深かった。

  • 個人的には表題よりは「星のみなとのオペレーター」や「リグ・ライト」が面白かったです。
    文章がポップなので、明るいノリやよりラノベっぽいほうがしっくりきたのかなという所感。

  • SF短編集
    小川一水は初めてですがどれも読みやすくて良かったです。他の作品も読もうと思います。

  • 短編集です。バイクのお話がすごく好き。

  • アリスマ王の愛した魔物 (ハヤカワ文庫JA)

  • 小川さんはやはり、長編の方が楽しいだろうか。
    今回、自分としては久しぶりの短編集。

    ぐっと来たのは、
    バグで感情らしきものが芽生えたバイクと、
    シミュレーション用AIの友情物語。
    使用者のために頑張っちゃうメカというのは、哀切を帯びた可愛らしさがあるよなあ。

  • 小川一水さんてわりとチャレンジャーだよねと思う
    SF的な部分でも面白い発想のものをいろいろ書いてるけど、文体も作品に合わせて変幻自在だったりしてなるほどなあって思うことが多い
    SFでありFTであり御伽噺であるかんじ、大好き

  • とくに1話目が良かった。

    私は4輪しか乗らぬが、ウチの愛車(過去の奴ら含む)もあんな風に日々ブツブツ言ってるのかと想像すると、なんだか楽しい。

  • たとえば、AIを搭載したオートバイ。
    あるいは、多数の人間に計算させる事で作成するAI。
    もしくは、車に、ロボットに搭載しているたくさんのAI。
    本短篇集は、AIの登場する短篇を集めたものであるが、テーマはおそらく、ヒューマニティなのではないかなあ、と思う。
    AIはいかに人間たりえるか?
    そのためには何が必要なのか。
    大変興味深く、面白い。

    そのなかで、好きで好きでたまらないと思うのが、冒頭に収録されているオートバイの話、『ろーど・そうるず』だ。
    AIを搭載したオートバイと、AIをチェックするためのメーカー側のアプリのやりとりというスタイルで書かれているのだが、本来は人格など生じさせるはずのないオートバイのAIに、なにやら人格らしい兆候が見えるところから話が始まる。
    どんなライダーが乗るのかなあ。どうせなら女の子がいいな。
    ちぇ、男か。しかもど下手だ。でも、この余分な荷物はもしかして、女の子? タンデムか、それもいいな。
    オートバイはあくまでも自分が置かれた状況を受け入れる事しかできない。そのせいで相当へこんだり不満に思う事もあるけれども、常に希望をもって彼は走る。
    いったいオートバイがどのような運命を辿るか、そしてその後にくるエピローグが大変感動的。

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著者プロフィール

’75年岐阜県生まれ。’96年、河出智紀名義『まずは一報ポプラパレスより』でデビュー。’04年『第六大陸』で、’14年『コロロギ岳から木星トロヤへ』で星雲賞日本長編部門、’06年「漂った男」で、’11年「アリスマ王の愛した魔物」で星雲賞日本短編部門、’20年『天冥の標』で日本SF大賞を受賞。最新作は『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ2』。

「2022年 『ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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