- Amazon.co.jp ・電子書籍 (411ページ)
感想・レビュー・書評
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深夜ラジオの人気パーソナリティ 桐谷恭太郎は、「ものすごく素敵な声の持ち主」だが「とても美男子とはいえない顔をしていて、生っ白い肌の中肉中背で、分厚い眼鏡をかけていて、髪の毛がもさもさで、着ているものも垢抜けない」うぶで奥手な童貞男(34歳)。恭太郎がラジオの収録終わりに通うバー "if" は、クセのある常連のたまり場。そんなifに突然、見知らぬ若い女性がびしょ濡れ姿で入ってきて、「コースター…」と呟いた。
三梶恵、何て図々しい女なんだ! 気弱な恭太郎と気のいいお仲間たちを平気で厄介事に巻き込むなんてけしからん! 言うなりになる恭太郎たちもどうかと思うし、何と現実感のない嘘っぽい話なんだろう、と思いながら読み進めておりました。終盤には安っぽいドタバタ劇もあったりして、一体どういう結末になるのやら、と思っていたところ…。嘘っぽい話の辻褄が合っちゃうというか、違和感のないストーリーにうまく纏まっちゃいました。やられた! -
ラジオのパーソナリティをする主人公も、バーの仲間たちも良い人たちだし、コミカルな文書に笑いながら読んだ。が、最後に各々の影を知り、切なくなった。
恵を受け入れられた(半強制的だったりするが)のは、辛い過去があったからなんだろうなと思うと、過去はなかったことにして、みんな、笑っていて欲しいと思った。 -
"特殊な声"をもつ冴えないラジオパーソナリティの主人公が、いきつけのバーに現れた美女から殺人計画を手伝わされることに。
シリアスな中に差し込まれるバーの仲間たちとのドタバタ劇もまた一興。嘘が嘘に塗り固められ疑心暗鬼になる中、最後には優しい嘘が浄化してくれた気がした。二人のその後も読んでみたい。 -
ラジオが好きなひと、またはかつてラジオが好きだったひとに、すごくハマる気がする。
ラジオ久々に聴きたいな。 -
【2022年28冊目】
最初から最後の方までどうなるのか予想がつかないままでしたが、この話がどう感涙話になるのかしらと思っていたら、なるほどなの展開に。電車の中で涙が出そうになりつつも、終わり方としてはここで終わるのか…!と思う気持ちが大きかったです。 -
<あらすじ>
ラジオパーソナリティのキョウは、抜群にいい声を持つがそれ以外は平凡でコンプレックスだらけの男。ある日行きつけのバーで不穏な言動をとる謎の女性と知り合う。キョウのファンだという彼女の夢を壊さぬよう、バーの常連のイケメンオネエに頼んでキョウのふりをしてもらうがすぐにばれ、代わりに奇妙なお願いをされることになる。彼女のお願いを遂行していく中で、彼女の抱えているものが近づいていく。そして、所々に散りばめられた伏線が回収される時、バーの常連たちの、そして主人公の抱える弱さが明らかになる。
<感想>
最初はとても軽妙で、疾走感あるサスペンス的なものかと思った。あまり派手な事件は起こらないし、女性の謎のお願いも、何か不穏なものを強く匂わせるものではなくパラパラとページをめくっていただけだった。最後数十ページまでは。途中で感じていたすごく些細な引っ掛かりたちの真相が明らかになると急に引き込まれ、胸が痛くて、同時にとても静かででも心に確かに印象づけられていた伏線の存在を知り、なぜだか爽快感を覚えた。メインの謎には個人的にそこまで興味をひかれなかったけれど、心地よい語り口で優しく感動を呼び込んでくれる作品。 -
ラジオパーソナリティの恭太郎は、素敵な声と冴えない容姿の持ち主。バー「if」に集まる仲間たちの話を面白おかしくつくり変え、リスナーに届けていた。大雨の夜、びしょ濡れの美女がバーに迷い込み、彼らは「ある殺害計画」を手伝わされることに。意図不明の指示に振り回され、一緒の時間を過ごすうち、恭太郎は彼女に心惹かれていく。「僕はこの人が大好きなのだ」。秘められた想いが胸を打つ、感涙必至のエンタメ小説。