透明カメレオン (角川文庫) [Kindle]

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  • KADOKAWA
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感想・レビュー・書評

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  • 声は良いが、その素顔はちんちくりんな男:桐畑が恵という女性と出会い、そこの常連陣とともにその女性のとある計画に荷担させられていく物語。
    さすがの道尾小説と言うことも有り、伏線回収や読ませるストーリー、キャラクター造形がとても良い。早漏防止剤やメールアドレスのさりげない伏線にはとても驚かされびっくりしてしまった。なんともバカな作戦にも見えるが、「確かに」と思わせるような展開でとても面白かったです。ストーリー面は少し長ったらしさも感じたものの桐畑と恵の恋の行方やクライマックスにかけての怒濤の展開にはとても感動しました。
    そしてキャラクターのみんなが生き生きとしていて、皆がそれぞれに重い過去を抱えその人たちが出会うBarの名前が「if」という名前なのも腑に落ちました。そしてなによりも主人公の人生がしんどすぎてもう...という感情になりました。恵と幸せになって欲しい...。
    感動だし、みんな好きになると思うので是非読んでみてください!

    この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
    桐畑恭太郎:諏訪部順一
    三梶恵:上田麗奈
    輝美ママ:渡辺久美子
    百花:高橋李依
    レイカ:村瀬歩
    石之﨑:稲田徹
    重松:山路和弘
    三梶父:大塚明夫
    マサシ:西山宏太朗
    桐畑直美:竹達彩奈
    後藤:関智一

  • 深夜ラジオの人気パーソナリティ 桐谷恭太郎は、「ものすごく素敵な声の持ち主」だが「とても美男子とはいえない顔をしていて、生っ白い肌の中肉中背で、分厚い眼鏡をかけていて、髪の毛がもさもさで、着ているものも垢抜けない」うぶで奥手な童貞男(34歳)。恭太郎がラジオの収録終わりに通うバー "if" は、クセのある常連のたまり場。そんなifに突然、見知らぬ若い女性がびしょ濡れ姿で入ってきて、「コースター…」と呟いた。

    三梶恵、何て図々しい女なんだ! 気弱な恭太郎と気のいいお仲間たちを平気で厄介事に巻き込むなんてけしからん! 言うなりになる恭太郎たちもどうかと思うし、何と現実感のない嘘っぽい話なんだろう、と思いながら読み進めておりました。終盤には安っぽいドタバタ劇もあったりして、一体どういう結末になるのやら、と思っていたところ…。嘘っぽい話の辻褄が合っちゃうというか、違和感のないストーリーにうまく纏まっちゃいました。やられた!

  • ラジオのパーソナリティをする主人公も、バーの仲間たちも良い人たちだし、コミカルな文書に笑いながら読んだ。が、最後に各々の影を知り、切なくなった。
    恵を受け入れられた(半強制的だったりするが)のは、辛い過去があったからなんだろうなと思うと、過去はなかったことにして、みんな、笑っていて欲しいと思った。

  • "特殊な声"をもつ冴えないラジオパーソナリティの主人公が、いきつけのバーに現れた美女から殺人計画を手伝わされることに。
    シリアスな中に差し込まれるバーの仲間たちとのドタバタ劇もまた一興。嘘が嘘に塗り固められ疑心暗鬼になる中、最後には優しい嘘が浄化してくれた気がした。二人のその後も読んでみたい。

  • ラジオが好きなひと、またはかつてラジオが好きだったひとに、すごくハマる気がする。
    ラジオ久々に聴きたいな。

  • あるラジオパーソナリティと仲間たちの愉快な日常、、、ではなかった、もう少し複雑な話。でも最後読み切るまでは分からない。面白さは十分星4以上だが、消化不良があり星3にした。

    主人公がBarのみんなや恵に振り回されるところ、キャラクター同士のやり取りは面白い。
    しかし話が真実まで二転三転するため、終盤になっても大筋を捉えづらかった。

    最後の数ページで唐突にBarメンバーたちと主人公の過去が明かされる。
    余韻が欲しいのに種明かしが一方的で、「あ、終わり?」と少し物足りなさを感じる。
    恵だけじゃなくて全員集結、励まし合う感じで終わってほしかったという印象。

    起こってしまった出来事は変えられない。
    ラジオの創作に昇華するとトラウマから回復できる、というのが興味深い。
    それを提案して実行する主人公の、ラジオに対する熱意もひしひしと感じられる。
    ただ喪失体験は時間が解決することもあるだろうから、いつか本人の口で出来事が語り直されれば、真に受け入れたことになるのかな、と思う。

  • 【2022年28冊目】
    最初から最後の方までどうなるのか予想がつかないままでしたが、この話がどう感涙話になるのかしらと思っていたら、なるほどなの展開に。電車の中で涙が出そうになりつつも、終わり方としてはここで終わるのか…!と思う気持ちが大きかったです。

  • <あらすじ>
    ラジオパーソナリティのキョウは、抜群にいい声を持つがそれ以外は平凡でコンプレックスだらけの男。ある日行きつけのバーで不穏な言動をとる謎の女性と知り合う。キョウのファンだという彼女の夢を壊さぬよう、バーの常連のイケメンオネエに頼んでキョウのふりをしてもらうがすぐにばれ、代わりに奇妙なお願いをされることになる。彼女のお願いを遂行していく中で、彼女の抱えているものが近づいていく。そして、所々に散りばめられた伏線が回収される時、バーの常連たちの、そして主人公の抱える弱さが明らかになる。

    <感想>
    最初はとても軽妙で、疾走感あるサスペンス的なものかと思った。あまり派手な事件は起こらないし、女性の謎のお願いも、何か不穏なものを強く匂わせるものではなくパラパラとページをめくっていただけだった。最後数十ページまでは。途中で感じていたすごく些細な引っ掛かりたちの真相が明らかになると急に引き込まれ、胸が痛くて、同時にとても静かででも心に確かに印象づけられていた伏線の存在を知り、なぜだか爽快感を覚えた。メインの謎には個人的にそこまで興味をひかれなかったけれど、心地よい語り口で優しく感動を呼び込んでくれる作品。

  • 何がほんまか嘘かわからんままどんどん話がすすんでいく。
    最後らへんは、なんかようわからんまますすんでいく。
    いい意味か悪い意味か、だまされたかんじ。
    展開が速くテンポ良く読んでいけるのはGOOD!!

  • ラジオパーソナリティの恭太郎は、素敵な声と冴えない容姿の持ち主。バー「if」に集まる仲間たちの話を面白おかしくつくり変え、リスナーに届けていた。大雨の夜、びしょ濡れの美女がバーに迷い込み、彼らは「ある殺害計画」を手伝わされることに。意図不明の指示に振り回され、一緒の時間を過ごすうち、恭太郎は彼女に心惹かれていく。「僕はこの人が大好きなのだ」。秘められた想いが胸を打つ、感涙必至のエンタメ小説。

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著者プロフィール

1975年生まれ。2004年『背の眼』で「ホラーサスペンス大賞特別賞」を受賞し、作家デビュー。同年刊行の『向日葵の咲かない夏』が100万部超えのベストセラーとなる。07年『シャドウ』で「本格ミステリー大賞」、09年『カラスの親指』で「日本推理作家協会賞」、10年『龍神の雨』で「大藪春彦賞」、同年『光媒の花』で「山本周五郎賞」を受賞する。11年『月と蟹』が、史上初の5連続候補を経ての「直木賞」を受賞した。その他著書に、『鬼の跫音』『球体の蛇』『スタフ』『サーモン・キャッチャー the Novel』『満月の泥枕』『風神の手』『N』『カエルの小指』『いけない』『きこえる』等がある。

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