最後にして最初のアイドル (ハヤカワ文庫JA) [Kindle]

著者 :
  • 早川書房
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感想・レビュー・書評

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  • SFをあまり触れたことなく、読んだことがない方ですが、楽しく読めました。アイドル、ソシャゲ、声優、読んでいる時は文章の勢いときちんと考証されただろう科学的根拠をただただひたすらにすげぇ〜〜〜と押し流されるように読んでいたのですが読後の今、SFとアイドルソシャゲ声優、私の想像と認識だと遠くにある要素同士で絶対混ざらないのに、すごいものを混ぜた話だったな?!とやっぱりすげぇ〜と思っているところです。きちんと混ざって、話が広がろうがきちんと昇華してるのもすごい。広大な宇宙に放り投げっぱなしはなくてよかった。私はアイドルだったのか……。
    冗長すぎず堅苦しくもなく、楽しく読めました。人に薦めて、アイドルというものを広めていこうと思います。

  • 途中で本当にこれであってるのか?と思って表紙を2度見、3度見してしまった。あってた。世界の始まりをアイドルに求める表題作のかましっぷりも好きだけど大風呂敷を広げた末に私とあなたの話に還ってくる2作目の方が好き。人間の生理的欲求、飲食、睡眠、性欲、そしてガチャ。どのテーマも門外漢だったのでどこまでしっくりくる描写なのかは分からないけれどつよい文章が唐突に差し込まれてくるのでつよい。既存のオタク文化をバラして組み合わせてSF要素をぶちまけて新しいものを作り上げるサンプリング百合SFだった。

  • アイドル、ソシャゲ、声優、オタクなものをいっぱい。全部まぜると、むっちゃかわいい女の子ができる...はずだった。だけど著者・草野原々はまちがってよけいなものも入れちゃった!それは、SF!みたいなオタク文化が先か、SFが先かと何処からが発端となってこの作品が産まれたかは置いておくというよりある種置き去りにされるであろう広げた風呂敷を畳み掛ける際の有無も言わせない語り(オタク特有の早口)(SF用語)(コーナーで差をつけろ)で読者を振るい落としにかかる「なんじゃこれ」といわれても問題のないこのトンチキ、奇想天外、与太、法螺と言えるアイドルを進化と淘汰から宇宙的規模でみた意識(おまえがアイドルだ)(俺がアイドルか)まで繋げ、昇華した表題。ソシャゲを後天的遺伝子(実質無料)と絡めて自由意志まで飛躍させる『エボリューションがーるず』、声優(百合営業)をスペオペに仕立てた『暗黒声優』。
    オタク文化とSFにグロ、ナンセンスに少々のスパイス的な百合を加えた物語たちに振り回されるこの悪ノリは興味深くもあり、私的にも楽しいひと時でもあった。

  • ものすごい想像力とテンポ感。
    吐き気がするような描写が続くのに最後まで目が離せない吸引力。
    なんだかすごい本を読んだ気がする。

  • 他の方の感想にもありますが、ラノベや一時期ネットで流行っていたSSのスピード感で展開されるハードSF。特に序盤はネットでファンが書いたアニメ/ゲーム系の二次創作のノリが強いですが、後半はかなりSFSFしています。
    個人的には小気味良いテンポと感じましたが、合わない人には合わないかも。
    ラノベや二次創作系に馴染みがあってSFに興味がある人、もしくはその逆の方には文句なくお勧めできます。

  • 語り口とネタはラノベ、内容は本格的なハードSF。すごい悪魔合体が生まれたものです。最近、こういう本格的なSFがなかったので、とても面白かったです。しかし、ヒロインはみんなヒドい性格してたような…バンバン人を殺しちゃうし。

  • Not for me.

  •  衝撃のSF3編。百合ありグロありの物語をとんでもなくおおきなスケールでトントン拍子に語り,壮大に広げた風呂敷をキッチリ畳んで爽快に終わる。SFとして,物語として,発想として,本当に凄い手腕だ。あっけにとられ感動した。
     『最後にして最初のアイドル』(2016年)は,アイドルなんて言葉に騙されて萌え要素などを期待して読んではいけない。『ラブライブ!』の二次創作で矢澤にこと西木野真姫の物語だなんて思って読んではいけない。ガチのSF(褒め言葉)で科学要素でバッチリ固められている上に,滅多にないほどグロい! 著者自身の言葉によると,「オラフ・ステープルドンの『最後にして最初の人類』『スターメイカー』をモチーフにして、宇宙と意識とアイドルの謎を解き明かす作品」「実存主義的ワイドスクリーン百合バロックプロレタリアートアイドルハードSF」ということだ。私はオラフ・ステープルドンを読んだことがないのでこの言葉を理解できないのだが,宇宙と意識とアイドルの謎を解き明かす作品であるというのは全くその通りだったし,実にスッキリと想像を絶する方法でそれは解き明かされた。
     『エヴォリューションがーるず』(2017年)は,『けものフレンズ』を彷彿とさせる世界観のソシャゲがテーマか思いきや,やっぱりいきなり非常にグロい! ソシャゲがテーマであることだけは最後まで変わらないというのに,もともと古代生物がテーマのソシャゲなだけに生物学的な側面が色々描かれるのは勿論,最後は宇宙的哲学までたどりつく。
     『暗黒声優』(書き下ろし)が「声優」という単語に惑わされて読み始めてはいけないことくらい想像済みで読み始めたが,やはり凡人の想像など軽くかわしてくれた。声優がもはや人間扱いされていない上に,人間とは違う存在っぽいし,まず物理法則が全く異なる世界での物語だ。「熱川 バナナワニ園」が存在する世界なのに,声優が声を出せば死がもたらされる世界なのだ。最後にはこの世界の物理法則が,宇宙創成時代の出来事から順を追って解き明かされる。

  • 2019/1/27
    ぶっ飛んでて面白かった
    好きなSFの感じ
    元は二次創作なのか、どうしてこうなった

  • 面白い視座で楽しませてもらいました。ありがとうございます!
    軽やかな作者の感覚がすごく良い形で作品に出ているのかなと思いました。
    本書に現れているような価値観の味わい方は見習いたいですし、こういったものを作品にまとめ上げるということは著者の目の付け所・才能だなと思いますね。

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