人間の未来 AIの未来 [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • - 創造的な出来事の九十九・九パーセントは、「今までになかった、過去にあった出来事の組み合わせ」。
    - 継続性や一貫性、安心、安定が人間の「美しい」と感じる美意識の基になっているんじゃないか。逆に言うと、それまで見たことがないもの、経験したことのないことには不安や危機感を覚える。それは人間が生き延びるために必要な本能的な感覚とかセンスだったのではないか。AIは恐怖心がないから人間の美意識から自由に最適解を計算するので、人間だと絶対選択しないような選択をする。
    - AIでもミスや失敗、事故は必ず起こる。その原因や理由をちゃんと説明・釈明出来るかが、社会が受け入れるかの鍵になる。
    - AIの決定までのプロセスはブラックボックスだが、人間は結果が向上すればそれで良いとならず、「なぜ」「どのように」という疑問に答えてほしいという気持ちが残るのではないか。
    - ひらめき・勘を働かせるには、インプットばかりでなく、整理したりムダなものを削ぎ落としたりする時間が必要なのではないか。生物は目を進化させるために他の器官を鈍くさせるよう進化した。
    - 人間には、わからないから踏み出せる、見えないからこそ挑戦できる、という面は間違いなくある。
    - 自分が予想しなかった結果や出来事が起こったときに、そこに深く疑問を持つ、自分なりに原因を考えていく。「無理だろう」とあきらめて、誰もやっていないことに敢えてチャレンジする。これらが他の人と違うことをする方法だ。
    - 今まで自分がやったことがないとか、経験したことがないとか、そういう 羅針盤 が利かない状況に身を置くことが大事。
    - 失敗してもやることが大事。実際にやってみるプロセスの中に学べること、吸収できることがある。プレッシャーがかかるときにこそ能力が花開く。
    - 四十代になると、今までの経験に基づいて、知らず知らずのうちにブレーキを踏んでいることが多くなります。だから意図的にアクセルを強めに踏むくらいでちょうどいい。

  • iPS細胞の研究でノーベル賞を受賞した山中先生と、羽生さんの、人工知能とその活用、に関する対談。
    羽生さんの人工知能に関する知識の深さに驚きました。やはり将棋の分野ではAIの活用は相当に進んでいるんですね。
    ”知”を問う最前線にいる二人だからこそ、AIの活用方法と、それに飲まれないための姿勢の話は説得力があります。

    中でも「AIは優秀な部下である」という山中先生の言葉は印象的です。決断をするのはあくまで人間である、と。では一体どうやって我々は決断力を磨いていくのか?は未だ解がない部分と思います。少なくとも、今の日本の組織ではそれが十分でないですが、初等〜中等教育段階での見直しがいずれは必要になるのかも。

    もうひとつ面白かったのが、羽生先生が「将棋の手の選び方は美意識を磨くのに近い」と語っていたところ。そして「AIの手の選び方は人の美意識とは必ずしも一致しないが、AIの活用が進むにつれ、人の美意識の方が変わっていくのでは」といっていた部分。AIによって、人間の方も進化できる、というのはとても胸踊る。

    認知症の存在意義、山中先生の語る研究者という仕事、羽生先生の語る”捨て方”の重要性、我々の認知・学習・意思決定が変わってくるという話は非常に身近である刺激的。結構誰が読んでも面白いと思います、ときどき読み返そう、と思いました。

  • 将棋
    サイエンス
    対談

  • ノーベル賞学者中山教授と永世7冠羽生善治氏との対談集。両者の活躍するiPS細胞の最新状況、将棋会の状況から、人口知能(AI)まで、トップランナーである両氏だからこその興味深い対談です。中山教授のソフト語り口、羽生氏の幅広い興味が相まってスラスラ読める内容になっています。知的好奇心が旺盛な人が出会うとこんなに刺激的な対談ができるのかと感心しました。
    それにしても、羽生氏の博識ぶりが際立ちます。将棋のAIもあり動向も抑えられているのでしょうが、どこの研究者がどんな研究をしてるか、まるで研究者のように引用がスラスラ出てきます。羽生氏でなければ、編集の力と言いたいところですが、抜群の記憶力を持つトッププロ棋士なので、あながちそうとも言い切れないところが、また驚きです。

  • 対談形式。面白い。
    羽生さんが「棋士が次に指す手を選ぶ行為は美意識を磨くことにかなり近いものなんです」対し、AIはその美しい盤面というものを判断したり感じたりすることがないからそこが強い手に繋がる場合もあるし、というような事を言ってて面白い。
    タイトルの内容「未来」に関することはもちろん、二人のこれまでの人生・判断に関することなどの経験や考えも語られていて読み甲斐がある。

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著者プロフィール

山中伸弥 1962年、大阪市生まれ。神戸大学医学部卒業、大阪市立大学大学院医学研究科修了(博士)。米国グラッドストーン研究所博士研究員、京都大学再生医科学研究所教授などを経て、2010年4月から京都大学iPS細胞研究所所長。2012年、ノーベル生理学・医学賞を受賞。2020年4月から公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団の理事長を兼務。

「2021年 『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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