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- Amazon.co.jp ・電子書籍 (202ページ)
感想・レビュー・書評
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インドから米国に家族で移住した主人公の少年。米国のトップレベルの高校に入学した優秀な兄は夏に事故で寝たきりになり、会話もできず、フルタイムの介護が必要になる。悲嘆にくれながらも懸命に兄をケアする母、父。移民であり、重度身体障碍者を抱える苦労は肉体的、精神的、経済的にも苦難の連続であり、12歳前後の少年の視点を通して描かれる介護の壮絶さ、母親、父親、周囲の人々の様子はリアリティにあふれ、美談には決してできない苦しさにあふれている。読みながら少年(これは筆者の自伝的小説です)に、君はよくやっているよ、頑張っているよ、休んでもいいよ、嫌になっていいよと言いたくなる。前半読むのがつらい気持ちにもなったけれど、子供の素直な視点で描かれているのが良かったのか、一気に読み切れた。
作者は、幸せになることへの罪悪感を持ちながらも、それでも幸せになろうとしていいんだよ、と言いたかったのか、言ってもらいたかったのか。誰にも起こりうる出来事、普通の家族がある日突然特別な家族になってしまう。その時にもがき苦しみながら歩いていった両親と、それを横で見ながら大人になった少年。作者はこの本を書いたことで、楽になれたのなら良いなと思いました。
小野正嗣さんの訳もニュートラルで変な色がついておらず、原文の空気を伝えているのだろうなと思われた。原文も読んでみたいです。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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