デービッド・アトキンソン 新・生産性立国論―人口減少で「経済の常識」が根本から変わった デービッド・アトキンソン 「新日本論」シリーズ [Kindle]
- 東洋経済新報社 (2018年2月23日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (272ページ)
感想・レビュー・書評
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前作「給料の上げ方」に引き続き。確かに日本では薄利多売、安くていいものを消費者も生産者も目指しているようだけど、それはもう人口増時代の古き良き〜と思うしかない。人口減少期に入った日本を政治家が危機感なくいうよりよっぽど「待ったなし」そんななかで、国民は何を「生産」できるか、付加価値をつけられるか。パラダイムを転換したうえでやるべきことを確実にやる、どこまで言ってもこれしかないんだろうね。そこにきづけるかどうか!
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1.スタートはインパクト大
世界に例のない「生産年齢の人口減少」
→「社会の再構成」必要
①不利益変更が伴う難しさ=政治の役割 機能不全
2.中盤から「陳腐」
3.今の日本は「保身第一」「現状維持」
⇒シンプルな目標を立てて、チャレンジを! -
人口が減少していくこれからの日本社会で、GDPを維持して社会保障を維持するためには、
「生産性の向上」が急務
というのがキーメッセージですが、「生産性とは?」という部分、私も、効率とか利益とごっちゃにしている部分がありました。生産性は1人あたりが生み出す付加価値(利益・給与・税金等)。だから給与を上げずに、あるいは設備投資せずに、利益を出しても生産性は上がってない。競争力と将来性が犠牲になるだけ。売れない商品を効率よく作っても、売上がなければ付加価値ゼロ。まず、ここが目鱗ポイント。
「増やすべきは利益ではなく、付加価値」
そのために、企業は付加価値の高い(メーカー視点の自己満足でなくお客様が求めている)商品やサービスを提供し、それに見合った適正な価格で販売する(消費者の視点でも、質の高いものに、しっかりとお金を支払う)事が必要だという、基本。ここで、なんでも高品質=高付加価値という幻想は捨てなければ、というのは、思い当たる節があって心が痛みます…「何が求められているのか」を正しく認識するのは意外とできていない。
そして、人口減少を支えるためには、大量の移民を迎えるか、女性の生産性を向上するか。構造的に女性の生産性が低くなる制度の改革は急務。
国がとるべき政策として、最低賃金の段階的引き上げ、女性の活躍、に加えて、企業数の減少、があげられていたのには、(そういう意識がなかったので)驚くけれど、それくらいの厳しさがないと、生産性の低い企業が国の補助で生き延び害をもたらす、というようなことにもなるのでしょう…
また、働く目的は「より高い付加価値を生み出し、より高い給料を稼ぐ」と言うところに置くべきであって、「自己実現」や「利益」を目的に置いていてはいけない、と言う部分も、考えさせられる。「自己実現」にウェイトを置いている人も多いのでは。
そして最後に、「物事の本質は案外シンプルであり、当たり前のことの実行こそが最も難しい、」という趣旨の利休の言葉を引用していましたが、いろいろな点で、真理を言い表している気がします。 -
2018年153冊目。満足度★★★★☆
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働き方改革で生産性を上げるという題目はもはや当たり前。その為のソリューションも種々提案されている。しかし、その目的や目標を見誤ってはいないか。人口減少、。特に労働人口の減少を見越して、移民を受け入れることの難しい日本ができることは限られている。日本で働いく一人として、今何をすべきか、考えさせられた。