デービッド・アトキンソン 新・生産性立国論―人口減少で「経済の常識」が根本から変わった デービッド・アトキンソン 「新日本論」シリーズ [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 前作「給料の上げ方」に引き続き。確かに日本では薄利多売、安くていいものを消費者も生産者も目指しているようだけど、それはもう人口増時代の古き良き〜と思うしかない。人口減少期に入った日本を政治家が危機感なくいうよりよっぽど「待ったなし」そんななかで、国民は何を「生産」できるか、付加価値をつけられるか。パラダイムを転換したうえでやるべきことを確実にやる、どこまで言ってもこれしかないんだろうね。そこにきづけるかどうか!

  • 【備忘録】人口11位(先進国で2位)生産性=1人あたりのGDP〈国内で生み出された付加価値の総額=給料、企業利益、税金、利息など、国別は物価水準の違いを基に購買力調整を行ったもの、家事、ボランティアはカウントされない)日本のGDP3位人口一人あたり生産性28位労働者1人あたり29位。増やすべきは「利益」ではなく「付加価値」窓際族は付加価値に影響なし、生産性:使える資源をすべて総合的に考えて、どれだけあたら仲地が生み出されるか。効率性ではない。生産性=売り上げ、効率性=利益Ex:銀行窓口=効率性いいが生産性が低い。
    3章:人材の質4位「高品質低価格」拠点を海外に移し給料が増えない。→人口減、低価格でも需要が増えない。ホテル:余分なサービス(ベット下の真ん中まで掃除、丁寧なお辞儀等必要ない。付加価値:アーリーチェックイン、ルームサービス。宅配:時間指定は余分、過剰なサービス→急がない便を設定★お客が求めていれば高価格でOK。ビッグデータを活用していない(根拠の検証をしない)ホテル側が時間を決めている→洗脳、押しつけ。日本の輸出総額4位、1人あたり40位。
    4章:生産性上げるには教育水準UPと女性の活躍(=同一労働同一賃金)女性の活躍118位/144か国。生産性10位(1990)28(2020)原因のひとつは女性。GDPに家事はゼロ→外食はプラス。男社会(女に仕事を奪われたくない)専業主婦は便利になった今は贅沢。女性は出世したがらない。女性公務員18%高官3%結婚:税等優遇→子供数で優遇。欧州のレディファーストのレディは貴族。
    5章:サービス業の生産性が低い→経営者が無能(国際競争が少ない、低価格になりやすい)優秀な人材にレベルの低い仕事をさせている。生産性が悪化したのは1990年代〜人口増が終わる。これから人口激減。製造業は生産性が高いがサービス業は低い→人件費が占める割合が高い。国際競争力にさらされていない。経営者のひとりよがり、高品質すぎる無駄。労働者は優秀だがレベルの低い仕事→対照的な米国(人材は優秀ではないが経済成長を続けている。経営者が優秀。経営がサイエンスとして教育するシステムが整備されている+ビッグデータとAIの活用)問題点①株主のガバナンスが弱い②労働組合の弱体化③インフレがない④超低金利政策⑤輸入が極めて少ない。
    6章:生産性向上策①企業数の削減(今の半分でOK、中小企業をつぶせ)②最低賃金の段階的な引き上げ③女性の活躍→子供が少ないので家事はほとんどなし。AIと技術革新だけではだめ①ロボットは電気以外の食事はしないし車も買わないし旅行もしない②ロボットが創出する付加価値をどう分配するのか?③経営者がAIやロボットを活用できない。企業の機敏性57位。移民政策はダメな企業を生き残らせるだけ。スキルの高い外国人は日本に来たがらない。看護職の外国人も永住できない。プライマリーバランス重視は財務省も間違え。

  • 1.スタートはインパクト大 
    世界に例のない「生産年齢の人口減少」
    →「社会の再構成」必要
    ①不利益変更が伴う難しさ=政治の役割 機能不全
    2.中盤から「陳腐」

    3.今の日本は「保身第一」「現状維持」
    ⇒シンプルな目標を立てて、チャレンジを!

  • 人口が減少していくこれからの日本社会で、GDPを維持して社会保障を維持するためには、

    「生産性の向上」が急務

    というのがキーメッセージですが、「生産性とは?」という部分、私も、効率とか利益とごっちゃにしている部分がありました。生産性は1人あたりが生み出す付加価値(利益・給与・税金等)。だから給与を上げずに、あるいは設備投資せずに、利益を出しても生産性は上がってない。競争力と将来性が犠牲になるだけ。売れない商品を効率よく作っても、売上がなければ付加価値ゼロ。まず、ここが目鱗ポイント。

    「増やすべきは利益ではなく、付加価値」

    そのために、企業は付加価値の高い(メーカー視点の自己満足でなくお客様が求めている)商品やサービスを提供し、それに見合った適正な価格で販売する(消費者の視点でも、質の高いものに、しっかりとお金を支払う)事が必要だという、基本。ここで、なんでも高品質=高付加価値という幻想は捨てなければ、というのは、思い当たる節があって心が痛みます…「何が求められているのか」を正しく認識するのは意外とできていない。

    そして、人口減少を支えるためには、大量の移民を迎えるか、女性の生産性を向上するか。構造的に女性の生産性が低くなる制度の改革は急務。
    国がとるべき政策として、最低賃金の段階的引き上げ、女性の活躍、に加えて、企業数の減少、があげられていたのには、(そういう意識がなかったので)驚くけれど、それくらいの厳しさがないと、生産性の低い企業が国の補助で生き延び害をもたらす、というようなことにもなるのでしょう…

    また、働く目的は「より高い付加価値を生み出し、より高い給料を稼ぐ」と言うところに置くべきであって、「自己実現」や「利益」を目的に置いていてはいけない、と言う部分も、考えさせられる。「自己実現」にウェイトを置いている人も多いのでは。

    そして最後に、「物事の本質は案外シンプルであり、当たり前のことの実行こそが最も難しい、」という趣旨の利休の言葉を引用していましたが、いろいろな点で、真理を言い表している気がします。

  • 新・所得倍増論を読み上げさせて聞きながら、「そうは言っても、ずっと経済成長ってし続けないとダメなの?生産性って向上し続けないとダメなの?」と思い、日本は高齢化しているから、高齢者の医療・年金を支えるためには、労働人口の生産性を上げるしかないなと思っていたところ、ちょうどその解が書いてあって、読んで良かった。

  • 2018年153冊目。満足度★★★★☆

  • 働き方改革で生産性を上げるという題目はもはや当たり前。その為のソリューションも種々提案されている。しかし、その目的や目標を見誤ってはいないか。人口減少、。特に労働人口の減少を見越して、移民を受け入れることの難しい日本ができることは限られている。日本で働いく一人として、今何をすべきか、考えさせられた。

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著者プロフィール

デービッド・アトキンソン
小西美術工藝社社長
1965年イギリス生まれ。日本在住33年。オックスフォード大学「日本学」専攻。裏千家茶名「宗真」拝受。
1992年ゴールドマン・サックス入社。金融調査室長として日本の不良債権の実態を暴くレポートを発表し、注目を集める。2006年に共同出資者となるが、マネーゲームを達観するに至り2007年に退社。2009年創立300年余りの国宝・重要文化財の補修を手掛ける小西美術工藝社に入社、2011年同社会長兼社長に就任。2017年から日本政府観光局特別顧問、2020年から政府の「成長戦略会議」委員などを歴任。
『日本人の勝算』『デービッド・アトキンソン 新・観光立国論』(山本七平賞、不動産協会賞受賞)『新・生産性立国論』(いずれも東洋経済新報社)など著書多数。2016年に『財界』「経営者賞」、2017年に「日英協会賞」受賞。

「2023年 『給料の上げ方 日本人みんなで豊かになる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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