エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング [Kindle]
- 技術評論社 (2018年2月22日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (445ページ)
感想・レビュー・書評
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「不確実性を減らすことがエンジニアリングの本質」をテーマに、これまでの組織のとこれからの組織の考え方の違いが書かれている。個人に焦点をおくメンタリングから、アジャイルなチームづくり、エンゲージメントを高める制度設計まで、様々な分野の要素が包括的に盛り込まれている。各分野を詳しく知っている人は、それらをどう組み合わせて組織を作っていくかを考える材料になる。逆に、各分野を知らない人には全体感を掴み、それぞれを深く知るきっかけになると思う。
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名著でした。何度か振り返りたい本。
不確実性をどうやって埋めていくか。悩むのではなく考えていく。 -
・自分にはChapter3以降が刺さった。
・P131:「アジャイル開発」は、チーム全体に対してメンタリングを行い開発出力を向上させる方法論
・P142:ウォーターフォールがスコープとする範囲は、「方法不確実性」とそれに伴う「スケジュール不安」です。アジャイルなチームがスコープとする範囲は、それに加えて「目的不確実性」とそれに伴う「マーケット不安」そして、「継続するチームマネジメント」つまり「通信不確実性」です。
・P147:リーン生産方式においては、トヨタ生産方式の徹底した無駄の排除と現場主義による改善を高く評価していました。それらの一連を秩序立てて、マニュアル化、パッケージ化したものがリーン生産方式なのです。
・P183:納期 = 実工期 + プロジェクトバッファ
- 実工期 = 理想工期 + 制約スラック
- 理想工期 = 工数人月 / 人数
- 制約スラック:作業同士の依存関係による無駄
- プロジェクトバッファ:見積もりの不確実性を吸収する為の期間
・P194:不安量の大きいタスク順に問題解決をする -
エンジニアリングだけでなく、心理的安全性だったり、組織を作っていくうえで絶対に読んでおいた方が良い内容。現代社会に欠かせないマインドセットになると思う。
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めええっちゃよかた
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プロダクト開発に関わっていいればよく聞くトピックが幅広く書いてある。ところどころでスッと入ってくる言語化が多く、読んでいてとても良い頭の整理になった。
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p17
未来=環境不確実性->行動と観察
他人=通信不確実性->コミュニケーション
通信不確実性って言語化が分かりやすい。少人数チームの強みがここにあり、組織が大きくなっていく中で生産性を維持する難しさがここにある。
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p33
「怒り」を感じるようなとき、どうすればよいでしょうか。「怒り」を「悲しみ」として表現して伝えることが重要な方法の1つです。
「怒り」に変わる感情の、その原初的な思いは、傷つけられたことによる「悲しみ」であって、それを伝えない限り、どんな理屈をこねて、正当化しようとしても相手の行動を変えることはできないのです。
割と簡単なようで、効果が大きそう。組織論と関係なく、あらゆる人間関係で。
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p88
メンタリングでは、「次にとるべき行動」がはっきりするように促す必要があります。それが曖昧なままでは「悩み」は継続します。しかし、「次にとるべき行動」がはっきりすれば、「考える」ことはあっても、「悩むこと」は少なくなるでしょう。
答えを出さずとも、やるべきことを見せてあげれば良い。
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p123
能力は習慣の積分、習價は行動の積分
成果・能力は直接コントロールできないが、習慣・行動はコントロールできる
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p263
追加機能の情報非対称性
アーキテクチャが見えないという情報非対称性
この二種類の格差がPOとエンジニアとの見積もりの差の原因であり、この情報非対称性はコミュニケーションでしか解決することができない。 -
そもそもエンジニアリングとは不確実性を削減するもの、という観点からスタートし、そのために人や組織はどうあるとよいか、みたいな話。それぞれの話はどこかで聞いたことがあるものばかりだが、組織論としてまとまっているので、組織構造を考えるときに読むとよさそう。
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当たり前のことを意識してやる
アクノレッジメントは
・ちゃんと挨拶する
・無視しないで話を聞く
・相手に感謝を伝える
・気にかけて話かける
・自分本位でなく相手本位で話をする
いろんな不安や悩みを一足飛びに全部解消することはできないので、問題の範囲を適切に限定していくことが重要です。
たとえば、メンティに「今やっている仕事のゴールがわからない」という話をされたとします。メンターは、この話を分解して、分解された要素の曖昧なところを順番に確認していきます。
・「今やっている仕事」とは何ですか?
・「ゴール」とはたとえば、どういうものですか?
・「わからない」というのはどういう意味ですか?
*事実と意見を分ける
強い感情は、「自らがおびやかされるのではないか」と感じたときに発生します。
不安の根本となるものはこれです。その結果、「事実でないもの」が多く会話に表れます。
強い感情が表れたときは、「傾聴」のモードに切り替え、感情に共感を示す必要がありますが、可視化することはあくまで、事実関係です。事実として起きたこと、邪推していることは分けていき、第三者的な課題を可視化します。
相手の話を聞くときの「うなずき方」にもテクニックがあります。たとえば、アクティブな話を聞くときは早く細かくうなずき、ネガティブな話や感情への共感を示すときは、ゆっくりとうなずくといったことです。これによって、「あなたの話に共感している」という信号を送ることができます。
メンタリングをしていると、メンティの事情ごとに様々な種類の問題が発生します。それらすべてに、「自分の経験だとこうだ」という回答をしても、「あなたの事情と私の事情は違う」で終わってしまうでしょう。
メンバーの役割は、メンティがもつ「解けないパズル」を一緒になって解くことではありません。なぜ、そのパズルが解けないかの構造を明らかにして、解けるパズルに変換するための戦略を与えて導くことです。 -
ここでいう不確実性の概念は、組織においてもエンジニアリングにおいても人生においても、これまで言語化したかった曖昧で恐怖の対象だった。不確実性という表現を手に入れた事で、その不安や課題が言語化され、何故ダメなのか、何が怖いのか、どうして今やらないといけないのかが明言できるようになった。エンジニアリングに興味がない人でも問題へのアプローチが分からない人は読むべき。
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組織について多角的な視点から書かれていて、参考になる箇所が多くありました。
ボリュームがとにかくあったので、組織について、エンジニアリングマネジメントについて悩んでいる方に幅広く勧められる一冊かと思います。