スリー・ビルボード 2枚組ブルーレイ&DVD [Blu-ray]

監督 : マーティン・マクドナー 
出演 : フランシス・マクドーマンド  ウディ・ハレルソン  サム・ロックウェル  アビー・コーニッシュ  ジョン・ホークス  ピーター・ディンクレイジ 
  • 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
3.91
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本棚登録 : 233
感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988142366115

感想・レビュー・書評

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  • ミズーリ州の寂れた道路に掲示された巨大な3枚の広告看板。そこには警察への批判メッセージが書かれていた。
    設置したのは、7カ月前に何者かに娘を殺されたミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)。犯人は一向に捕まらず、何の進展もない捜査状況に腹を立て、警察署長ウィロビー(ウディ・ハレルソン)にケンカを売ったのだ。
    署長を敬愛する部下ディクソン(サム・ロックウェル)や町の人々に脅されても、ミルドレッドは一歩も引かない。
    その日を境に、次々と不穏な事件が起こり始め、事態は予想外の方向へと向かっていく……。
    前半は警察や警察に味方する町の人々や田舎町の閉鎖的な事無かれ主義に苛立つけど、中盤からはどんどん独善的になり暴走していくミルドレットやミルドレットに感化されるある男の暴走する正義に背筋が凍る展開に、「本当の正義とはどこまでが正義なのか?」「愛や赦しは憎しみを越えるのか?」を突き付けられるサスペンス映画。
    警察やマスコミに対して一歩も引かないだけでなく、犯人探しを邪魔する者を誰であれ正義感を向けるミルドレットを演じるフランシス・マクドーマンド、最初は尊敬するウィロビーを非難するミルドレットに対しての反感からミルドレットに味方する者を迫害するがあることからミルドレットを助けるディクソンを演じるサム・ロックウェルの演技、どんどん独善的に犯人に憎しみを募らせるミルドレットやある男の暴走する正義そして憎しみを越える赦しや絆が、印象的。

  • 映画館にて。

    予測不能な展開と、
    哀しみと怒りの中にあるダークなユーモアに振り回されるように、
    引きずられながら見終わった。

    母親と警官の不思議な交流は、
    どこかラブロマンスのようでもある。

    コーエン兄弟を初めて観た時のような強烈な魅力。

  • 怒りの矛先が転々とするやり切れなさ。
    署長の手紙により変わっていくディクソンはよかった。それ以前がクソ警官だっただけに。

  • この映画はサスペンスの体を装っているが
    見ている人に勝手な思い込みを植え付けては、それを裏切り
    価値判断を揺さぶり続ける作品だ。

    このサスペンスの技法で人を穿って見てしまいがちになり、
    登場人物誰一人共感できないのに、いつの間にか自分も同じように
    人を簡単に決めつけてしまっていることに気づかされる。
    これが偏見の元なのだろうか。
    まんまと炙り出されてしまった。
    良質な映画とはこんな作品のことを指すのだろう。

    登場人物たちは深い喪失感や愛情や正義感や希望が複雑に絡み合う中
    偏見や思い込みで負の連鎖を続けてしまう。
    しかし、一人ひとりは頼り甲斐のある母であり、家族思いの亭主であり、
    母親思いの息子であったりと愛すべき隣人たちなのだ。
    行きすぎた行動は理解しがたいけれど、なんとも複雑な感情に襲われる。

    近年の分断化されたアメリカの状況をニュースなどで見て
    なぜここまで同じ国、ましてや同郷の人同士で憎しみ合うのか
    到底日本人の私には理解しがたいのだけど、
    この映画を通して白黒つけられない人間の業をまざまざと見せつけられてしまった。
    そしてそれは他人事ではなく、私の中にも偏見の種は存在するということを痛感されられたのだった。

    エンディングは私たちに委ねられた。
    負の連鎖を続けるのか、断ち切るのか。
    正義を貫くのか、赦すのか、
    ここでもやはり単純に白黒つけようとしている自分に気づかされる。
    世の中は自分が思うよりも複雑で混沌としているのだ。
    またしても、まんまとしてやられるのだった。

  • ここで結末⁈
    ってめちゃこの後を観たいんだけど…笑
    この映画、広く浅く見せつけられて何を語りかったのか、複雑に薄っすらとわかる気がするんだけどハッキリ簡潔には語れないっす。こんなエンディングだし、さらに考えさせられてしまう。すっきりしないけどいろいろ考えるって事なら五つ星クラス!

  • 90年代のハリウッドを彷彿とさせる、良作。

  • ・ミルドレッド役のフランシス・マクドーマンド……クリストファー・ウォーケンやウィレム・デフォーに似ている。なんと「ファーゴ」の主演。
    ・ウィロビー署長役のウディ・ハレルソン……いかにもヤンチャ部下を従える上司。「ナチュラル・ボーン・キラーズ」「ノーカントリー」。
    ・育ちの悪い馬鹿警官ディクソン役のサム・ロックウェル……「月に囚われた男」の人だ!

    ネットでいろいろ漁ったとことによると、それぞれのテーマ曲が、
    ・ミルドレッド……マカロニウェスタン……復讐。
    ・ウィロビー……讃美歌……善き人。
    ・ディクソン……ABBA……ゲイの暗示。イヤホンで隠して聴いているというのがポイント。

    かなり漫画的というか、キャラクターがはっきりしているのだ。顔がキャラそのまんま。

    なんでもミズーリ州というところは中部だが、白人がマジョリティというのに、黒人差別の歴史を持つ。マーク・トウェイン「トム・ソーヤー」「ハックルベリー・フィン」、映画「ウィンタズ・ボーン」あたり。
    そして西部劇といえば、人物が復讐に支配される。
    この舞台設定も効果的。らしい。

    それを現代劇に仕立てるときに、まずはキャラクターの善い悪いを、揺らがせる。
    それも驚きの自殺の場面を経て。
    娘を殺されて、という観客が感情移入していた人物を、感情移入しにくくし、
    女黒人ゲイ差別主義者に視点を合わせることで、彼の物語にスライドさせ、
    つまり主役は1人ではなく3人で変わっていく……3つの看板。
    当初は復讐ものとしてのヒーローかと思いきや、悪に視点が合うことで、彼もヒーローへの憧れがあり……と。

    このへんで、憎しみの連鎖から、優しさの連鎖へと主題が移行していく。
    そこはかとなくほのぼのしたギャグが入ってくるし、
    看板屋がディクソンにオレンジジュースを乱暴に置き、そのストローを飲みやすいように動かしてやる、という、素敵な素敵な場面が、きっかけになっていると思う。
    この数秒、映画の歴史に残したい名場面だ。
    人は、それぞれの位置で、それぞれに相応しい行動をとることで、それぞれなりのヒーローになり得る、と。
    そして結末に吹く、爽やかな風……。何も解決も判明もしていないのに。

    展開の都合よさ……話していたら偶然居合わせた、とか、あんな犯罪して捕まらないなんておかしい、とか、は気になるが、ウェルメイドとはこういうことだという作品。

  • ★3.5

    これまたサスペンス系でオススメされていたので借りてみたが、これはヒューマンドラマですね。

    人と人は影響しあって生きている。
    誰かを尊敬し、誰かを傷付け、誰かに許され、誰かを許し。

  • 娘をレイプして殺した犯人を逮捕できない警察を非難する看板を立てた母親の話。無事に仇をとれるといいね。

  • 2017年 アメリカ
    監督 マーティン・マクドナー

    フランシス・マクドーマンド、サム・ロックウェル、ウディ・ハレルソン

    原題はやたら長い「THREE BILLBOARDS OUTSIDE EBBING, MISSOURI」
    ミズーリ州エビングの町はずれに警察を超批判する3枚の看板を設置するミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)
    娘が殺害されたのに一向に捜査が進まないことへのいら立ちで行動を起こし、ここからお話が始まります。

    「ヒルビリー」と蔑まれるように知識レベルも生活水準も低い人たちが愛と赦しで変化するお話。ざっくりすぎ?(笑

    ミズーリと言うところはアメリカ的にどういう意味があるか。
    アメリカの中西部に位置してて、今もなお人種差別が厳然とある。いわゆる低所得層の白人が多く住む。
    今のトランプさんの支持基盤ですね。
    そういう地域で生まれ育ち、特段優秀でもないのに警官になってるディクソン(サム・ロックウェル)
    本当にもう見るからに「頭悪いのか、アンタ」って言いたくなるキャラ。この俳優さん、上手いね。
    変な看板をおったてたミルドレッドに嫌がらせしたり、挙句の果ては広告代理店の経営者レッドを窓から放り投げるという。恐ろしい。

    そんなどうしようもないディクソンもウィロビー署長の最後の手紙で目覚めて最後はくすっと笑ういい人になってた。
    そう、最後は何となくみんながみんなを赦して心が広くなって終わった。
    事件は何一つ解決してないけど。

    ディクソンはウィロビーの愛とレッドの赦しで変化する。レッドがオレンジジュースのストローの向きを一生懸命変えてるところは泣けちゃうね。
    ミルドレッドも周囲の愛で変化する。笑えるようになるんだもんね。
    燃えてしまった看板をもう一回、作ろうってやってきた看板作った業者のお兄ちゃんにも泣けちゃうよ。

    主役のミルドレッド役はファーゴの主役だったフランシス・マクドーマンド。上手いね。
    ウィロビー署長はハンガーゲームシリーズのヘイミッチ。
    そしてゲームオブスローンズのティリオンも出てましたよ。ミルドレッドのことを慕ってる役で。

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