- Amazon.co.jp ・電子書籍 (170ページ)
感想・レビュー・書評
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「雑草という名前の植物はない」と言ったのは、先先代の天皇だが、雑草専門の図鑑というのは、ましてや総てカラー写真の図鑑は、寡聞にして私は見たことがなかった。もちろん「野の花図鑑」ならば、ネジバナも露草もスミレも、タンポポも踊子草も必ず載っている。しかしながら、日々目にして、それでも何十年も名前も正体も知らずに、我が庭に堂々と蔓延(はびこ)っている黄色や紫色の「ちょっと見には綺麗な」花は、今まで2冊ほど野の花図鑑を持っていたのだが、遂には分からなかった。大きな図鑑を紐解けばわかったのかもしれないが、その頃は写真を撮って調べに行くほどの気力もツールもなかったのである。
実は、2年半前に「山と渓谷社」がキャンペーンでprime reading に本書を下ろしてくれていた(今は外れている)。私は勇躍して直ぐにダウンロードしたのである(日常図鑑は電子書籍が圧倒的に便利)。そしたら、想定以上に綺麗な図鑑だった。バックを真っ暗にすることで、花の形や色が、くっきり写っている。ただダウンロードしてわかったのは、花の種類が150種弱しか扱っていないのである。もちろんカタバミ、大イヌフグリ、屁糞葛、葛、等々有名な草花もたくさん入っている。良いところは園芸種や山野草を掲載してなく街中で目にする「雑草」に特化してセレクトしていることなのだが、ちょっと気持ちが削がれて、これをもって散歩に行く時間がなくなり、そのままになっていた。
今年、我が家の庭は大きく荒れた(今年だけではないか‥‥)。少し以上に大きくなった雑草を抜くのが遅くなった。そしたら、つくわつくわひっつき虫が。私は勘違いしていたのだ。
「おや、この花は萩の花ではないか。いつのまに種がきたのだろう。萩の花は万葉集で最も扱われている花で、小さいけれど風情があるなあ‥‥」大間違いだった。私は初めて「雑草の花図鑑」を紐解いた。実もちゃんと載っている。間違いようがない。
「荒れ地盗人萩(あれちぬすびとはぎ)」でした。何が万葉集か!!外来種ではないか!しかも、このひっつき虫、一つの実は5連ぐらい連なっていて、くっつくと一つ一つが分かれ、しかも普通の虫よりもさらにひつこく、普通にはたいたぐらいでは少しも落ちない。しかも、本格に雑草切り(大きくなると、ちょっと抜けなくなる)をしたら、全身に無数にくっつくのである。「荒れ地盗人萩‥‥」絶対に名前を忘れないぞ!
また、可憐に小さな黄色い花も同時に咲いている。よくみると筒状の黄色い花がブーケのように集まっている。ところが、花の季節が終わると、茶色く花火ように実が成り出した。この茶色い花びらの閃光の一つ一つがひっつき虫である。花は無数になっていたので、これとも格闘しなければならない。
「小栴檀草(こせんだんぐさ)」である。熱帯アメリカからやってきた。お前の名前、覚えたぞ!
あといくつかの憎らしい雑草の名前もわかってきた。
それから、初夏にいつも庭の片隅で、ひっそりと紫の六弁の花を咲かせ、ひっそりといなくなる花の名前もやっと判明した。「庭石菖(にわせきしょう)」という。君の名前も忘れないようにしよう。 -
人間の縄張りで人知れずに上手く立ち回る生物の一つ、雑草に焦点を当てた写真集です。
あまり興味を持たれなかったり、持たれても邪魔物扱いであったり、世間の風当たりが強い雑草。
しかし、彼らが逞しく美しい存在であることを本書は伝えています。
別のレビューでも書きましたが、灯台もと暗しで身近には研究に値する課題がたくさん転がっています。
植物学としてのそれは、雑草なのかもしれません。 -
表紙の写真の花の可憐さと、紙の本の方のレビューが印象的で、ずっと読みたかった本です。図書館も閉館してしまってAmazonUnlimitedに入っていたので、喜んで読了しました。
小さな雑草をアップで撮ると、中には何故か、怖いと感じてしまう花もありましたが…それにしても。基本的にどの花も綺麗で、ちいさいのに健気な感じがします。好きだった花は、小待宵草・蛇苺・藪蝨・春紫苑・姫女苑・桔梗草・オオイヌノフグリに胡瓜草。露草にツボスミレ。夕化粧の花も…。
書いてみて思うのですが、なんと美しい名がついていることか。コロナウィルスの影響で、自由な行動は取れませんが、散歩の折に一輪でも目にすることが出来たなら、心安らぐことでしょうね。観光地に行けないとか、がっかりしていないで、時には一人で、ちいさな花に目を留める。群れないでも出来る楽しみを、自然から分けてもらうのはどうでしょう?
ああ、もちろん愛らしい花だからって、心なく摘んではいけませんよ。すぐにくったりとしてしまいますから。『やはり野に置け蓮華草』というではありませんか。 -
子供との散歩のときに見る雑草の名前がわかったらいいなと思い手に取りました。
小さな花を大きく拡大した美しい写真が豊富に掲載されており、眺めているだけでも癒されます。読み応えのある解説、ページ全体のレイアウトも素敵です。
紙媒体で購入したくなりました。 -
オオバコ、シロツメ草、ムラサキツメ草、カキオドシ、イノコヅチ、西洋タンポポ、スミレ、キュウリグサも食べられるとは知りませんでした。 余り目立たない雑草の花も一生懸命生きているのだなと思いました。
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楽しい!!
ただ通り過ぎていた足元の草花にこんな世界があるのだと、まだまだ知りたいことがたくさんある!と、ワクワクします
面白いレビューに笑ってしまいました。
「荒れ地盗人萩」ってすごい名前ですね。
写真を検索したら、このひ...
面白いレビューに笑ってしまいました。
「荒れ地盗人萩」ってすごい名前ですね。
写真を検索したら、このひっつき虫、わかる!
めちゃくちゃしつこいやつー!!
私も「荒れ地盗人萩」の名前覚えました。
名前はつくづくと大切です。
何故「盗っ人」というかというと、盗っ人が地下足袋で歩いた跡が、実の形に似ているからだ...
名前はつくづくと大切です。
何故「盗っ人」というかというと、盗っ人が地下足袋で歩いた跡が、実の形に似ているからだそうです。
名前がわからないころ、何度か雑草の伐採が遅れてくっつき虫の被害に遭ったことはあったのですが、それとあの花との関連がなく、この2年ほどは教訓を生かして夏のすぐ後に刈っていたので花も見ず被害にも遭っていなかったのです。今年は、萩の花を愛でるばかりについ遅れてしまって、気が付いた時にはひっつき虫だらけになっていました。未だに服の間から彼奴が出てきます。名前をしることで、彼奴の全体像を覚えることができる。名前は好きになるにしても、嫌いになるにしても、重要なのです。