奇跡の人 The Miracle Worker (双葉文庫) [Kindle]

  • 双葉社 (2018年1月11日発売)
3.92
  • (18)
  • (16)
  • (14)
  • (1)
  • (2)
本棚登録 : 180
感想 : 21
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・電子書籍 (350ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 途中で、ヘレン・ケラーさんとアン・サリバン先生がモデルになってるんだと気がついて、大好きで尊敬する二方なので嬉しくなった。
    三重苦で奇声を発したり暴れたりと蔵のなかに1人で三年間閉じ込められていたれんを見て、安がれんの人間としての尊厳を取り戻そうと奮闘するところが、ただただすごいなと思った。こちらの意思が通じなければ難しいとれんの家族のように私も諦めてしまうだろうなと思った。
    安が教育する中で、れんの人間としての尊厳を取り戻すために、お人形として可愛がられるのではなくて人間として生きる喜びを感じられるところまで、という言葉が印象的で、ストイックに、目標を定めてひるまず向かっているところにも感銘を受けた。ただ、もっと驚くのは、これが小説ではなくて似たことが本当にあったことで、またヘレン・ケラーの本を再読したいと思った。

  • 日本版ヘレン・ケラーの物語。
    サリバン先生は「去場 安(さりば あん)」。
    ヘレン・ケラーは「介良 れん(けら れん)」として登場する。舞台は青森・津軽。

    何の前情報もなく、図書館で引き寄せられるようにして手に取った本だった。
    この前に読んだ「音のない図書館」という本で、ヘレン・ケラーが登場していたこともあり、あらすじを読んで、運命を感じた。これは読むしかない!と。
    で、一気読みしてしまいました。原田マハさんの本って、なんだかいつも思うけど映画を見ているようなんだよなあ。頭の中に映像や人物像が浮かびやすくて。

    獣の子のようだったれんが、安先生と関わるなかで、スポンジのようにどんどん物事を吸収していく様は鳥肌が立った。
    数々の試練にも負けない安の粘り強さ、肝の据わりようにも感服しました...

    れんを持て余して、蔵に閉じ込めっぱなしだった両親が、少し行儀がよくなった途端に、安とれんを引き離そうとする展開なんか、ほんとに勝手な奴らだな!!じゃまするなよ!と私は苛立ったけれど、同時にハっとした。
    今まで、甘やかすことすらもかなわなかった娘とコミュニケーションが取れるようになった兆しが出てきたら、甘やかしたくなるのも当然かもしれないと...私だったら同じようにしていたかも。
    でも、れんのためを思うからこそ、たたかった安先生の姿には本当に鳥肌が立った。
    あくまでも1人の人間としての自立が大事なんだものね。優しく甘やかす、手助けするだけでは得られないものがたくさんあるんだよなあ。

    さて、盲目の旅芸人の少女・浪野キワも、実在の人物がモデルになっているとか(小林ハルさん)。
    この方の伝記なんかもあったりするのかしら。気になる、調べてみよう!

  • ヘレン・ケラーとサリバンを明治時代の津軽に翻案した小説。
    家制度が色濃く、女性への教育が軽んじられていた時代と掛け合わせられていて、おもしろい試みだった。

  • 個人的に原田マハは「読んでいる間楽しめればそれでいい」と思っている。
    しかし、この本はどうなんだろうなぁ…

    ヘレン・ケラーの人生に瞽女さんという存在を交差させた物語を描きたかったんだろうけど、三重苦の少女が物には名前があると知るまでの数々が、ヘレン・ケラーの有名な「ウォーター!」とまったく同じで、自分は一体何を読まされているのだろう…と鼻白んだ。

  • 『奇跡の人』というタイトル、そして見えない、聞こえない、話せない、三重苦の女の子。
    とくればヘレンケラーにすぐ結びつく。
    登場人物の名前もヘレンケラーとサリヴァン先生がもじってある。
    だけど、違う。時代は同じだし、先生の尽力で女の子が成長していく展開は同じ。でも国が違えばこうも違うのか、と。

  • 実在した人物の物語をフィクションで描いている。舞台が青森なのは何故?と思いながら読み進めるうちになるほど…と納得。りんの変化、安先生の努力、愛の話ではあるのだが、厳しい環境の中での優しい人たちとのエピソードにホッとする。女中のハル、金木の女中のひさ、そして女ボサマのキワ。キワの去り際にジーンとしてしまう。
    題名=ヘレンケラー。自分はストーリーを知り尽くしている分感動は少なかった。しかし、青森を舞台にしたストーリーは、また違ったおもしろさだった。さすがの原田マハ。

  • 泣けるわあ。
    幼い、れんとキワが目に浮かぶ。

  • 随所で目頭の熱くなる場面があり、感動を覚えました。冒頭のキワが、あのキワかと。
    藤本吉右衛門の書簡を安が紛失し、何の伏線?どういう展開?と思って読み進んだが特に回収もなく。毒騒動の発端にあの描写が必要だったのかなと自分なりの解釈をしました。

  • 最初は読みにくさがあったけど、だんだんとレンの成長が気になり途中からは加速し、最後は涙を堪えて読み終えた。

  • 戦後間もない時代の日本での、ヘレンケラーの物語。
    明治時代に、三重苦を背負った少女の教育に取りかかったアメリカ帰りの女性教師。文体は原田マハらしく読みやすく、スラスラ読めた。
    文字や言葉という概念を伝えることが難しい。

  • なんて美しいのだろうと思った。
    主要な登場人物の心が高潔で美しくて、浄化されたような気分だ。

    目が見えない、耳が聞こえない、話せない、と聞いて連想したとおり、ヘレン・ケラーとサリバン先生のお話の舞台を、明治時代の日本に移したフィクションだった。
    「けものの子」として人間扱いされてこなかったれんは、アメリカ帰りで自らも弱視の安先生の必死の授業によって、人間らしさや愛情を知っていく。
    れんと安の授業は壮絶で、安の覚悟や愛情、れんが成長していく様子に胸を打たれた。れんと安を支えた女中のハルやひさの優しさにも感動した。

    れんが人間らしく成長した大きな助けになったのは、盲目の少女キワとの出会いだった。
    キワはボサマと呼ばれる津軽地方の旅芸人で、三味線を弾いて唄い、民家から施しを受けて生活していた。同じ年ごろのれんとキワ。今まで少女らしく遊んだことも、友だちという存在がいたこともなかったであろう二人が、会話できなくとも心を通わせる様子がほほえましく、切ない。キワは旅芸人で、いつまでもれんのそばにいられない。

    れんは安のもとで教育を受け続け、学校へ通い、アメリカ留学も果たした。英語も理解できるようになった。
    でも、キワは?キワが安とれんの元を去ったあとのことは描かれていない。きっと過酷で壮絶だったことだろう。安の授業で「文字」の存在を知ったキワ。全盲だが聞こえるし話せるので、理解も早くどんどん文字を習得していった。あのまま安の元で授業を受けられていたら…と思わずにいられない。

    老婆になり、国の重要無形文化財に選ばれたキワ。
    キワのモデルは、越後瞽女の小林ハルさんなのではないか。
    ハルさんは幼少の頃に全盲になり、そのせいで家の奥の部屋に閉じ込められていた。兄からは「お前のせいで嫁がもらえない」と虐待されていた。このあたりは、れんの境遇と重なる。
    当時すでに盲学校はあったが入学させず、ハルさんは瞽女の修行に出された。
    想像を絶する過酷な日々を何十年も過ごし、晩年に重要無形文化財に選ばれた。

    女性であることに加え、障害を持った人間が生きることが、明治時代の日本でどれほど苦しかったか。
    この本に登場するすべての女性や、小林ハルさんのことを思うと涙が流れた。

  • ヘレンケラーとサリバン先生の実話を基に、言葉を使うことの尊さを感動的に描き出す、原田マハさんの作品。自らも弱視というハンデを背負いながらも正面かられんに向き合い、一人の少女の人生を救い出す過程を一般の読者にも分かりやすい表現で書き出した作品。一人の人間が人間として自己表現をする上で、ハンデにとらわれずに成功をつかんでいく過程には、人間が人間らしい瞬間が沢山あるんだろうと感じた。ハンデがあっても強く生き抜いた人々がいる一方で、五体五感満足の我々は膨大な時間をSNSやジャンクフードに費やして何をしているのだろう。本当にやりたいことを実現するために何ができるか考えよう。

  • この物語は、奇跡の人ヘレンケラーの日本版であるが、三重苦の人間に生きる希望を見出した物語だけではなく、原田マハさんの独特で独自の伝えたいことがプラスされている。ヘレン・ケラーが介良れん、アン・サリバンが去場安で、名前が似せているので笑ってしまった。しかし、舞台が津軽という「和」テイストで、全く違う話のように読者は感じたのではないか。明治時代で障がい者を家の恥で隠したいという風潮が根強い時代でもあり、蔵へ閉じ込め放置や監禁などの虐待があり、津軽の冬の雪景色が相まってより一層閉鎖的なもの悲しさを感じた。主人公の安がその時代で、アメリカ留学を経て、女性の社会進出を自己の目標にし、安自身も弱視で将来見えなくなる不安をかかえながらも、非常に強く凛とした女性像に現代の女性を重ね見た。れんをどうにかして自立した女性に育て上げる、何があっても決して負けない、れんを信じる、自分を信じる姿に心を動かされた。また、最後にれんがどう生きたかが興味をそそられるところであったが、海外留学をして逞しく生きていることが分かりホッと胸を撫でおろした。れんとキワの友情が何十年という月日を経て、お互いがいい生涯の末再会出来、温めていた決して忘れなかった想いを伝え合えたであろう最後は感動を覚えた。

  • 名前も設定も惹かれるものではなかったがさすが原田マハさん。
    物語が進むにつれてオリジナルな展開になり、そして最後は素晴らしい終わり方でした。

  • 2023/12/28

    読んでる途中でヘレン・ケラーやんって思ったら最後に書いてあった。キワの話かと思ってたけどほぼでてこんかった。

  • 津軽を舞台にした日本版ヘレンケラーとサリヴァン先生の物語。
    耳も聞こえず目も見えない子どもの先生をすること、どんなに大変だろうと思うけれど、安先生はめげずにれんと向き合う姿に感動した。奇跡の人とはヘレンケラーではなく、サリヴァン先生の事だというのにも納得。
    また友情の物語でもあった。先生と生徒の関係だけでなく、キワの存在とれんとの関係性が好きだった。

  • 最後のページで初めてスッキリする本。
    最後の読むまではずっとモヤモヤしてたかも、、
    また母親の愛情&優しさについて考えされられた。母親の愛情、優しさて何より重要だし尊いけど、
    一歩間違えれば悪影響にしかならないものなんだなと。周りのみんなにも言ってやりたいぜ!

  • 読み始めると気づくと思いますが、ヘレン・ケラーとサリヴァン先生の日本版といった感じでしょうか。

  • ヘレンケラー・サリバン先生の話と色んな話を混ぜたような原田マハさんのたくみな技術が混じった作品でした。安がれんを信じてあげる気持ちが奇跡を生むと考えると自分も家族・仲間をとれだけ信じてあげられるかが本当に重要なのだと思う。

全19件中 1 - 19件を表示

著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

原田マハの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×