奇跡の人 The Miracle Worker (双葉文庫) [Kindle]

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  • 双葉社
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感想・レビュー・書評

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  • 途中で、ヘレン・ケラーさんとアン・サリバン先生がモデルになってるんだと気がついて、大好きで尊敬する二方なので嬉しくなった。
    三重苦で奇声を発したり暴れたりと蔵のなかに1人で三年間閉じ込められていたれんを見て、安がれんの人間としての尊厳を取り戻そうと奮闘するところが、ただただすごいなと思った。こちらの意思が通じなければ難しいとれんの家族のように私も諦めてしまうだろうなと思った。
    安が教育する中で、れんの人間としての尊厳を取り戻すために、お人形として可愛がられるのではなくて人間として生きる喜びを感じられるところまで、という言葉が印象的で、ストイックに、目標を定めてひるまず向かっているところにも感銘を受けた。ただ、もっと驚くのは、これが小説ではなくて似たことが本当にあったことで、またヘレン・ケラーの本を再読したいと思った。

  • ヘレン・ケラーとサリバンを明治時代の津軽に翻案した小説。
    家制度が色濃く、女性への教育が軽んじられていた時代と掛け合わせられていて、おもしろい試みだった。

  • 個人的に原田マハは「読んでいる間楽しめればそれでいい」と思っている。
    しかし、この本はどうなんだろうなぁ…

    ヘレン・ケラーの人生に瞽女さんという存在を交差させた物語を描きたかったんだろうけど、三重苦の少女が物には名前があると知るまでの数々が、ヘレン・ケラーの有名な「ウォーター!」とまったく同じで、自分は一体何を読まされているのだろう…と鼻白んだ。

  • この物語は、奇跡の人ヘレンケラーの日本版であるが、三重苦の人間に生きる希望を見出した物語だけではなく、原田マハさんの独特で独自の伝えたいことがプラスされている。ヘレン・ケラーが介良れん、アン・サリバンが去場安で、名前が似せているので笑ってしまった。しかし、舞台が津軽という「和」テイストで、全く違う話のように読者は感じたのではないか。明治時代で障がい者を家の恥で隠したいという風潮が根強い時代でもあり、蔵へ閉じ込め放置や監禁などの虐待があり、津軽の冬の雪景色が相まってより一層閉鎖的なもの悲しさを感じた。主人公の安がその時代で、アメリカ留学を経て、女性の社会進出を自己の目標にし、安自身も弱視で将来見えなくなる不安をかかえながらも、非常に強く凛とした女性像に現代の女性を重ね見た。れんをどうにかして自立した女性に育て上げる、何があっても決して負けない、れんを信じる、自分を信じる姿に心を動かされた。また、最後にれんがどう生きたかが興味をそそられるところであったが、海外留学をして逞しく生きていることが分かりホッと胸を撫でおろした。れんとキワの友情が何十年という月日を経て、お互いがいい生涯の末再会出来、温めていた決して忘れなかった想いを伝え合えたであろう最後は感動を覚えた。

  • 名前も設定も惹かれるものではなかったがさすが原田マハさん。
    物語が進むにつれてオリジナルな展開になり、そして最後は素晴らしい終わり方でした。

  • 2023/12/28

    読んでる途中でヘレン・ケラーやんって思ったら最後に書いてあった。キワの話かと思ってたけどほぼでてこんかった。

  • 津軽を舞台にした日本版ヘレンケラーとサリヴァン先生の物語。
    耳も聞こえず目も見えない子どもの先生をすること、どんなに大変だろうと思うけれど、安先生はめげずにれんと向き合う姿に感動した。奇跡の人とはヘレンケラーではなく、サリヴァン先生の事だというのにも納得。
    また友情の物語でもあった。先生と生徒の関係だけでなく、キワの存在とれんとの関係性が好きだった。

  • 最後のページで初めてスッキリする本。
    最後の読むまではずっとモヤモヤしてたかも、、
    また母親の愛情&優しさについて考えされられた。母親の愛情、優しさて何より重要だし尊いけど、
    一歩間違えれば悪影響にしかならないものなんだなと。周りのみんなにも言ってやりたいぜ!

  • 読み始めると気づくと思いますが、ヘレン・ケラーとサリヴァン先生の日本版といった感じでしょうか。

  • ヘレンケラー・サリバン先生の話と色んな話を混ぜたような原田マハさんのたくみな技術が混じった作品でした。安がれんを信じてあげる気持ちが奇跡を生むと考えると自分も家族・仲間をとれだけ信じてあげられるかが本当に重要なのだと思う。

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

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