革命前夜 (文春文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 歴史の大きなうねりの中で、音楽を通した喜怒哀楽 いや、、、嫉妬と愛かな? を書いている。私は大きな変化のある小説を好むので、そこまで面白いとか、夢中になって読んだということではなかった。

  • 久々に世界観にどっぷり浸った。
    ピアノは超素人なんだけど、『蜜蜂と遠雷』のおかげでカデンツァとかは少しわかった。それよりも、1989年の東ドイツという絞り切った世界線と音大留学生という絞り切った設定でここまで世界を広げられるなんて素晴らしすぎる。この小説をどうやってカテゴライズするべきかわからないけれど……
    私が小3の時の担任はちょうどベルリンの壁崩壊の日に東ドイツにいたらしく、普段は本当に夜静かでホテルで咳き込めば壁ドンされるくらいなのにその日は熱狂が街を包んでいて、乗っていたバスを住民が取り囲んで窓を叩いて動けなかったくらい、皆もろ手を上げて夜な夜なお祭り騒ぎをしていたと聞いたことがある。それをこの作品のフィナーレでふと思い出した。
    あとがきの「書けないものない系作家」という比喩が面白い。本当に無敵な気がする。

  • 読んでると音楽が聞こえてくる本だった

  • 1989年の東ドイツを描く時代もの
    ドレスデンの音楽学校に入学した日本人の目から
    当地の人びとと各国からの留学生と
    国の崩壊と芸術におけるひとつの達成を織り成して描く
    この現代においてなぜ東ドイツは自壊したのか
    何が歴史を動かしたのかという物語はとても魅力的だが
    それを証言して浮かび上がらせるのは確かに難しく
    けれど楽しい過程だろうなと思う
    小説としてまとめるにあたり
    主人公がなんらかの区切りに達することで
    終幕しなければならないが
    そこに作者の従来作同様の持ち味が出ていたし
    同時に題材を展開させ走らせていく過程に比べて
    抜きがに主人公の介在の少なさを感じて
    不満にもなるところは変わらなく思う

  • バッハが聴きたくなります。



    クラシック音楽に詳しくない自分は、

    読み始めが少々もたついてしまいましたが、

    読み進めると圧倒的な音楽描写に引き込まれます。

    途中からはバッハやベートーヴェンをBGMにしながら読んでました。

    無性にクラシック音楽を聴きたくなってくる物語です。



    しかし、須賀しのぶさんの表現力のすごさに圧倒されました。

    まるでその時代を観ていたかのような、生きたかのような・・・。

    クラシックにかなり造詣が深いのかと思います。

    初めての作家さんでしたが感動しました。







    背景は「革命前夜」のタイトルにも想像されるように、

    ベルリンの壁崩壊直前の東ドイツです。



    後半は音楽性の物語に加えて、ぐぐっとミステリー色が濃くなります。

    それがまた私の心を魅了いたしました。





    これは今まで経験したことの無いジャンルの本でしたが、

    これを薦めてくれた友人に感謝です。

    今年呼んだ本の中でもかなり上位に上げられる本です。

  • バッハに憧れ東ドイツ・ドレスデンの音楽大学に入学したピアニスト眞山柊史は、斜陽の共産国家体制が生む事件に巻き込まれ、なかなか自分の音楽に集中できない。政治・宗教・恋愛、希望と絶望など音楽と切っても切れない出来事を効果的にちりばめ、独特の世界観で流れるストーリーは面白かった。ベルリンの壁崩壊という歴史的革命時にラカトシュ・ヴィンツェルから柊史に届いたピアノ・オルガンデュオ「革命前夜」はどんな曲だろう。クリスタのオルガン聴いてみたい。

  • p.2021/5/14

  • 歴史×音楽×ミステリー。いやー。これは衝撃でした。ポップのとおり、放心状態。

    ベルリンの壁崩壊まで圧倒的な想像力と構成力で突き進む、若き音楽家たちの骨太な歴史小説
    https://books.bunshun.jp/articles/-/4144

  • 体制崩壊直前の東ドイツという舞台、多彩なキャラクター設定、抑揚の効いたストーリー展開、そしてそれらを繋ぐのは音楽というプロトコル。全てにおいて完成度が高いすごい小説。本読みでよかったなあと思える瞬間。一つだけ回収されてなかった伏線は解説を読めば分かります。そしてその事であらためてこの小説の巧みさと深さに驚くことになります。

  • 冷戦前後のドイツを舞台にしたミステリー・恋愛・歴史・音楽小説

    日本人留学生のマヤマに降りかかる様々なドラマに目が離せなかった。
    読み進めるうちに東ドイツと西ドイツの情勢の違いやそこに暮らす人々の価値観や観念の違いが豊かに描かれていた。

    ・音楽性の違いを父親から学んだこと
    「私の心には一切響かない。相性の問題かもしれんがね」

    ・監視の目から逃れられない東ドイツの生活
    「生活のいく深くまで入り込んだ監視の目、安らぎなど存在しない日々。(中略)いずれ捨てるのだからと、どんどん削ぎ落としていった(家具の少ない部屋に対して)」

    ・シュタージに通報したヘルベルトの自供
    「ニナのためにもこの生活を失うわけにはいかない。(中略)娘に罵倒され、周囲に軽蔑されてでも守りたかった「今までの生活」とは果たしてなんの価値があるのか」

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著者プロフィール

『惑星童話』にて94年コバルト読者大賞を受賞しデビュー。『流血女神伝』など数々のヒットシリーズを持ち、魅力的な人物造詣とリアルで血の通った歴史観で、近年一般小説ジャンルでも熱い支持を集めている。2016年『革命前夜』で大藪春彦賞、17年『また、桜の国で』で直木賞候補。その他の著書に『芙蓉千里』『神の棘』『夏空白花』など。

「2022年 『荒城に白百合ありて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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