アニメ化するとのことで読み始めてみたのですが、清々しいほどの俺TUEEEEEEでした。あとがきでそういう主人公が書きたかったと言っているだけあり、最初から最後まで潔く主人公最強無双です。
「蘇生くらいできないと死んだら死んでしまう」「心臓を潰した程度で殺したと思ったか?」等々、主人公のアノスくんが周囲からどれほど浮こうと堂々と魔王ムーブを貫き上から目線ならぬ魔王から目線で文章が進んでいくので、周り中から馬鹿にされたり嘲笑われたりする展開が苦手でも普通に読めます。口調も態度も考えも偉そうではあるのですが、自分は魔王の始祖である、自分は絶対に負けない、という自覚がありそれを隠すこともなく我が道を行くので読んでいて不快感はありませんでした。魔王ジョークで受けを狙ってみては滑り続けているところがアノスの一番好きなところです。
ヒロインは無表情で無口だけれど出会ってすぐに主人公と仲良くなったミーシャと、何かと突っかかってくるツンデレのサーシャというこちらもテンプレです。ミーシャに必要以上に辛く当たるサーシャの心情や二人の秘密もテンプレでしたが、王道な展開が好きならばハラハラはせずとも楽しく読めると思います。主人公を取り合うよりは三人ともそれぞれが大好きという関係が好きなので、あまり恋愛寄りにならないといいなぁとは思っているのですが、まぁそこはラノベなので普通に恋愛もやるのでしょう。
終盤のアノスは魔王ではなくヒーローですね。序盤の遊び半分だのうっかりだので人を殺して生き返らせてゾンビにして弟に兄を襲わせる、外道を極めたアノスも好きなので周囲ドン引きエピソードを次巻以降も序盤なら見られると期待しています。
両親ネタが二回目で既にくどいのに三回もやったという点が一番の欠点でしたが、総合的には割り切った主人公無双が面白かったのと偽の魔王が気になるので続きも読みます。