- Amazon.co.jp ・電子書籍 (319ページ)
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
せつないはなし
-
★3.8
-
夫婦生活を通じて子どもに恵まれなかった40代女性・佐都子と、望まぬ妊娠をしてしまった中学2年生・ひかりのお話でした。
佐都子はまさしく絵に描いたような良妻賢母です。特別養子縁組の我が子(6歳)に対する接し方や、子自身の素直さから、いかに立派な母であるかが描かれます。一方、ひかりは昭和の教師の父母が考える「普通」に縛り付けられて生きてきて、彼氏と”進んだこと”をする優越感で姉や両親を馬鹿にさえしている。二人は非常に対照的な「親」と「子ども」です。
また同時に、ひかりの両親も佐都子とは対照的です。自分があるべきと考える理想的な子どもの像を押し付けて、だからこそひかりも反発し続けてしまう。きっと、ひかりの母親が佐都子のような女性であれば、ひかりは望まぬ妊娠をすることはなかったかもしれない、したとしてもこれほど転落した人生を歩むことはなかったかもしれない。解説では佐都子とひかりの対比でしたが、私にはひかりの両親と佐都子との対比もされているように読めました。
佐都子にとっては、先の見えない、長く過酷な不妊治療を続けた末に、ひかりにとっては、望まぬ妊娠以来、本当に心を許せる相手がいなくて自分でも知らないうちにいた夜半のような闇の中に、「朝が来る」。タイトルと子の名が鮮烈に作品を彩る物語でした。 -
どちらの母親の話も涙なしでは読めなかった。良かった。みんな一生懸命なのに、かけちがっていくのはそれぞれの運命なのかな
-
自分の感情とはままならないもので、そうなりたい訳でないのにそうなってしまうと言うことも多いと感じる。世の中には優しさもあるし、無関心も同じくらいあるし。最後のシーンが綺麗だった。
-
おもしろ!一気に読んだ
嫌われ松子の一生を思い出した -
清廉な育ての親と、堕落してく行く産みの親との前後半での落差と結末が秀逸でした!