朝が来る (文春文庫) [Kindle]

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  • 文藝春秋
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感想・レビュー・書評

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  • 夫婦の間に6歳の年長の息子。
    第一章で友達が息子にジャングルジムから突き落とされて足を捻挫する。息子は否認する。
    ママ友からは治療費を請求されるも、否認してるので断るとギスる。結局友達が嘘付いてたので、ギス戻りする。

    第二章では、息子は養子だったことが明かされる。
    不妊治療。男性の無精子症。金玉を切って精子を取り出すなど。それも高額で休みの調整も大変で、諦める。その後、事情があって育てられない子供を育てる養子縁組を利用する。その葛藤。

    生みの親だと名乗る女がやってきて、養子だとバラすぞ!金よこせと言うも、実は養子であることは周囲にも本人にも伝えていて、それどころか子供は生みの親のことも思っていると聞く。

    生みの女は中学生で出産した。同級生の彼氏との間の子。出産後、実は育ての親と面会してる。その後はグレて高校途中で親の金を取って家出して、広島で新聞配達して生活するも同部屋の女にハメられて横浜のホテル清掃するも、借金取りが横浜までやってきて、ホテルの金を奪って借金取りに渡す。そこで育ての親を強請ることを思いつく。

    が、失敗し、道を放浪してるところで、育ての家族に迎え入れられるところでおしまい。

    親とは…と考えさせられた。

  • せつないはなし

  • ★3.8

  • 2つの物語が重なる最後のシーンがとても良かった。まさに朝がきた。という情景が浮かんだ。
    高齢の夫婦が不妊治療に悩む様子も、世間知らずの子どもが望まない妊娠をして人生が狂っていく様子も、読んでいて辛かった。

  • 読み終わって涙が止まらない
    苦しすぎる
    不妊治療をするご夫婦の視点も、中学生で出産した女の子の視点も、自分の人生では持ってなかったから
    見えてなかった部分が一気に明るみになった感じ。
    なるべくしてこうなっている、とすごく納得できて
    あまりに感情移入しすぎて途中でちょっと読むのを休んだ。

    二人でも幸せと思っていたはずなのに、いざ子どもができないとなったら不妊治療に臨むことになる様子、周りからの圧力や男女差。
    中学生での交際、偏った性教育、理解されない孤独、分かり合えない価値観、幼い同級生

    もうなんかずっと全部苦しかった
    辻村さんの本を読むと世界が違う見え方をするから本当に大好き、毎回自分を削りながらそれでも読み進めてしまう魅力がある

  • 夫婦生活を通じて子どもに恵まれなかった40代女性・佐都子と、望まぬ妊娠をしてしまった中学2年生・ひかりのお話でした。
    佐都子はまさしく絵に描いたような良妻賢母です。特別養子縁組の我が子(6歳)に対する接し方や、子自身の素直さから、いかに立派な母であるかが描かれます。一方、ひかりは昭和の教師の父母が考える「普通」に縛り付けられて生きてきて、彼氏と”進んだこと”をする優越感で姉や両親を馬鹿にさえしている。二人は非常に対照的な「親」と「子ども」です。
    また同時に、ひかりの両親も佐都子とは対照的です。自分があるべきと考える理想的な子どもの像を押し付けて、だからこそひかりも反発し続けてしまう。きっと、ひかりの母親が佐都子のような女性であれば、ひかりは望まぬ妊娠をすることはなかったかもしれない、したとしてもこれほど転落した人生を歩むことはなかったかもしれない。解説では佐都子とひかりの対比でしたが、私にはひかりの両親と佐都子との対比もされているように読めました。

    佐都子にとっては、先の見えない、長く過酷な不妊治療を続けた末に、ひかりにとっては、望まぬ妊娠以来、本当に心を許せる相手がいなくて自分でも知らないうちにいた夜半のような闇の中に、「朝が来る」。タイトルと子の名が鮮烈に作品を彩る物語でした。

  • どちらの母親の話も涙なしでは読めなかった。良かった。みんな一生懸命なのに、かけちがっていくのはそれぞれの運命なのかな

  • 自分の感情とはままならないもので、そうなりたい訳でないのにそうなってしまうと言うことも多いと感じる。世の中には優しさもあるし、無関心も同じくらいあるし。最後のシーンが綺麗だった。

  • おもしろ!一気に読んだ
    嫌われ松子の一生を思い出した

  • 清廉な育ての親と、堕落してく行く産みの親との前後半での落差と結末が秀逸でした!

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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