最狂超プロレスファン烈伝３ [Kindle]

著者 : 徳光康之

• ナンバーナイン (1999年11月1日発売)

感想・レビュー・書評

[mitu310さんの感想 · 2020年5月6日]

プロレスのない世界があったらどうするのか？

鬼藪はひょんなことから「プロレスのない並行世界」へ行ってしまう。

念願であった彼女との観戦デート。
だがそれはプロレスではなかった。

1954年12月22日。蔵前国技館。昭和の巌流島決戦。
力道山は木村政彦にノックアウトされて、プロレスを廃業していた。

なので暗殺もされないし、そのまま実業家として成功して現代まで活躍していた。

馬場正平は、大洋ホエールズを解雇された後、読売ジャイアンツに復帰。前人未到の600勝を成し遂げようとしていた。

猪木寛治は、家族と渡ったブラジルで苦労に苦労重ねて大成功。ブラジル代表でオリンピック出場。砲丸投げで金メダルを獲得。その後政界に進出し、初の日本出身者初の大統領となっていた。

前田日明は、渡米し空手で夢を実現。

佐山聡は、新格闘技を立ち上げていた。

鶴田友美と吉田光雄はレスリングの第一人者。

坂口征二とウィリエム・ルスカは、「プロ柔道」の第一線で活躍していた。

鬼藪は力道山に語り掛ける。

「取り戻しに行きましょう、プロレスを！」

そこからの展開は、痛快無比。空前絶後。

何度読み返しても、熱いものが込み上げてくる。

プロレスは、選手がいて、リングがあって、ファンがあってのもの。

闘いの舞台は、時間も空間も超える。

唯一無二の、ファンが主人公の物語が語り継がれていく。