教養としての平成お笑い史【電子特典付】 [Kindle]

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  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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感想・レビュー・書評

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  • 何かを得れば何かを失う。それが世のことわりというもの。本書を紐解き私はしっかりと認識した。平成の世に、私の記憶から「お笑い」の記憶がすっぽり抜け落ちていることを。(80年代含めて)1989年から2005年にかけて、私はテレビそのものをほぼ見なかった。それが今床抜け問題を抱えた蔵書となって私を苦しめている。そこから2014年にかけて録画を覚えた私は、ドラマはチェックするようになったと思う。2015年から現在、おそらく人並みにテレビを見るようになって、ここに出てくる名前の8割ほどは理解できるようになっている。私には「お笑い」という名の「教養」がすっぽり抜け落ちていた。

    「値観が多様化している現代においても、お笑いや芸人に関することだけは幅広い世代に共通の話題となりうる。平成を生きた私たちは何らかの機会にそれらに触れていて、少なからず影響を受けているからだ。
     そういう意味で、平成のお笑い史は一種の「教養」として振り返っておく価値がある。
    (「はじめに」より)」

    おゝ、そうなんだ。ずっと違和感持ってたんだ。どうして街頭の人たちは、インタビューを受けたら、ああも私の知らない芸人の名前ばっかりすらすらと口に出てくるのか。映画俳優の名前は私も詳しいけど、彼らの教養の広さは私を遥かに凌駕している。

    いろいろと学ばせてもらいました。
    これを手に取ったのは、最近知ったZ世代の「教養」というものに興味を持ったことと、電子書籍で100円まで価格が下りてきたこと。学びは多かった。

    大きくスケッチすれば、
    90年代はさんま、たけしらの大御所に松本らの若手が猛追したころ、
    2000年代は芸人が有象無象に出てきて、テレビでひな壇で発言していた頃、
    2011年大震災で一旦お笑いはリセットされて新しいスターは出にくくなってきているそう。
    社会との関係や、インターネットとの関係などの掘り下げは弱いように感じたけど、ひととおりの経過を知るには良い本だと思う。私の知ったことは、皆さんご存知だと思うので、大体の構成をお知らせするために以下に目次を載せる。


    1章 1992年(平成4年) 明石家さんま離婚
    2章 1994年(平成6年) ビートたけしバイク事故
    3章 1995年(平成7年) 山田邦子、不倫報道で人気凋落
    4章 1997年(平成9年) 松本人志『ごっつええ感じ』降板
    5章 1998年(平成10年) 萩本欽一、長野五輪閉会式の司会
    6章 2000年(平成12年) 上岡龍太郎、引退
    7章 2003年(平成15年) 笑福亭鶴瓶、深夜の生放送で局部露出
    8章 2007年(平成19年) 有吉弘行、品川祐に「おしゃべりクソ野郎」発言
    9章 2007年(平成19年) サンドウィッチマン『M-1』で敗者復活から優勝
    10章 2010年(平成22年) スリムクラブ『M-1』で放射能ネタ
    11章 2011年(平成23年) 島田紳助、引退
    12章 2014年(平成26年) タモリ『笑っていいとも!』終了
    13章 2015年(平成27年) 又吉直樹、芥川賞受賞
    14章 2016年(平成28年) ピコ太郎『PPAP』が世界中で大ヒット

    【電子特別特典付き】
    電子書籍版には、加筆したコンテンツを収録。
    2019年(令和元年) 吉本芸人が闇営業で謹慎処分に

  • 詳しい人には少し物足りないかもしれないが、ドリフ以後の芸能史をしるにはいいと思いました。

  • 猿岩石で一世を風靡し一気に凋落した有吉。ブレーク後、仕事がなく、ただテレビを毎日見続ける中で、テレビを見る側の目線を養い、わがままで移り気な視聴者の心理を知り尽くした。あだ名芸で2回目のブレークを果たした後も2発目にすぎないと自らを客観視できた。ここから有吉は次のステージに進む。冠番組が始まり、そこでも見事に結果を出し、レギュラーは加速度的に増えていく。リアルを突きつけ本音を求める時代の潮流を自らに取り込み、いまや当代随一のテレビスターにまで上りつめた。本書はお笑い芸人のいきざまを通して時代の背景を読み解く。モチーフは、さんま、たけし、タモリ、ピコ太郎など、誰もが知っているお笑い芸人。それぞれに重要な起点があり、どのように向き合うかで、その後が大きく変わっている。時代を振り返りながら没入できた。

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著者プロフィール

ラリー遠田(らりー・とおだ)
1979年生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、ライター、お笑い評論家として多方面で活動。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務める。主な著書に『この芸人を見よ!』(全2巻、サイゾー)、『THE 芸人学』(東京書籍)、『M-1戦国史』(メディアファクトリー新書)、『ダウンタウンvsナイナイ最強考察』(晋遊舎)、『バカだと思われないための文章術』(学研パブリッシング)、『なぜ、とんねるずとダウンタウンは仲が悪いと言われるのか?』(コア新書)、『逆襲する山里亮太 これからのお笑いをリードする7人の男たち』(双葉社)がある。

「2018年 『とんねるずと『めちゃイケ』の終わり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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