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感想・レビュー・書評
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漫画のタッチが実に鮮明で、劇画風。しっかりした構図である。卑弥呼、邪馬台国にはさまざまな説があるが、うまく作り上げている。妙に、納得感がある。
弥生時代の後期、2世紀後半の日本。もともと男子を王としていた倭国は100余りの国が存在し、互いに争っていた。その頃のことを「倭国の大乱」と言われる。倭国はもともと男子を王としていた。その中で、邪馬壹国が勝利し、邪馬壹国の一女子を王とすることで国中が服した。それが卑弥呼である。
魏志倭人伝で書かれている「其國本亦以男子爲王住七八十年 倭國亂 相攻伐歴年 乃共立一女子爲王 名曰卑彌呼 事鬼道 能惑衆 年已長大 無夫婿」(其の国もまた元々男子を王として70〜80年を経ていた。倭国乱があり、数年間も戦争をしていた。そこで、一人の女子を共立して王にした。名は卑弥呼という。鬼道を用いてよく衆を惑わした。年齢は35歳を過ぎ、夫は無かった)
日向の国にいたヤノハ。邑を賊に襲われ、日向の国の日の守の養母を賊に殺された。ヤノハは、ただ一人生き残り暈(クマ)の国に拾われる。身を寄せた筑紫島の巫女養成所・種智院で、天照大神の化身・日見子候補のモモソと親しくなる。そして、モモソを利用して、戦部(イクサベ)から、祈部(イノリベ)の巫女に移すようにお願いする。巫女は、1000人近くいる。それを支える生産力があるということだ。この頃の勢力地図がすごく大胆。暈の国の中心地が鹿屋にあるとしている。
倭国は、八つの島から成り立っていて、100以上の国があった。倭国という概念を持ちえていた。
正式な祈祷女になるには、トンカラリンの儀式を得る必要がある。
キイワードは、天照(アマテラス)。天照と話ができるということが、重要だ。
日見子は、天照と話ができるという言い伝えがある。モモソは、天照の声が聞こえ、未来が見える。そしてヤノハが騙したことを知る。それを知ったヤノハは、モモソを殺す。手段を選ばず、のしあがっていく。
ヤノハは、日向の国の日の守の養女であったことが、いろいろな試練を乗り越える。
暈の国には、タケル王がいた。しかし、その王は、まやかしであった。そういうまやかしの世界で、ヤノハは、術策を尽くして、日見子になっていく。この辺りの物語の作り方がうまい。そして、騙しながら、ヤノハは、卑弥呼となるのだった。ふーむ。おもしろい。虚構が、虚構を作る。
鏡が重要な役割を果たす。九州が、邪馬台国の舞台となっている。詳細をみるコメント0件をすべて表示