働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 博識な著者が「日本人の働き方はこれからどうなっていくのか?」、「急速に変わりつつある世界でどのように生きればいいのか?」を論じた書。著者の他の本と重複する内容も多く、目新しさには欠けるかな。

    本書で気になった内容を幾つかメモしておく。

    「「日本型雇用が日本人を幸福にした」というのは幻想であり、真っ赤なウソ」、「日本のサラリーマンはむかしもいまもずっと会社を憎んでおり、過労死するほど働いているもののまったく利益をあげていない」、「日本では会社は「(非正規を排除した)正社員の運命共同体」ですが、グローバル企業はプロスポーツチームのようなスペシャリスト集団(ドリームチーム)に変わりつつあります」、「平等性が高く、年金や健康保険などの社会保障制度が整い、社会的流動性が低い国に集まってくるのは低スキルの移民だけだとすると、この条件をもっとも満たす国はいうまでもなく日本」、「ひとを知能によって差別してはならないとするリベラルの理想社会では、すべてのひとがモチベーション(やる気)によって差別されることになります。デジタル・デバイドが解消されれば、次にやってくるのはモチベーション・デバイドです」、「人生100年時代には、原理的に、好きなこと、得意なことをマネタイズして生きていくほかありません」、和を重んじリスクを取れない日本企業の唯一の戦略「イノベーションの外注」、本郷バレーの若者たちの "ぬるい" 戦略、などなど。

    日本社会も日本人も変わらなければ生き残れない(しかしながら日本の風土文化がそれを容易には許さない)、という暗めの内容。

    とは言え、最近の就職戦線をみると、大企業志向は薄れてきているし、大企業に就職した若者の約3割は数年後には辞めていくという。これこそ日本社会の急速な変化の一端なんだろうなあ。至るところで人不足が深刻化していて、転職のハードルもほぼ無くなってしまったし…。自分を含めた昭和世代は、果たしてこの変化にうまくついていけるだろうか?

  • 人生100年時代を生きるために必要なマインドセットを教えてくれる。
    60歳で5000万円の資産があったとしても、100歳までの40年、夫婦2人で80年として、年間62.5万円/人、月間5.2万円/人しかない。年金があったとしても贅沢な暮らしができるほどの余裕はない。人生100年時代を生き延びるためには、「長く、一緒に働く」ほかない。そのためには、苦役と感じる仕事ではなく、好きなこと得意なことで生きていくことが必要。

  • 文明や科学が進化しているのにサラリーマンの就業時間が1日8時間、週6日(ないし5日)に変化がないのは常々おかしいと思っている。それは経営者の怠慢なのか労働者の怠惰なのか知らんけど働き方4.0や5.0にはそんな身分は無さそうだ

  • この人の本は、言ってることが残酷かつ本質を捉えているのでスッと内容が入ってくるから読みやすい。

    日本の労働環境や法律が他の先進国と比べて乖離があることを思い知らされた。

    その中でも、人的資本を積み上げることを念頭において生きていこうと思った。

    追記

    テクノロジーの進化を指数関数
    我々人類の進化は一次関数

    そういって表現していたところがすごく印象に残った

  • 著者は「サラリーマン」は社畜だとか奇妙な身分だとか表現しており、それが妙にツボにハマった。年功序列や終身雇用といった日本型雇用形態は高度成長期には欧米でも研究の対象にされた時期があったと記憶している。近年、日本でもジョブ型雇用を取り入れようとする流れもあれば、「日本にジョブ型雇用は馴染まない」と元に戻す企業もあると最近の新聞にも出ていた。能力主義で簡単に首を切られる欧米がいいのか、定年まで社畜として飼われる方が楽と思えるのか?企業側の利益追求を第一と考えれば前者が圧倒的に有利なのだろうが。

  • 人生において、年齢とともに人的資本は減っていく。金融資本を金融市場に投資して富を獲得していく。そういう意味で人は最後は投資家になる。
    誰しもが金融資本を蓄えられるわけではない。だからこそ、生涯通してできる好きなこと、得意なことでお金を稼ぐしかない。

  • 「働き方」に対して、世界のリベラル化とその反動による右翼化、差別問題、日本の戸籍制度、などの様々な切り口で多面的に分析されており、視野が広がる一冊だった。

    世界は日々豊かになっているはずなのに、なぜこんなにも息苦しく働きにくい世の中になっているのか。
    この問いに対し、筆者は以下のように述べている。

    「社会が複雑化するにしたがって人間関係がますます難しくなったから。すべての不愉快は人間関係からやってくるようになった。」

    テクノロジーは指数関数的に変化するが、人間はそのように変化しない。一次関数が限界。それもストレスになるのだろう。

    人生100年時代に対する働き方の解としては、「好きなことをして働くしかない。しかしそれは残酷な世界。」との提言は深く心に突き刺さった。

    何か好きなことを見つけたい。

  • 「成功するにはどうすればいいか」「前向きに行こう」などの本はあっても「現実を踏まえて対応していこう」といった本は少ない。
    現実を知らない人が読んでもいいし、現実を知った人が読んでものいい本だと思う。
    社会人であれば読んでおいて損はないです。

  • 初めて読んだ橘玲さんの本。企業に勤めながらのんびり副業でもできたらいいな、くらいに思って生きていた自分にはあまりに衝撃が大きかった。最初に読んだときは、世界の捉え方が変わったように感じ、この人の書いた本をすべて読もうと思った。1人の本をすべて読んでみようと思ったのは、瀧本哲史さん以来だった。
    印象に残ったところ。
    - ギグエコノミーでは自分の評判=ブランドがすべて
    - 右傾化・排外主義・反知性主義はリベラル化・グローバル化・知識社会化へのバックラッシュ
    - 差別の基準となることは、合理的に説明できるかどうか
    - 日本の会社は就業時間で昇進を決めている
    - タコつぼ化した日本では、個人の努力で組織(環境)を変えることは不可能→嫌われる勇気をもっておかれた場所で咲くしかなくなる。
    - あらゆる取引にはコストがかかる。検索、交渉、契約、監視。市場は生産コストを押し下げるが、会社は調整コストを押し下げる。これらのトレードオフなので市場のみ、会社のみということが起きない。
    - デジタルエコノミーではフリーエージェントと管理職がともに増える。これはルーティンワークの需要は減ったが、調整、交渉、説得、社会的認識能力などのソーシャルスキルに対する需要は高まった。
    - 知能は遺伝することは確実。やればできるという考え方で、知能で差別しないのであれば、モチベーションで差別することになる。
    - 人的資本の活用法は3つ。人的資本を大きくする、長く運用する、世帯内の数を増やす
    - いやなこと:意味のない仕事をする、人間関係、能力を超える仕事の責任を背負わされること
    - 情報社会において情報と富は同じもの。ギブする情報、人脈が多い人はそれらのハブになれる。ハブが大きな利益を得るのはネットワーク理論の基本。

  • 海外の解雇法制とか、所有権に価値があるのは契約が不完備のときとか、いくつか知らなくて面白い情報があった

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著者プロフィール

2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)、『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』『橘玲の中国私論』(以上ダイヤモンド社)『「言ってはいけない? --残酷すぎる真実』(新潮新書)などがある。メルマガ『世の中の仕組みと人生のデザイン』配信など精力的に活動の場を広げている。

「2023年 『シンプルで合理的な人生設計』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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