エミリの小さな包丁 (角川文庫) [Kindle]

著者 :
  • KADOKAWA
4.28
  • (71)
  • (71)
  • (18)
  • (1)
  • (2)
本棚登録 : 547
感想 : 67
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (343ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 森沢明夫さんの本は何冊か読んで、どれもよかったなぁと思っていたら、この本はまたすごい。。
    読み終わってすぐだから??この本が一番好きかも。

    大三おじいちゃんが素敵すぎる。
    森沢さんの小説の中に時々出てくる風鈴のことが分った。
    海辺の公園も他の作品と重なる と あとがきにも。

    最後の第6章は涙が潤みながらの読書。
    電車の中では読めないもの。

    そしてエピローグを読んだ後、プロローグを読み返す。
    ほうぼうに仕掛けられたものがすべて繋がってしまう。
    作り方も本当に上手いなぁ。

    優しさも素晴らしい。
    おすすめの一冊です~

    • いるかさん
      Manideさん こんにちは。

      コメント ありがとうございます。
      この本 本当によかったです。

      風鈴がいい仕事をしていますよね...
      Manideさん こんにちは。

      コメント ありがとうございます。
      この本 本当によかったです。

      風鈴がいい仕事をしていますよね。
      大三おじいちゃんが素敵すぎます。
      最後はお母さんまで。。
      本当にいいお話でした。
      この本はずっと大切にしたい思います。
      2023/03/20
    • Manideさん
      ほんとですね。
      とても共感です。 (^ ^)
      ほんとですね。
      とても共感です。 (^ ^)
      2023/03/21
    • いるかさん
      ありがとうございます~
      ありがとうございます~
      2023/03/21
  • 表紙絵から想像していたのは小さな女の子がおばあちゃんと一緒にお料理をしている姿だった。

    が、全然違っていた。
    いろいろと違っていた。いい意味で。

    毎日の素朴な暮らしのなかにこそ、大事なものがある。
    そこには町があり、暮しがあり、命がある。

    べつに稼がなくても、お金を儲けなくてもいい。必要最小限の暮しと幸せな毎日があり、家族が幸せであれば、それ以上は何も望んでいない。

    ほんとうに悟った人ができる素朴な暮らし。
    そこで得られたもの、たった1か月だったけれど、帰るときには違う姿になっていた。

    かっこいい。

    +++

    その風鈴、うちの実家にあったようなきがします!
    うーん。。。いまでもあるだろうか。

  • 2019年(発出2016年) 343ページ

    森沢明夫さんの小説を読むのは『夏美のホタル』に次いで2作目になります。
    謎めいていて少し危険な香りのする冒頭のシーンは、最後まで読み進めると意味が解ります。最初、読み始めて『夏美のホタル』の地蔵さんのように、おじいちゃんももしかして、、、と思ってしまいましたが、ホッと一安心でした。
    あたたかい読後感に包まれるお話でした。
    そして、お話の中の美味しそうな料理の描写とともに嬉しくなったのが、釣りのシーン!
    若い頃、私もよく旦那と釣りに行っていたのです。

    《「何を釣るの?」 「とりあえずは、キスを狙う」 「キスって、天ぷらの?」 「そうだ」  頷いたおじいちゃんは、アオイソメという生き餌を見せてくれた。 「うわ……、なにそれ。グロ……」  アオイソメは、緑がかったミミズみたいな生き物だった。体側には無数の短い足が生えていて、口から二本の牙を出して嚙みつこうとする。この気色悪さは、もはやエイリアン級だ。さすがに、これは触りたくない。でも、おじいちゃんはそれをひょいとつまんだと思ったら、平気で半分にちぎって、釣り針につけてしまった。》 
    私がよくやったのはキスの投げ釣り。まさにこれ。

    《「珍しいな、チヌか」と、おじいちゃん。 「でっかいでしょ」 「ああ、このサイズはそうそうお目にかかれない」  わたしは吠えまくるコロのリードをぎゅっとつかんだまま、袋のなかを覗かせてもらった。 「うわ、大きい」  黒っぽい色をした鯛のような魚だった。優に五〇センチはありそうだ。 「チヌってのは、黒鯛のことなんだよ」》 
    旦那は主にチヌ狙い。チヌは難しい。頭がいい魚なんで滅多に釣れないんです。

    そして、釣ったばかりの新鮮な魚で料理を作って食べる。贅沢。よだれがたれそう。カサゴの肝は食べたことないですが、カワハギの肝はおいしかった。アジのなめろうも美味。
    サワラのマーマレード焼きが食べてみたい!

    料理だけではなくて、作中では珠玉の言葉も出てくるんですが、1番はこれです。

    《作家というのは単に珍しい職業なだけで、少しも偉くなどない。人にモノを教える仕事でもないから、「先生」と呼ばれるのは間違っている。むしろ、作家は世の中の人たちから多くのことを教えてもらい、それを文章にして表現しているだけだから、周囲の人たちこそが自分にとっての「先生」だというのだ。 「わたし、鉄平さんのあの本を読んで、感動したんだよね。モノの見方をちょっと変えると、作家さんが生徒で、周囲の人たちが先生になっちゃうなんて。しかも、そうやって生きていると、周りが先生だらけだから、いつだってありがたい人生になるんだって」》

    でも、逆もしかり。私はいろんな本から多くのことを学ばせてもらっているので、やっぱり作家さんは私にとって先生ですね。

    • まいけるさん
      こんにちは、まいけるです。
      この本、森沢明夫さんの本の中でも1番好きな本かもしれません。丁寧なコメントを拝読して、内容が鮮やかに蘇りました。...
      こんにちは、まいけるです。
      この本、森沢明夫さんの本の中でも1番好きな本かもしれません。丁寧なコメントを拝読して、内容が鮮やかに蘇りました。美味しい小説でもありますよね。作家さんは先生です!
      2024/04/16
  • 不倫が職場にばれて居たたまれなくなり、逃げるように都会を離れ、祖父(大三)の家に転がり込んだエミリ。千葉の田舎の港町で、風鈴作りや釣りをしながら慎ましく暮らす大三(80歳)は、料理の名手で、毎食、新鮮な魚介類を使った「ため息が出るほど美味しい料理」をエミリに振る舞う。「おじいちゃんが作る珠玉の料理たち」に完全に「胃袋を、つかまれた」エミリ。美しい自然、涼やかな風鈴の音、ご近所の癒し系の人々との触れいを通じて、心が浄化されていく。エミリの一夏の田舎滞在記。風鈴の音が心に沁みる、爽やかな涼風のような小説。凜、凜、凜…。

    カサゴの味噌汁、カサゴの刺身、「クレソンと木綿豆腐と西京味噌で作った玉味噌に、細切りにしたカサゴの刺身を和えた一品」、「昆布とカサゴのアラで出汁を引いて、合わせ味噌を溶いて、最後に醬油で味を調え」カサゴの肝を溶き入れた味噌汁、アジの水なます、なめろう、さんが焼き、イヒッピの焼きガニ、イヒッピの味噌汁、花椒塩をつけて食べるキスのフライ、焼き切り(三枚におろしたイサキを皮付きのまま串に打って、それに塩をふって直火で炙る料理、冷蔵庫で冷やしてから食べる)、サバの炊かず飯、ドンコの味噌汁、黒鯛の胡麻だれ茶漬け、サバのしゃぶしゃぶ、マーマレード焼き(サワラ、メバル、イサキ、スズキなど…淡白な魚を皮付きのままマーマレードを塗りながら焼く料理)、アオリイカの醬油漬け、チダイの酢〆、イワシの塩辛と冷や奴、カイワレのマコガレイ巻き……。日本酒に合う料理ばかりだ、たまらん。これから本書を肴に飲もうかな!

    著者の情景描写も素晴らしい。「朝から空が黒くて重たかった。パチンと手を叩けば、その振動で灰色のしずくがザッと落ちてきそうな空だ。」、「秋色の海風を受けた風鈴も、名残惜しむように音色を奏でた。」などなど、情景がありありと目に浮かぶ。

    好みの問題だけど、種明かし的なエピローグは、要らなかったかも(読者の想像に委ねて欲しかったな)。

    文庫版あとがきで著者は、「 本書に出てくる「風鈴」は、他のぼくの作品にもちょいちょい出てきます。心平とエミリが夜に行った海辺の寂れた公園も、いくつかの他作品で重要な舞台となっていますので、よかったらそのシーンを探してみてくださいね。」と書いている。「夏美のほたる」「虹の岬の喫茶店」はどうだったかな? 探してみようかな。

  • エミリは都会での一人暮らしから逃げて、海辺の田舎・龍浦に住むおじいちゃんの家に転がり込んだ。

    エミリのおじいちゃんの美味しい料理に癒される。

    泣いた。
    エミリと一緒に色々な人の優しさに包まれて心が震えた。

  • 似ている話しがたくさんあるけど、それは悪い意味ではなく、この世界のどこかにそう言う優しい世界がどこかにあるんだろうな、という気持ちになった。辛い気持ちに、そっと寄り添う、優しい世界。

  • 素敵な本だった。読んで気持ちよくなる描写が沢山あって、言葉の使い方とか漢字の使い方とかも好きだった。さえちゃんの所は苦しくて飛ばし読みだったけど、少しずつ少しずつ温かくなるような本だった。自分の中にある、大切だと思ってたものが、思い出せる素敵な本だった

  • 色んなことがあって、逃げるようにこの田舎に来ることになったエミリ。おじいちゃんとの距離感がなんとも言えない感じが、すごい好き!他のキャラクター達も魅力的な所もお気に入り。おじいちゃんの言葉や料理、過ごした時間そのものが、考えるきっかけと癒し、前を向く力になった感じがしました。エミリは、自分の親との関係も良くなかった様です。でもおじいちゃんを通して、母親に対する考え方も少し変わっていく様子が、胸にズンと来ました。最初は「母親みたいにならない」とかなり反発していたのに、最後の方には母親に対してのイメージが変わっていました。それだけエミリが、柔軟に考えることが出来るようになったんだと実感しました。その過程を読むのが、楽しかったです!
    読んでて、1人…嫌いなキャラクターがいました。無意識に毒を吐く元同僚。“その口の災いが、言った本人に最大で跳ね返って大変な事になればいいのに”と腹黒いことを考えてしまいました。自分が発する言葉も少し気をつければ、相手にとって癒しや励ましになる。でも反面、攻撃や毒にもなると学ばせてもらったのかもと思うようにしています。やっぱり、腹立つし…好きにはなれないけど(笑)
    あと、舞台がザ田舎っていう設定が好きでした。田舎の良さもあるけど、ちゃんとデメリットもあります。そこまで人との関わり方が離れていない距離感だから、良い噂も悪い噂も秒速で知られてしまう。おじいちゃんの対応が、凄くカッコよかったです。その時におじいちゃんがエミリにいった言葉も好きです。あとよく出てく料理の描写が凄く美味しそうで、魚料理が多かったです。それが本当に美味しそうで、空腹に読んだら大変だったなとよく思います。お魚好きの人には、ピッタリな作品かもしれません。
    最後におじいちゃんと娘(主人公のお母さん)の会話が、個人的に印象的でした。母として持っていた想いが、解き明かされる感じです。「親の心子知らず」っていうけど、本当にそうだなって。タイトルの言葉が、ちゃんとおじいちゃんからお母さん、エミリに向いていたのが素敵だなと読み終わってから、温かい気持ちになりました。タメになる体験も辛い・苦い体験もしたけど、おじいちゃんと仲間のいる場所が、エミリの帰れる場所になったんだなと思います。この作品を読めて、本当に良かったです!

  • 2024/01/09
    3日くらいで読了。読みやすかった。
    めちゃくちゃ良かった。泣いた、爽やかな読了感。
    期間は短いが、主人公と同じ歳の時に仕事で悩んで長期休暇を取り都会から逃げて海の綺麗な田舎に行った経験があるから、すごく刺さった。

    とても美味しそうな新鮮な魚介を使った料理や綺麗な海などの田舎の良さを描きつつも
    都会と田舎の人間関係がかなりリアル。

    都会のドロドロとしたところから逃げてきたけど田舎は良くも悪くも狭いから、噂がすぐ広まってしまう(だから麻衣子=エミリの母)は龍浦に帰らない理由なのだと。

    無口で照れ屋だけどおじいちゃんは大切な事を沢山教えてくれる。達観しててすごい。
    物語に老人はフミさん位だが、若者とも交流が深いのもこの人の人柄だろう。

    アルバイトを始めた理由が冒頭で壊したウクレレの修理代をおじいちゃんが貯めてくれた所も泣かせる。イケおじすぎ。

    仲の良くない母娘。実際に交流するシーンが書かれないのも良かった。

  • 評判どおり、心がホッコリする作品だった。
    都会で傷つき田舎の祖父の家に逃げてきた主人公が、幸せのおまじないを手に入れ再び都会へ戻っていく話なのだが、祖父や周りの人達の好意に支えられて主人公の心が幸せに満たされていく過程を読んでいて、読者である私の心もホッコリしてきて一気に読み終えた。

全67件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1969年千葉県生まれ、早稲田大学卒業。2007年『海を抱いたビー玉』で小説家デビュー。『虹の岬の喫茶店』『夏美のホタル』『癒し屋キリコの約束』『きらきら眼鏡』『大事なことほど小声でささやく』等、映像化された作品多数。他の著書に『ヒカルの卵』『エミリの小さな包丁』『おいしくて泣くとき』『ぷくぷく』『本が紡いだ五つの奇跡』等がある。

「2023年 『ロールキャベツ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

森沢明夫の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×