アーモンド [Kindle]

  • 祥伝社
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感想・レビュー・書評

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  • 『扁桃体(アーモンド)が人よりも小さく、“感情”がわからないユンジェ。目の前で祖母と母が通り魔に襲われた時も、ただ黙って見つめているだけだった』という帯文に、驚き、そんな人がいるの⁇という興味も持ちましたが、なんだろうなぁ?すごく重たそうな話じゃない?という気もして、なかなか手に取れませんでした。

    でもね、そんな心配は必要なかったです。
    “感情が”わからないユンジェですが、それは人に興味がないということとも、何も“思う”って事がないということとも違っていました。

    感情が解らないけれど惜しみない愛を注がれて育ったユンジェと、人一倍共感性が強いのに、愛を求めても得られなかったゴニ。
    この2人がお互いに興味を持ち始めたところから、物語は温かな体温を持って動き出します。

    物語の中では、帯文にもあった通り魔事件や、感情を持たないユンジェに対するいじめ、暴力(主にゴニの)なども描かれますが、当事者のユンジェが淡々としているので、こちらも必要以上に心を乱されずに読み進められるのも私にはよかったです。

    帯の煽り文のように『涙が止まらない』というわけではなかったですが、希望を持って感じさせるラストには、温かく静かな感動がありました。

    実は翻訳小説は苦手と思っていたのですが、これは訳がいいのか、それともアジアの作品だからなのか、とても読みやすかったです。

    • daiceenさん
      まだ途中なのですが。この書評に感動しました。
      まだ途中なのですが。この書評に感動しました。
      2020/11/27
  • ゴニとの友情と ドラとの恋によって
    ユンジェのアーモンド(扁桃体)はメキメキと
    成長を遂げたようです
    ベタベタかもしれませんが
    やはり人の成長というのは
    人とぶつかって そして愛されてなんぼ 
    やなぁ ということ

  • 韓国の著者さんの翻訳本、初めて読みました。

    戸惑うほどの暴力的な辛いシーンもたくさんあったけど、ついつい引き込まれてあっという間に読んでしまった。

    ユンジェのアーモンドはほんとはラグビーボールくらいの感受性を秘めていたに違いない。
    きっと。
    脳には無限の可能性があるに違いない。

  • 愛情をうけることの大切さを書いた本。
    感情がないからこそ、ありのままの現実をみれる。
    遠い不幸には無関心、近すぎる恐怖には動けない
    感情がある人間ってとっても勝手な生き物なんだなと感じる節がたくさん
    人との関わりで愛を感じることで、人は変われる
    だめだと思うのは、それを諦めたからだ
    感情が外見で判断させる
    人の本質を改めて見ることの大事さをユンジェが教えてくれた。



    】“感情”がわからない少年・ユンジェ。ばあちゃんは、僕を「かわいい怪物」と呼んだ――韓国で30万部突破!「書店員が選ぶ今年の本」(2017)に選ばれた感動のベストセラー小説、ついに上陸! 扁桃体(アーモンド)が人より小さく、怒りや恐怖を感じることができない十六歳のユンジェは、目の前で家族が通り魔に襲われたときも、無表情で見つめているだけだった。そんな彼の前に、もう一人の“怪物”が現れて……。「わが子が期待とは全く違う姿に成長したとしても、変わることなく愛情を注げるか」――出産時に芽生えた著者自身の問いをもとに誕生した、喪失と再生、そして成長の物語。

  •  感情を持つことが困難な主人公と感情の出口がよじれてしまった副主人公とが築くつながりの物語。
     読み始めは不愉快だった。
     不愉快なのに読み進めてしまう。現実の障害の状態と重ね合わせて分かった気にさせてしまう危険は孕んでいるかもしれないけれど、それでも読んでよかったと思う。
     愛情ってなんだろうって考えさせるよりまっすぐに、切りかかってくるような小説だ。

  • 失感情症という扁桃体が小さく生まれたが故に感情がわからない主人公ソン・ユンジュ。母と祖母と三人で暮らし、何とかみんなの中で目立たずに生きていけるようにと教育されるもある日ナイフを持った男が路上で暴れて2人を刺してしまう…。祖母は死亡、母は植物状態となる。目の前でそんな惨劇が起きたにも関わらず彼はそれがどういうことか分からない…。突然独りになった彼の前に不思議な出会いが訪れる…。
    分からないながらも「どうして?」と感情をわかろうとする主人公や、彼の周りで起きる人間関係が胸に染みる作品でした。

  • ソン・ユンジェは感情が顔に現れない子どもだった。いや、感情そのものが感じられないのかもしれない。赤ん坊の時から笑わない子だった。四歳になっても笑わないのはおかしいと病院に連れていかれ色々と検査をした。結果は、脳の偏桃体(アーモンド)が人より小さいという。外部からの刺激で好きとか嫌いとかの感情を生起する。その感情が生起しないらしい。十五歳の誕生日に母と祖母が通り魔に刺され、祖母が死に母が植物状態になった。そしてそれを黙って見ていたと言ってユンジェは「怪物」と言われた。他人の心に共感することが難しいユンジェは、別の「怪物」と出会った。その少年ゴニとの出会いはユンジェを変えていく。他者との「共感」と「愛」を取り上げた小説。

  • 一昨日、映画『パラサイト』を観て、韓国の世界に再び(一度目は『GO』や『パッチギ』で、二度目はアメリカ留学時)引き込まれた。『アーモンド』を読み始めたのもそれが理由だ。

    韓国は今の日本より題材が豊富だ。北朝鮮との戦時中や経済格差が酷いというのもあるのだと思う。

  • ●読んだきっかけ
    本屋大賞つながり
    先日『流浪の月』を読み大変感銘を受けたので
    翻訳小説部門1位の作品である本作に興味をもちました

    ●感想
    ぱっと見、大団円で終わるので安心して読め、韓国が原作だからこそ韓国文化が学べる本です。
    「ぱっと見」と書いたのは本書でも記述がありますが、ラストの結果が主人公ユンジェの今後の人生にいい方向に働くのかはわからないから。
    ユンジェが感情を少しは感じるようになった(?)ことで今までとは異なった苦労を感じることが想像できました。

    辛いことがあったとき、「感情がなくなればいいのに」と思ったことがあります。しかし、感情がなくなったら、辛いこともわからないだけでなく、楽しいことも誰かと感情を分かち合うこともできず、人間生活に必要なコミュニケーションが取れず、人間関係の苦しさは感じないけど、なじめず不便ということがわかりました。

    ラスト、ユンジェが目が覚めたときに起こる奇跡は奇跡すぎてやりすぎ・・と思ってしまいました。★が1個減った笑

  • 2020年本屋大賞の翻訳小説部門1位。脳疾患で自分の感情を感じることも他人の感情を理解することもできない少年ユンジェが、幼い頃の誘拐(?)で親と離され悪ガキとなって生きてきたゴニと出会って起こる成長物語。韓国発の翻訳小説は自分の中では珍しい。全編暗いというか、感情の起伏が起こらないユンジェの心を投影したかのような淡々とした文章が続くのに、こちらの心には訴えかけてくる。トータルで言えば「綺麗な」成長物語という印象。中学生の息子に読ませてもいいな。

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著者プロフィール

1979年生まれ。2016年、長編小説『アーモンド』で第十回チャンビ青少年文学賞を受賞。短編集に『他人の家』、長編小説に『三十の反撃』『プリズム』がある。現在、映画監督、シナリオ作家としても活躍している。

「2021年 『私のおばあちゃんへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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