やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける
- Audible Studios (2019年9月6日発売)
- Amazon.co.jp
感想・レビュー・書評
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著者はハーバード大を卒業後、マッキンゼーに入るも長年の夢を実現すべく公立中学の数学教師になる。教える中で飲み込みが早い子が成績がいいとは限らない、結果を出すのはこつこつ努力し、よく質問に来る子だと気づく。心理学を学んで子どもたちの成長を手助けしようと、大学院に入り博士号を取る。
成功者に共通するのは生まれながらの才能ではなく、物事を継続してやり抜く力だということを見出した著者は、恩師のアドバイスを受けそれを「GRIT」として体系化する。Guts(闘志)、Regilience(粘り強さ)、Initiative(自発)、Tenacity(執念)の頭文字をつなげたもの。
(一般名詞の「grit」は勇気、度胸という意味)
私たちは自己防衛本能から、成功者はずば抜けた才能の持ち主と思いがち。しかし調べてみると成功のために実際に必要なのは、優れた資質よりも「情熱」と「粘り強さ」だった。
成功の方程式は「才能×努力=スキル、スキル×努力=達成」。努力はすべての局面で重要である。2倍の才能があっても1/2の努力なら負ける。
成功者でも日々のたゆまぬ努力は楽しくないもの。続けるには、とにかく「トレッドミル(ランニングマシン)に毎日乗り続ける」こと。あまり気負わず、「今日必死にやるより、明日またトライする」。
ただし漫然と続けても上達しない。現状を上回る目標を設定し、そのための練習を習慣化する。
やり抜く力は、自分にとってかけがえのないことに取り組んでこそ発揮される。
だからこそひたむきにがんばれる。ただ好きになるだけではだめで、愛し続ける必要がある。
ただし、どうやって好きなことを見つけるかという話になると、とたんに歯切れが悪くなる。40年かけて見つけた人の例を挙げるが、それでは手遅れな分野のほうが多いだろう。
まとめとしては、人々が経験的になんとなく感じていたことにキャッチーな名前をつけてビジネス界にアピールしたら当たった本という感想。著者のプロフィールも含めた、マーケティングの勝利と言えそう。短くまとまったTEDの講演もあるので、それを聞くだけでよかったかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
厳しい訓練を耐え抜く人の特徴は?
偉業を達成する人の特徴は?
について、研究している筆者の本
グリット・スコアを研修で使ってみようかな -
第2回(テーマフリー)
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【要約】
GRIT=やり抜く力について解説した書。
人間は努力家よりも天才の方を高く評価しがちなバイアスを持っている。天才を神格化してしまえば、現状に甘んじていられるからだ。しかし、実際には成功するためにはGRITの方が重要である。
GRIT=情熱+粘り強さである。
情熱とは、最重要目標に対して興味を持ち続け、ひたむきに取り組むこと。
粘り強さとは、失敗しても挫折してもまた立ち上がること。
目標の対立はある程度避けられないが、それでも最重要の目標を設定することが必要だ。
それに向かって粘り強く努力する際には、逆説的だが下位の目標に関しては臨機応変に態度を変える必要がある。
GRITは変化する能力であり、鍛えることができる。優しくも厳しい指導が重要と考えられる。
GRITは重要な能力だが、最も重要な能力というわけではない。道徳性なども同じかそれ以上に重要である。
【感想】
「7つの習慣」と絡めて、類似点を3つ挙げてみる。
①最重要の目標は、ミッションステートメントとほぼ同義である。
②子どもの育て方で、まず相手の話をしっかり聞くことも、「まず理解に徹する」ことに繋がる。
③GRITの高い人のポジティブな物事の捉え方というのは、「主体的であること」に近い。
やり抜く力を鍛える前に、まず何をやり抜くべきかをしっかり考えたいと思った。