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感想・レビュー・書評
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少し前の時代ですが、千野栄一氏の外国語学習法である。その当時はまだ数が少なかったと思われるスラブ語・ロシア語を専攻された千野氏の考える上達法です。語彙の章で目が覚めました。留学先の同室の学生がいつもベッドに横になって単語帳を見ている思っていたら、あれよあれよという間にドイツ語が上達していたという目撃談。まずは1000語の語彙を身に着けること。それを踏み台にすることだそうです。ついつい単語を覚えるのは、文法を勉強することより後回しにしがちでした。韓国語の先生が、とにかく語彙です!と言われたことを素直に実行します。
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「私は語学が苦手である。」と冒頭で述べる著者は、「英・独・ロシア・チェコ・スロバキアの五つの言語には翻訳されて活字になったものがあるし、外交官の語学養成機関である外務研修所で教えたことのある言語も、ロシア・チェコ・セルビア・ブルガリアの4つがあり、このほか大学では古代スラブ語を教えている。さらに辞書を引きながら自分の専攻の分野の本を読むのなら、フランス語、ポーランド語と、そのレパートリーは拡がっていく。それに国際会議の場での通訳の経験もかなりあるし、ほんの数回だが同時通訳の経験もある」という言語学者。謙遜に聞こえる冒頭の言葉は、著者にとっては実感としてあり、「絶望的におできになる」「語学の神様」たちに囲まれていたという環境のせいが大きいのだろう。時折挟まれる「神々の饗宴」の様子は、聞いていてこちらも楽しい。
現在とは語学習得の環境は異なるであろう1986年出版とはいえ、それよりもっと古い時代にも語学に堪能な人はいたはずで、本質的な「コツ」というようなものは、時代を超えて変わらないものと思う。
一つの語学の習得に3〜5年と聞くと、自分の人生の残り時間、日々の時間の使い方についても思いを巡らせてしまう。画期的な新しいアイディアを発見できるというわけではないが、実直かつ実践的な内容で、語学学習者を励ましてくれる。