夜行 (小学館文庫) [Kindle]

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  • 小学館
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感想・レビュー・書評

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  • 数人の目線で語られるのは個人的にワクワクします。
    おいてけぼりになる箇所もありましたが、飽きることなく一気に読みたくなる話でした。

  • 森見登美彦は夏目漱石を思い出させるような作風が多い。
    漱石に比肩する、とかではなく醸し出す雰囲気が似ている気がするという自分の感じ方なのだけれど。

    登場人物たちが旅先で出会った出来事を綴った各章は、漱石の「夢十夜」のように不可思議で不条理な展開で

    「夜行は百鬼夜行の夜行だよ」とのセリフもあって
    夜が明ける寸前の暗い世界が、現実のものとは思えないことがあるように
    夜と朝は表裏一体で、日常と非日常もお互いを内包し合っているのかもしれない。

  • 彼女はまだ、あの夜の中にいる。
    そんなフレーズに惹かれて以前購入して、今回は読むのが2回目。
    不思議で、怖い、ただ最後は希望が見える気がする。
    分からない、判明しないことも多い。ただ、読み終わった後に不思議な感覚だけがついてくる。もしかすれば、私も夜行と曙光のどちらかの世界にいて、どちらかの世界の別の私もまた存在するのかも知れない。主人公の大橋さんや長谷川さんのようにどちらかにしかいないのかもしれないけれど。

    世界はつねに夜なのよ。

    追記。岸田サロンに来ていた「一乗寺の小道具屋の女主人」って「きつねのはなし」に出てくるナツメさんかしら。

  • 終始仄暗い雰囲気が漂う。読んでいると、この世界に取り込まれそうな感じ。「夜は短し…」や「ペンギン・ハイウェイ」の明るいファンタジーテイストよりもホラー寄りのこの感じの方が好き。各章の結末が曖昧なので続きが気になりながら一気読み。ラストも良かった。

  • 発売日に予約し購入してから今更手に取ってから、食い入るように読み進んでまんまと次の展開が気になり早々と読破してしまった。
    森見登美彦氏の文面、世界観を久々に味わえてよかったあわあいいええい

  • 森見さんの作品は意味不明で奇想天外なバカバカしさとのんびりしているよでそれなりに頑張っている登場人物たちが右往左往する様を、無条件にあまり深く考えずに楽しんでいるのだけど、「夜行」に関しては、これまでのような気楽な気持ちでは読み進められません。
    狸やヘタレ大学生の話とは異なり、少しシリアスなストーリー進行ですが、不思議に引き込まれ読み終わった後は、一人何処かに取り残されたような得体の知れない不安感に襲われ、しばらくぽかーんとしてしまいました。
    もしかすると、何度か読み込むと少しずつ違った展開が見えてくるのかも知れません。
    また、気持ちが落ち着き忘れた頃に読み込んでみようと思います。

  • 森見先生の書く文章はなぜあんなにもごちゃごちゃしているのにスッキリしていて読みやすく自分の頭の中にスッと落ちてくるのか。この感覚が好きで森見先生の本を読んでいるところもある。

    森見先生のおもちろおかしいテイストではないんだろうな、と読もせずに放ったらかしにしていてやっと読んだ。
    まあ、、、入り込みすぎて2日で読みました。
    読んでいるうちにゾクゾクとして、私は本の中にいた気がする。この物語が絵の中の女性に取り憑かれたように私も本の中に取り憑かれて暗くて寒い夜行の物語に取り込まれている感覚がして、読んでいる最中に大きな物音がした時あまりにもビビり散らかしてしまった。
    この本を読んで眠ろうとしたときに二度とこの世界に帰ってこれなかったらどうしようという恐怖心も芽生えたくらい森見先生の書く世界観にまた魅了されてしまった………

  • オチのあるホラーはあまり好きじゃないので、このずっと悪夢を見ているような、怖くて意味が分からなくてとにかく不思議な感じは結構好きだった。

  • お試し期間中のKindle Unlimitedで読んだ。森見登美彦といえば、『夜は短し歩けよ乙女 』(2007年)とか『四畳半神話大系 』(2006年)とか、何と言えばいいのか、京都における学生時代の、それこそ四畳半の世界のなかのファンタジー小説みたいなイメージだったんだけど、2017年刊行のこの本の読後感はちょっと違った。ファンタジーと言えばファンタジーかもしれないけど、知り合いが失踪して異世界につながっていくという主題は、ちょっと村上春樹的なものも感じた。

    「世界はつねに夜なのよ」「夜はどこにでも通じているから」というセリフが何度か出てくるんだけど、僕が少しでも似たようなことを感じたことがあったとすれば、会社に入って2年目だったか3年目だったか、仕事の後、終電を元住吉で降りて日吉のアパートまで歩いて帰るときに、周囲の家の窓にはまだ灯りがついているところがたくさんあって、そういう中を、受験勉強かもしれないし、寝る前にテレビを見てるだけかもしれないけど、みんなそれぞれ夜の生活をしてるんだなぁと思いながら歩いていたときか。あるいは、高校に入学する前に一人で夜行列車に乗って津軽に旅行したとき、車窓から日本海沿いの知らない土地の家々の灯りを見ていたときか。そういうとき、そのままいまとは違う別世界に行っていたとしたら、今ごろ僕はどういう生活をしていたのだろう、と思ったりする。

    この本に戻れば、話中では「尾道、奥飛驒、津軽、天竜峡。それらはとくに何ということもない平凡な旅の思い出だった。」と片付けられてしまっているけど、ストーリーの中で複数の登場人物が自分の旅について話す物語は、尾道にせよ、奥飛驒、津軽、天竜峡にせよ、みんな「平凡」どころではない、とっても不思議な話なのだ。僕が本当の意味で「平凡な旅」しかできなくなったのは、年齢のせいなのか。ちょっと寂しい気もする。それはそれでいいのだけれども。

    そういえば、この小説では鞍馬も重要な舞台なのだが、僕は、出町柳から鞍馬に行く叡電には乗った記憶がないということも、思い出してしまった。今度、妻と一緒に乗ってみよう。昼のうちに。

  • すごく迷って購入した本。評価があまりよくなかったから。読了して、評価はプラマイゼロ的な。
    シナリオは面白かった。岸田という版画家の「夜行」と「曙光」という対になる作品を通して別の世界が存在するという話。「夜行」では失踪したのは長谷川さんで、「曙光」では大橋だった。パラレルワールドだね。そこに至る個人の話はちょっと不思議だけで済まされない、辻褄合わなくて気持ち悪い感じだった。そこが残念。登場人物のキャラがいまいちだったし。
    読んでみて失敗したとは思わないけど、もう一度読むかと言われたら読まないな。

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著者プロフィール

1979年、奈良県生まれ。京都大学大学院農学研究科修士課程修了。2003年『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。07年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。同作品は、本屋大賞2位にも選ばれる。著書に『きつねのはなし』『有頂天家族』など。

「2022年 『四畳半タイムマシンブルース』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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