コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった 増補改訂版 [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 実に面白かった、ワクワクしながら一気読み。
    普段何気なく使っているコンテナ。箱に詰めて運ぶという小さな発想から世の中を変えるイノベーションに。
    コンテナの普及がその後のグローバルサプライチェーンのきっかけになっているというのも説得力がある。
    いい本でした。

  • 題に「物語」とあるものの、ゴッツゴッツの運輸・海運史。グローバリズムと言うと、あまりに複雑に複合ファクターが絡み合ってて全貌が見えにくい。「コンテナ」に焦点を当てることで、グローバル貿易がいかにしてティッピング・ポイントに到達したのか鮮やかに分かる。

  • 序章で、コンテナは今やGoogleのコンテナ、のように元々の意味とは違うかたちで語られることもある、って話があったけれど、まさに自分はそちら側の方が触れる機会が多いので、知っているようで知らない世界を垣間見れてよかった。

    KubernetesやOpenShiftはこの物理との考えで合わせるとコンテナ船なのだろうか、それともコンテナ港なのだろうか(港の方が近そう)、みたいなことを考えながらコンテナの発展の歴史を紐解いていくのはなかなかに楽しめた。
    ちょっとボリュームは厚め。脚注が各章末にあった方が電子書籍としては読みやすかっただろうな。

  • 1950〜1970年代の海運業界の発展が、色々な人達の私利私欲に阻まれ、紆余曲折して最終的にグローバル化され、随分と遠回りして発展してきたことが、この本で理解できた。
    マルコム マクリ-ンの天才的発想を阻む人達が、何とももどかしい。

  • 確かにコンテナリゼーションによる革命は非常に影響力が大きい。グローバル化は古代からの潮流だったが、コンテナリゼーションが主流となった1980年代以降はスケールがパラダイムシフトしている。輸送コストの低減と効率化は製造業どころか、国や地方の在り方も変えてしまう規模だ。これまで海運は既得権益に配慮した岩盤規制で参入も補助金も運送費までがんじがらめだったが、それをものともしないマクリーンなる人物の起業家精神は大したものだと感心した。そしてそうした規制はイノベーションの妨げとなる。コンテナ物語は輸送だけでなく、あらゆる産業の参考になる。自動化に対して港湾労働者がどう反応し、どう消えていったか。これはAIも含めた省人化のあらゆる分野に共通してくる事例。無駄が多すぎる世の中、まだまだ削っていくべき事柄は山積している。常にコスト意識を持つことが重要だと認識させられた。そして箱ごと運ぶというアイデアが実現しただけではダメだという点が教訓的で、輸送システム全体が確立して初めてコストダウンも成立しえるというのが難しい運用ポイントだった。

  • 面白かったけど、長い

  • コンテナが入ってからの変遷だけでなく、周りへの余波も書かれており読んでいて非常に面白かった。

  • 今や国際貿易では欠かせないコンテナ物流が、どのように誕生して発展したのかを追うノンフィクション。
    1950年代にトラック運輸業を起業したマルコム・マクリーンがその立役者として登場し、彼が海運業へ進出してコンテナ輸送を推し進めた様子が本書前半部です。「荷物を箱に入れて運ぶ」という発想はマクリーン以前にも数多く登場しましたが、普及しませんでした。その理由は本書にもある通り、『輸送コストの圧縮に必要なのは、単なる金属製の箱ではなく、港、船、クレーン、倉庫、トラック、鉄道、そして海運業そのものーつまりシステムを構成する全ての要素が変わらなければならない』という理解が不足していたからでした。
    多種多様な規格のコンテナが流通していると、システムとしての統一が確立されず、効率が悪化するためにコンテナの大きさ、船への固定方法、クレーンの形式などを統一規格として定めることになりますが、ここではそれぞれの企業が自分たちに最適化した規格を統一規格にしようと躍起になりました。最終的に現在流通している40フィート、20フィートに落ち着くのですが、自社の規格を統一規格にしようとする様子は、かつてのビデオ録画規格のベータvsVHS、現在のEVにおける充電規格の統一と非常によく似た構図です。
    技術的なハードルだけではなく、労働問題もコンテナ普及のハードルとなりました。港湾での貨物の荷役方法がコンテナ化されることで作業が合理化され、失業する港湾労働者が出てくる可能性がありました。港での荷役に従事する労働者の組合は、伝統的に非常に発言力が強く、組合がコンテナ荷役をボイコットするなどの事態が発生しました。しかし皮肉なことに、組合が特に強かった伝統的な港湾はコンテナ化が遅れ、その近くに建設されたコンテナ専用港湾に物流拠点としての役割を奪われていきます。ニューヨーク港、サンフランシスコ港などは衰退し、それぞれ近隣のポートエリザベス港、ロングビーチ港などが発展しました。
    ベトナム戦争でのアメリカ本土からベトナムへの兵站輸送、その帰路に日本とアメリカ西海岸との太平洋航路の開設など、時代の後押しもあって物流のコンテナ化は一気に進み、そしてコンテナ船・港湾の巨大化へと進みます。
    コンテナを切り口に海運、運輸業がいかに発展したか、大変分かりやすく、かつ様々な側面から詳しく描かれている内容充実のノンフィクションでした。『物流は生産と消費を結びつけるだけの他業種に依存した産業ではなく、独立した産業として逆に生産と消費のあり方を決めるのが物流である』という一節は、コンテナによって物流がいかに社会の構造を決める重要なピースとなったかを雄弁に物語っていると感じました。
    「部分最適に陥らず、全体最適を目標とするべき」こと、「良い技術であってもそれを運用する人の問題を排除しない」こと、等々コンテナに限らず多くの局面で参考となる教訓が具体例とともにたくさん詰め込まれています。本書の帯にビル・ゲイツ氏による本書の推薦文が掲載されているのですが、その文言から受ける期待を裏切らない内容でした。

  • コンテナリゼーション万歳!!!
    以前『誰が音楽をタダにした?』を読んだ時にも思いましたが、規格化というのはその産業を発展させるためには、必要でありつつ選定されなかった規格を担いだ会社には大きなダメージがあるので熱いなぁ。と思ったり。

    荷役や沖仲仕、海運業界に胸やけしたり、マルコム・マクリーンの発想や行動に胸アツになったり。

    海運コストの低下は日本の高度経済成長期にも影響あったんだろうなぁと自国のことを思ってみたり。

    年始からずっと読んでいた。上記のように飽きずに読むことが出来たが、こんなに長く詳細に説明する必要あるか?と思わなくもない。ただし、良書。

  • 丹念に紐解かれる歴史。物流がどのように進化していったか。

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