黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い (集英社文庫) [Kindle]

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  • 2021年7月27日読了。

    「無頼系独立候補」、著者が名付けた名称。
    世間では「泡沫候補」と呼ばれることが多い、知事選、市長選や参議院選挙で立候補される単独の個性的な候補者のことだ。

    本書を読むまで私は世間一般的に「どうせ当選する可能性もないし、供託金がもったいないだけなのになんで立候補するのかな?」と思っていた。(この考えは読後もあまり変わらないが)

    本書では東京知事選を主に取材をしている。
    選挙のたびに有権者へのアンケートで「候補者を選ぶ要素は?」の問いに多くの人が「政策」と答える。
    が、主要候補が政策をメインに訴えていることは少ない。

    まさに「政策」を真剣に考えているのが無頼系独立候補者なのだ。

    しかし、彼らがメディアで紹介されることはほとんどない。
    せっかくキラリと光る政策を訴えていても、メディアが報じなければ有権者に届くはずもなく、泡沫で終わってしまう。

    著者はニコニコ動画などを使って、無頼系独立候補者に政策を訴える場を設けたりしている。
    とても大事なことだと感じる。

    一メディアが、候補者を選別していいのか?と切り込んでいくところは、共感できる。

    今後は選挙の際に私も無頼系独立候補者の政策に注目してみたい

  • 「無頼系独立候補」とその取材過程が描写されるその結果、我々が日常的にさらされている「体制補完装置と化したマス・メディア」や、建前としての「選挙権」すらまともに機能していない日本の絶望的な政治状況が逆照射されている感。「黙殺」されているのは「無頼系独立候補」の奮闘だけでなく、既成政党の政治ゴロや官僚の「日本」蹂躙は無論、すっかり「非政治化」済の一般大衆も「黙殺」されている。いつの日か、心ある人々の無数の抵抗がこの無惨な現状を突き崩すことを信じたい。

  • マック赤坂の息子の、ヤジを飛ばす群衆へ「一人で戦っとんねん、一人で戦っとって何が悪い?」 「一人で戦っとんや。お前にできるかそれが!」 と叫ぶシーンでは思わず泣きそうに。/「泡沫候補」と人はバカにするが、著者は「無頼系独立候補」と呼ぶことを提唱。選挙に出る、というだけで、何万人に一人という"選ばれし者"。被選挙権を持ちながら大半は立候補などしない者たちにとって貴重な人材。そして、その政策はおしなべて、知名度のある候補よりすぐれたものであることが多い。選択できる政策が多いことは、民主主義社会に生きるものにとってよいことだし、必須だ。/また、報道の在り方にもメスを。報道の段階でどの候補が有力でどの候補が泡沫と決めつけ、平等に報道しない。独立系無頼候補には奇矯な行動に走るものもいるが、そこまでしなければ、知名度のある候補と同じスタートラインにすら立てないという側面がある。"もしこのままメディアや有権者の意識が変わらなければ、これから先も政治が大きく変わることはないだろう。それは「政治に新規参入を許さない」という構造の固定化につながっていく。こうした不公平が続けば、既存勢力、既存政治家やその後継者しか選挙には当選できなくなる。" それでいいのか、と。日本に生きるひとりひとりが政治に納得し満足しているならそれでいいが、そうではないとき、その意思を届ける術がないとしたら、どうするか、そう問いかけられた思い。

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