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感想・レビュー・書評
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東南アジアに住んで8年。その間、2ヶ国に住んで何ヶ国かで仕事させていただいている。「親日」と無邪気に言ってられない程度には各国の歴史は学んできたが、本書はコンパクトにまとまっている。日本人だからと言って、面と向かって歴史(あの戦争)に由来することを言われることはないけれど、その辺の知識は踏まえておくことは大切だ。なお、東南アジアでは括れないが、本書では韓国を取り上げる際には、とてもディスっている。力の入り方がバランスを欠いているように感じられて、著者のスタンスが見えるような。
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大正時代、機械と肥料などで農業生産力が上がると米余りで農村が疲弊した。でも農業は力仕事なので、男尊女卑で保守的な社会。昭和に入り戦争が始まり男が兵隊にとられ、農業資材も不足すると米価格が上がり、農業が経済的に復活する。終戦になると再び農業経済が低下。同時に三次、四次産業が発達して都会の求人が多くなり、農村で食えない現役世代は都会に出る。農村は老人だけになる。都会では、ホワイトカラーワークが多いので、力の無い女性も社会進出する。そして女性の地位も向上し晩婚化が進み、少子高齢化が起こった。この日本が辿った社会ぎ、今東南アジアでも起きている。32
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著者は農業開発の専門家として「コメが作られている国は北朝鮮以外全部行った」というほど各国を渡った経歴の持ち主だが、本書はその専門分野には直接関わらず、東南アジア諸国の歴史、経済、日本との関係などをうまくまとめている。タイトルには近現代史とあるが、各国の現状とその歴史的背景といった方が適切かもしれない。
発展状況は国によってかなり差はあるものの、イメージよりはずっと先進国に近づいている。日本に比べたらまだ経済的には遅れていると言っても嘘ではないが、日本が停滞期・衰退期に入っていることを考えると、これからのビジネスの場として有望なのは間違いない。
マレーシアに転勤してくるまではインドネシアとの区別もろくについていなかった私だが、1年半ほど生活する中でだいぶ印象が変わってきた。しかし本書のデータを見て意外だったこともまだ多数あった。国ごとの経済状況と国民性、将来の見込みなどかなり参考になる。
また、多くのページを割いて「あの戦争」の影響にも触れている。中国や韓国のようにはっきり非難してくることは少ないが、東南アジアでも数多くの犠牲者が出たことは事実だ。日本人がこれらの地域に行く場合は十分に理解しておくべきだろう。