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感想・レビュー・書評
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宇沢弘文先生の高弟 さすが志が違う
1.現代経済の本質
新古典派経済学 フリードマン→主流派経済学に
動的不均衡論 ケインズ→衰退 英国経済学
2.リーマンショックは終わっていない
激烈な金融緩和で問題の先送り
B.バーナンキ
3.コロナで更に先送り
中銀のBSというマグマは拡大している詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
p.2020/11/24
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やっぱり面白い。岩井克人の文章。お金に纏わるちょっと哲学的な考察。他の著書よりも読みやすい構成。
ビットコインに対する見解は色々参考になると思う。 -
タイトルに「欲望の貨幣論」という言葉が使われているが、これはNHK「欲望の資本主義」シリーズの番外編的な番組を書籍化したからであり、本書の内容は決して「欲望」にスポットを当てたものではない。
「貨幣」の本質、「市場経済」の本質をとても分かりやすく語っている本。 -
貨幣とは何かの本質を追求し、かつ優しく教えてくれるないよう。
人類の歴史で物々交換の経済からある時貨幣が使われるようになったがこのことが社会構造をまったく新しくした。それは、紀元前6世紀ころのギリシャで起こりポリスを完成させることにつながった。ポリスの基本構造は貨幣にあることをアリストテレスが論理的に解説していること。そのことから現在の資本主義の理解へ本は導いてくれる。
10年ほど以前からビットコインという仮想通貨(暗号資産)が出てきたがこれの将来性についても明確な解説がなされている。
資本主義の運営ではある時期が来ると大恐慌(極度のインフレやデフレなど)が起こる可能性がある。これらを未然に防ぐことも貨幣の理解にある。
現代社会を読み解くに非常に興味深い内容が詰まっている。 -
みなさんお金は好きですか?おおっぴらに好きと答えるのはなんだか憚られる気もしますが、あって困るものではないでしょう。お金があれば裕福な生活ができますからね。では、なんでお金があると物が買えるのでしょうか?貨幣そのものに価値があるからでしょうか?それとも法律で決まっているからでしょうか?筆者の答えは、「貨幣とは貨幣として受け取られるから貨幣なのである」というものです。それじゃ答えになってないじゃないか、と思われるかもしれませんが、そうとしかいえないんです。自分は、他人がお金を何かの対価として受け取ってくれると期待するからお金を受け取る。その他人も、ほかの他人がお金を何かの対価として受け取ってくれると期待するからお金を受け取る。そのまた他人も、、、と延々に循環します。
これは、貨幣とは投機である、ということもできます。投機とは、自分がモノとして使うためでなく、将来、他の人に売るために何かを買うことを指しますが、株のバブルも貨幣もおんなじ現象と言えます。むしろ株のバブルよりも純粋な投機と言えるかもしれません。貨幣は不安定な存在です。
貨幣を手に入れることは、未来の可能性を手に入れることを意味しますが、これにより人間は無限の欲望を持つことが可能になりました。貨幣がないとすると、個人が消費できる量には限りがありますから(たくさん食べたらお腹いっぱいになるし、豪邸が10軒あっても管理できない)、欲望にも限りがあります。しかし、貨幣があれば話は別です。未来の可能性はいくらあっても困らない。
一方で、お金のない世界は自由がありません。人間は個体としては弱い生き物ですから、協力できないとすぐに死んでしまいます。隣人から離れて生きることはできません。でもお金があれば別です。生きていくためのサービスをいくらでも買うことができます。貨幣と自由はセットなのです。
いままでなんとなく使っていた貨幣の、本質が何かを考える本です。