- Amazon.co.jp ・電子書籍 (255ページ)
感想・レビュー・書評
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著者は、GAFAを中心とする中央集権的プラットフォーマーが情報と富を独占する「監視資本主義」「データ主導型資本主義」は、社会に弊害を生み出しつつあり、その反動としての分散化の動きが徐々に広がりつつある、という。ITテクノロジーがもたらした現代ネット世界は、今まさに「ビッグ・アンバンドル(大いなる解体)」に向けた岐路に差し掛かっており、そのキーテクノロジーが「インターネットに「信頼」を取り戻せる可能性」を秘めたブロックチェーンを中心とする分散型テクノロジーなのだと。
「信頼の喪失こそ、インターネットが直面している最大の問題といっても過言ではない。ブロックチェーンは中央集権の権威に頼ることなく、信頼を取り戻そうとする取り組みだといえるかもしれない。」、「ブロックチェーンはある人にとっては、投機対象としての暗号資産であったり、コストを削減してくれる興味深いテクノロジーだ。しかし、コアな開発者たちにとってそれは、社会改革につながるラディカルな思想を体現できる現代的なツールなのである。」「ブロックチェーンを含む分散型テクノロジーは、監視資本主義のカウンターカルチャーなのである。」などなど。
ブロックチェーン技術、とらえどころがなくて、やたらとマシンパワーを喰うということやトランザクションの記録が残り続けるといったこと以外、未だによくイメージできない。本書は技術面について実にさらっと表面的に書いているので、ついていけない部分も多かった。
果たしてブロックチェーンは、著者が言うように、プラットフォーマーの中央集権を打破し、分散化された多様で柔軟で自由なコミュニティ形成の決め手になるのだろか。ブロックチェーン技術によって社会がより良い方向に進化して行ける可能性があるのであれば、大いに期待したいところだが…。
「エンデの遺言」でも紹介されていた、世の中時間の経過とともにお金の価値が減っていく「自由通貨(ゲゼルマネー)」の仕組みが、ブロックチェーン技術を使った減価するトークンの発行により簡単に実現できる、という話も興味深かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
GAFAに代表される巨大プラットフォーム企業による「中央集権」型ビジネスモデルからの脱却が起こりつつある状況を解説した本。
世界では個人情報を「中央」に吸い上げ続けるGAFAへのアンチテーゼの流れが目に見えつつあります。本書は、GAFAへのアンチテーゼが起こる中でGAFAに変わるものは何かを読み解いていきます。