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- / ISBN・EAN: 4910045920705
感想・レビュー・書評
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刊行された日、市民の気分も施策もすでにある程度まで緩和されていました。その分余計に、各記事が執筆された当時の緊迫感が少し昔のことのように感じられました。
でも、呑気にそんなことをいつまで言ってられるかわかりません。
今号は、そういう時期に編集されたこともあって、取材に基づく記事はほとんどなく、リモートで寄稿されたSF小説を中心とした特別号でした。どの作品も未来を薄明りで照らす、素晴らしいものばかりでした。
SFって、なんだか夢みたいな空想物語、なんかではありません。今いる場所からちょっと突飛だけどこんな未来が訪れるかもと考えることって、実はビジネスと同じだったりするんですよね。いま考えると、なんだか明るい未来ではなさそうだけど、だとしたら私たちはどういう進歩をしなければいけないのか。そういう風に考えるきっかけになりました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いまの時代、物事の変化が早くて、ニュースもすぐに忘れ去られていく。つまり、”いま”が持続的でなくなっている。その結果として、20世紀から見た21世紀のような、「a future」を描けない我々は、一つの22世紀像を思い浮かべることができない、とWilliam Gibsonさんが語っているのが印象的だった。
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WIRED Vol.37読了。まるまるSF短編だった。未来をプロットするにはSFはとても参考になるのか最近流行りになっているように思え興味深くはあるが少し胡散臭い感じがしていた。ところがここの作品には今の延長線上で想像された世界のみでなくその中で過ごす彼らの情景が見事に描かれているものが多く単純に読み物としてよかった。
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2020.10.14
素人のナナメヨミの感想だけど、最近のSFはすぐに現実に追いつかれて追い抜かれていく。
最初にそう感じたのは「東のエデン」におけるノブレスケータイの描写。
本誌掲載の短編たちはかなり現実からの影響が強く現実がSFを追い抜いたなぁ、感が強い。WIREDという媒体のせいかもしれないけど。 -
読了
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以前の「ナラティブと実装」号で紹介していた、ビジネスコンセプトをSF作家がストーリーにする米国のビジネスを、今号はアフターコロナのニューノーマルの世界をSF作家がストーリーに描くことでなぞった形の、いつもと違う文芸特集号。単一テーマの短編SF集として楽しめた。2020春号の「文藝」でやってた中国SF短編集とどこか似ている。
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いつの間にか復活していた日本語版WIRED。一足遅れて定期購読をはじめた。たまたまそのタイミングで購入した本誌は、復活前とはまた違った面白さがあった。今号は特に独特で、雑誌というよりはSF短編集のよう。今無視できないコロナウイルスによるさまざまな事実から、それぞれの作者らしく未来を描いている。数年後、または10年後に読み返すのが楽しみだ。
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Brave new world
コロナ後の世界を考える。ウィリアムギブソンのSFと世界観。そして、対談した齋藤精一氏のTODOリストに22世紀を想像するを加えたというコメント、コロナの後にはアートが次の世の中を示唆するだろうとのコメントは印象深い。マンガのくるべき世界もすごい。ぞっとするような汚染とその汚染を生き抜く種族の発生。何のために生きるのか、何のためにたたかうのか。コロナをブラックスワンとすべきではなく、予測できたホワイトスワンであるとするのは、ブラックスワンの海の親ニコラスタレブ。ネットワークの観点から人間は植物となり、植物はコンピュータとなるという論説も興味深い。レジリエンスをもつために、分散しコミュニケーションをする。我々は自然の一部に過ぎないことを認識する。移動する喜びを強く感じたことも、コロナの一つの成果だろう。街へ繰り出すこと、公園を散歩すること、これらが素晴らしいことなんだと。それを前提にした環境、社会、個人の在り方は変わる。というか、変わっている。あたまをやわらかく、やわらかく。 -
Sci-fi読み物だった。
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WIRED、久しぶりに洞察を得られるような記事が多かった。コロナ渦から数年、数十年後のエッセイであったり、あるいはコロナ渦進行中の現代においてデジタルシフトが一気に進んだ際のツール(ビデオ会議)の不完全に関する考察など。
身体性と精神性の統一が課題となっていることは皆が感じるところで、コロナ渦以前からあったものの、この状況において顕在化しつきつけられた課題となっている。
デジタルネイティブ、スマホネイティブといったカテゴライズも以前からあったものの、外出しないことを前提にした世代の登場は、今後世界にどんな変化をもたらすのか、そういったところの考察もなされている。
効率を求めるならビデオ会議で、上質なコミュニケーションをとりたいなら対面で、といった言説は本当にあっているのだろうか。まだそこに対する答えははっきりとしてないからこそこの先の数年の変化が楽しみでもある。