アフター・ビットコイン2 仮想通貨vs.中央銀行―「デジタル通貨」の次なる覇者― [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 仮想通貨の歴史と現状、それに対する中央銀行の対応を客観的に述べており、それらを網羅的に理解するのには良本でした。

    以下、主に学んだ3点です。

    ビットコインとリブラは、ブロックチェーンを使った仮想通貨であり匿名性があることが共通点だが、リブラは協会が管理しリブラリザーブの裏付資産があるが、これ比べてビットコインは発行主体も評議会のような組織もなく裏付資産もない

    世界中の口座を持てない人に金融サービスを提供する目的でフェイスブックが創造したリブラだが、中央銀行は、マネーロンダリングの利用を監督できないこと、通貨主権が乗っ取られることを懸念し反対した。

    欧州や日本銀行、国際決済銀行が中央デジタル通貨(CBDC)の研究会を立ち上げると発表した。リブラへの危機感と中国デジタル通貨への危機感から中央銀行がCBDCの実用化に着手している。

    著者の予想ですと、世界の10%の中央銀行は三年以内にCBDCをする計画だそうです。通貨の世界でパラダイムシフトが起こるかもしれません。

  • この著者の本を読むとブロックチェーンの歴史がアップデートされてることがよくわかるのでおすすめです。最新情報ではないので星4ですが…。「通貨のあり方」について考える団体が増え競争率が上がるのは喜ばしいですね。また、投資対象として仮想通貨を見ていない方にもお勧めしたいです。仮想通貨やビットコインと聞くと株や投資としてみる方が多いと私は感じていますが、仮想通貨について知ることは面白いと思いますよ〜。ブロックチェーンという既存の通貨の枠組みを改変させうるものを現在進行形でいろんな枠組みに応用しようとしている時代に私たちは生きているというワクワク感。ワンピース読んでるみたいじゃん!

  • 昨年フェイスブックが仮想通貨リブラの計画を公表した際に、世界の金融当局が戦々恐々としていた様子が連日報道されていましたが、本書ではその背景が大変分かりやすく解説されています。

    日本ではビットコインバブルや、ハッキングによる流失が一時話題となりましたが、デジタル通貨の主流はリブラのような裏付け資産のある通貨、更には世界の中央銀行が発行をもくろむデジタル通貨に焦点が移っていることを知りました。

    通貨発行によるシニョレッジ収益は、デジタル通貨を発行するFBのような民間企業にとっては大きな収益源となることから、FB以外のGAFAや中国のBATなどが今後同分野に参入してくることも予想されそうです。一方、民間企業に中央銀行の地位を脅かされることにつながるとして、各国中央銀行もデジタル通貨発行に意欲を燃やしています。

    銀行口座を持てない人に対する決済サービスへのアクセスを提供できる、というメリットがある一方で、デジタル通貨はその匿名性ゆえにマネーロンダリングや麻薬などの犯罪取引につかされる危険性を孕んでいます。一方、中央銀行がデジタル通貨を国民全体に直接発行するシステムを採用すると、市中銀行の存在意義や、個人情報やプライバシーの保護といった論点をクリアする必要があることも説明され、金融経済の仕組みに大きな影響を与える可能性ある、と筆者は言います。

    特に驚いたのは、裏付け資産があると謳われているステープルコインであるテザーによるビットコインの価格操縦の疑いです。ビットコインバブルの背景に、こうした仕掛けが存在していたことを知るにつれ、デジタル通貨の開発、発行、流通において中央銀行のような公共性のある機関が主導権をとっていくのが望ましいのではないかと思いました。

  • GAFAの中でもフェイスブックに魅力を感じていないため、仮想通貨の「リブラ」に関してもとくに気にしてなかったんですが、この一冊読んだらそら規制の話になるよなと思いました。
    同時に3年経って各国デジタル通貨にも動き始めてる動向もまとめられていて、今後通貨や経済政策が変わるかもということも含めて理解できて、前作読んだ人にはオススメしたい内容です。

  • 筆者は法定通貨万歳,ブロックチェーン最強!というポジションだと感じる.

    管理者がいるデジタル通貨ならブロックチェーンを使わなくても堅牢なDBMSで作ったらいいのでは?と思う.

    中央銀行がデジタル通貨(CBDC)を発行するのは支持できる.硬貨,紙幣が通貨の価値の表象させるための輸送,保管その他諸々のコストがなくせそうだから.

    リブラの話:
    ーFacebook,VISA,MA,ウーバー等を含む団体(リブラ協会)がバックにいる
    ー既存の法定通貨を裏付けにした独自通貨を発行することで価値の安定を図る.
    ービットコインと違い,リブラ協会が管理者に立つ
    ー手数料や購買データビジネスではなく.通貨発行益(シニョレッジ)狙いでは...?というのが筆者の主張.
    ー>
    ・リブラといえども法定通貨を裏付けにするのであれば,既存の法定通貨と変わらないな.通貨を企業が発行するか,中央銀行が発行するか,の違い.
    ・そう言う意味では楽天ポイントやラインペイのポイントに近いかな?

    テザー:
    ・香港のビットフィネックス,USDT.裏付け資産がないのにステーブルコインとして発行しているのでは疑惑.しかも取引所とやり取りし放題.ビットコインの価格操作もしたのではと言う論文も出ている.テザー社はこっそり「米ドルへの償還を拒否できる」ともしているらしい.USDTは極力触らないほうが良さそうだ.

    ステーブルコインへの批判はわかる(裏で何するかわからない).でもそれって企業が発行しようが,中央銀行が発行しようが同じでは.

    CBDC発行,実はカンボジアがかなり進めてる.(カンボジアはスマホ普及率は高いが銀行口座の開設率は著しく低い.) バックには日本の会社(ソラミツ株式会社)
    目的は金融包摂,自国通貨強化など. 銀行券ー>DCへの交換が一方向性.



    管理者を置くのになぜブロックチェーンを使うの?というのがやはり謎だ.

  • デジタル通貨と消えるかもしれない民間銀行について分かる本。民間の銀行員はせめてこの本の内容は全部頭に入れながら、世の中の動きを見て、ブロックチェーンとデジタル通貨のスキルセットを磨きながら、自分の専門性をどこに移すか今から準備しておかないと、来るかもしれない波に飲まれちゃうなぁと思った。

    詳細は下記。
    https://note.com/t06901ky/n/n8ddea8c5f5d9

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著者プロフィール

中島 真志(ナカジマ マサシ)
麗澤大学経済学部教授
1958年生まれ。日本銀行を経て、現在、麗澤大学経済学部教授。

「2023年 『金融読本(第32版)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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