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感想・レビュー・書評
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インタビュアーの村上春樹さんは、自分は音楽の素人だ素人だと都度繰り返すのだけれど、正直言ってそれはとんでもない謙遜とか韜晦とかのレベルをもはや超えて、ある意味ちょっと嫌味なくらいなのだが、毎度その質問はかなり核心をついた、相当クラシックを聴き込んで猛烈に勉強してないと出てこないような話ばかりで、いつもながらこの方の趣味に対する造詣の深さには感嘆する。
その自称一般人、音楽の素人の村上氏の質問に、マエストロは大真面目に考え込んで、うーん、なるほど、それは考えたことなかったなあ、考えたことなかったというのはつまりね、といったふうに非常に丁寧に答えているのが印象的。
東洋人が指揮をするということで観客の心無いブーイングに、楽団員が「シャワー」という音楽家ならではの手法で抗議する、小澤さんを支持する、というエピソードには心打たれた。
音楽を愛するプロフェッショナルたちだけに分かる行動様式。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
学生時代からの小澤ファンとして、楽器をほんの少し習い続けているアマチュアとして、興味深く読みました。
また、ざっくばらんな小澤征爾氏ときめ細かな村上春樹氏の対談形式は、噛み合うような合わないような、何とも面白かったです。
特に音楽学生たちを指導、教育する小澤氏の姿勢に感銘、また指導の内容もとても参考になりました。
行動は一般的日本人とは思えないが、心はまさに日本人そのものと思われる小澤征爾氏を改めて尊敬します。
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小澤征爾の訃報に接し再読。改めて日本と世界の音楽界で惜しい人を亡くしたのだと実感。クラシックファンなら誰もが聞きたい往年のマエストロ、カラヤン、バーンスタインや名ソリストとのエピソードから始まり、作曲家とその音楽の話、ベートーヴェン、ブラームス、マーラーと時代が下がっていき、次は壮大なオペラをなぞり、そして最後は室内楽の話。小澤征爾自身の話であり、クラッシック音楽を巡る旅でもあった。この流れをどこまで最初から綿密に計画していたかは分からないが、村上春樹の作家、インタビュアーとしての構成力はさすが。
すでに2011年当時がんの治療後のリハビリ中で、途中、村上春樹が小澤征爾を気遣う様子が伝わってきて、そこから10数年、文字通り命を尽くして音楽への情熱を燃やし続けた、小澤征爾という稀代の音楽家の冥福を改めて祈りたい。 -
村上春樹さんが朝日新聞に寄せた追悼文がとても良かったこともあり、購入。ある程度のクラシック音楽の知識がないと読むのが辛いかもしれないが、クラシックファンにとってはご褒美みたいな一冊だった。どの章も最高に面白い。村上さんの音楽知識の豊富さにも驚愕。
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小澤征爾さんと、音楽について話をする
(和書)2012年03月13日 14:27
小澤 征爾, 村上 春樹 新潮社 2011年11月30日
小澤征爾さんがどういう活動をしているのか知ることができた。村上春樹さんはジャズだけじゃなくてクラシックにも精通している。しかしあまり読んでいて楽しさを感じない。
ちょっと専門的というか愛好家向けには面白いのかも知れない。