パチンコ 下 (文春e-book) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 素晴らしい作品に出会えました。
    自分の母が韓国人なのですが、自分が育った環境と少なからず重なる部分があり、胸が熱くなりました。
    周りの人たちにも勧めたい本当に美しい作品。

  • Audibleにて聴了。約25時間に渡る朗読だけど、毎日のウォーキング時にこつこつ聴いてきた。聴く読書と遊歩道でのウォーキングはとても相性が良く、それぞれの継続の楽しみとなっている。
    本作は、日韓併合の時代を経て、在日コリアンとなったある朝鮮人の家族4代、約80年に渡る大河物語。日本国家と日本人による差別と理不尽に満ちた背景の中、パチンコ業を営む一家の茫漠たる人生が描かれる。
    朝鮮人差別、不当な逮捕、虐待、虐殺という歴史を背負う日本人として眼も顔もそむけたくなるエピソードに、事実、私たちが実際にしてきたことは恥ずかしく責められるべきものであるが、ほとんどの日本人はその事実を素直に受け止める気になっていないと気づかされる。いかに私たちがいろんな局面で恥ずべき行為をしていたか。単一民族であるゆえの自意識だけ高く、国民しかその業績を取り上げない姿勢など、われわれの低レベルな思い上がり意識は基本的に変化していないのではないか。LGBT差別しかり、ハラスメントしかり、SNS炎上行為しかり、全てこの小説のテーマに通ずるところがある。
    脱線してしまったが、この小説は、日本人を糾弾しているわけではなく、大きな歴史のうねりのなかで人生をいかに正しく生きるかを教えてくれる本だと思う。
    若い人中心にもっと多くの人に読んでもらいたいと思う。
    AppleTVでドラマ化されているが、まだ見ていないので見てみたい。

  • コリアンの血とキリストへの信仰が大河のように物語を通して脈々と流れているのを感じた。

    「後悔を超えた先に、かならず新しい一日がある。」という一文に「風と共に去りぬ」の「Tomorrow is another day」のシーンを思い出してしまう。

    時代を超えて愛されるであろう傑作です。

  • ノア。。。
    パチンコ業界なぁ。

  • 孫正義さん伝記「あんぽん」と並列読みしました。

    在日韓国人差別、重なる部分が多いと感じました。

    読み終わるまでは、パチンコ屋さんに対して差別的な見方(働かない人が通う遊ぶ場所)をしていました。今は在日韓国人の方々と同じように(と言ったら烏滸がましいでしょう汗) 心が折れてしまいそうな人の逃避場所、大変なお仕事を引き受けてくれているのかなぁと思います。

    もし子どもができたら、おすすめしたい本です。

  • 一気に読んだ。人生はパチンコ。

  • 上下共読んだ。

    読む前には昔何度か読んだ在日韓国人、あるいは朝鮮人の人たちの人生の話と似ているかなと思ったけれど、これをアメリカ人(正確にはコリアンアメリカン)が書いているというこが今までと違った。

    ある女性の一生がさまざまな時代を通して描かれている。

    面白く読んだ。

  • 在日コリアンについて知らないことも多く、勉強になった。個人的はパチンコは好きではないが、職業差別もある中でこの業界に入り、一生懸命働いて家族を支える登場人物の姿を見て、少し見方が変わった。変わらない日本の中で苦しみ続ける在日コリアンの諦め、保守的な人の悪気のない差別意識、荒んだ家庭に生まれ自分も荒んでいく娘、貧困層の問題、エリート層の問題、、、物語後半にある人物が語る「罪のない人など一人もいない」という台詞が身に染みた。展開がかなり早く、重要な登場人物が割とあっさり死んだり、複数の登場人物の視点の切り替わりが多かったりして、若干感情移入しにくいところがあった。

  • 理想は個人を蔑ろにする。個人の生活をよくしようなんて誰も考えてない、上層部にあるのも私利私欲だけ、というコ・ハンスの冷めた諦観にゾクリとする。主義に生きる人が苦手な理由はこれ。自分のために生きると公言してる人のほうがよほど信頼できる。

    第三部の冒頭でベネディクト・アンダーソン「想像の共同体」からの引用が出てきて胸が熱くなる。電子化されないかなあ。

    オーディブルには謝辞や解説が収録されてないことが多いみたいだけど、最後の謝辞と日本語版読者に向けたメッセージまで入ってた。著者の30年近くに及ぶ粘り強い闘いと、誠実な姿勢を知れてよかった。日本人やコリアンや米国人である前に、お互いに1人の人間として向き合いたい。属性や肩書きなしに、ただの「タナカさん」「〇〇さん」で通じる関係を築きたい。

  • 下巻の方が好きだった。絡んでくる登場人物がより魅力的だった。
    なんといってもファムファタールの花ちゃんの造形が素晴らしかった。奔放に年下の男をたぶらかして愛や恋で釣って玩んだと思ったら遠くに行ってしまい、数年後に不意に電話をしてくるというのがとてもいい。そんな彼女がエイズに罹患してしまっても気丈なのが泣ける。花ちゃんすごく好きだった。悦子さんも魅力的だった。人間の弱さと愛の間で葛藤する様に共感した。
    最後のエピソードがとても悲しくて好きだった、本を勧められて読んでいたとか素晴らしいよねー。

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