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感想・レビュー・書評
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批評家ロラン・バルトが交通事故で亡くなったのはなぜか?
言語学者ヤコブソンが「言語の七番目の機能」について書いた原稿をめぐる騙し騙されのサスペンス。そこにフランス大統領選挙が絡んできて……
といっても、途中から、もはやストーリーなんてどうでもよくなってきた。というのも、事件にはミシェル・フーコーやジャック・デリダやドゥルーズ、ガタリ、クリステヴァやソレルス、ウンベルト・エーコなど、実在した(する)錚々たる時の思想家、哲学者、作家が登場し、事件と関わってくる。彼ら彼女らのやりとりがそれは面白くて。一人だけでも手に負えないのに、よくもまあこれだけの人物を登場させようと思ったものだ。
最高だったのは、著者が映画『ファイトクラブ』想を得たという「ロゴスクラブ」。あるテーマについて二人が議論し、挑戦者が負けると指を(あるいはもっとすごい部分を)切られるというルール。夢中で読んだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【僕は僕自身の物語の主人公なのだ】(文中より引用)
1980年に実際に起きたロラン・バルトの交通事故死を下敷きにした異色のミステリー作品。バルトの死の謎を解き明かす鍵となる「言語の七番目の機能」とはいったい何だったのか・・・。現実と小説の境目に哲学を挟み込み、右に左にと読者を揺さぶってくる快(=怪)作でした。著者は、『HHhH』で圧巻のデビューを飾ったローラン・ビネ。訳者は、前作に引き続いての登板となった高橋啓。
現在翻訳が進められている『文明』も楽しみ☆5つ