BRAIN DRIVEN (ブレインドリブン) パフォーマンスが高まる脳の状態とは [Kindle]

著者 :
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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  • 「神経科学が新たに示してくれる叡智を、哲学や心理学でこれまで育まれてきた叡智と照らし合わせ」ながら、「モチベーション」「ストレス」「クリエイティビティ」のメカニズムを解説すると共に、「モチベーションのコントロール・ストレス対処・クリエイティビティを高めるためのヒントを」記した書。

    本書は、「メタ認知」の重要性を強調している。メタ認知は、「自分自身を、客観視、俯瞰視」した認知の状態のこと。その「本質的な意義は、自分のことを客観的に、俯瞰的に見ることで、自分自身の脳に自分自身についての情報を書き込み、それによって「自分をもつ」こと」であり、「自分の感じ方、考え方、振る舞い方を知れば、自分で感じ、考え、行動する、自律的な脳が育まれる」という。モチベーションを高め、ストレスと上手く付き合ってパフォーマンスを高め、クリエイティブ脳は育むには、意識的にメタ認知を行うことが重要なのだ。

    本書でなるほどと思った点を幾つか。

    「希望とは、基本的にはどうなるかわからないことに対して前を向かせる脳の機能である」が、この機能を発動させるのは「簡単ではない。なぜなら、新しい挑戦は知らないことばかりで脳のエネルギーを大量に消費するからだ。また、可能性といったポジティブな側面よりも、リスクジャッジメント機能が優先される。なかなか希望は持ちにくいのである」。なるほど、そう言うことか! 悲観的になったり。挫けそうになったりするのは、元々脳が持っている性向によるものなんだな。

    「神経科学の観点からクリエイティビティを発揮する脳を覗いてみると、そのほとんどが大脳新皮質や大脳辺縁系など脳の上部領域の活動によることがわかってきて」おり、「クリエイティビティは天性のものと言われることが多いが、かなり後天的に育まれる要素が多い」。創造力も、努力というか脳の使い方の工夫次第で伸ばせるんだ!

  • # 1. Brain Driven

    青砥瑞人

    ## 1.1. 概要

    モチベーションを上げたい、ストレスを減らしたい、といった悩みは現代人につきものであるが、そもそもモチベーションやストレスは脳のどのような働きによってもたらされるのだろうか。本書は、脳神経学の視点から、モチベーションやストレスを感じるときに、脳内で何が起こっているのかをまず明らかにする。それを踏まえたうえで、どのような行動が、自らのパフォーマンス向上につながるか、ヒントを示している。

    ## 1.2. メモ

    ### 1.2.1. Motivation

    * 生存に近い部分のモチベーションは、仕事などのそれより優先される。
    ←体調、睡眠を整えておかないといかん。
    * セロトニン(心の落ち着き、元気のもと)が、夕方に構造変化してメラトニン(眠気)になる。そのため、朝十分に日を浴びなければ、夜眠気がやってこない。
    * 意識的にドーパミンが出る場面を思い描く(音楽や、アニメのアツい場面など何でもいい)。その状態でタスクに取りかかる。
    * "SEEK", "WANT", "TRY", "LIKE"でモチベーションを整理する。
    * モチベータ→モチベーション・メディエータ→モチベーションの流れ。
    * いいとこセンサー。人間は悪いところが目につきやすい。自分のドーパミンの出るpointを把握する。
    * 期待との差分によってドーパミンが生じる。抱いた感情が快の場合、ドーパミンはβエンドルフィンに変換される。βエンドルフィンは脳内アヘン。
    * ワクワクした出来事と、その時の感情を同時に想起することで、内的モチベータにできる。
    * 自分で飛び込む苦痛は、我々を強くする。苦痛の中頑張っている状態は、苦痛を和らげる物質も出るため、脳内物質のオンパレード。
    * Newrons that fire together wiring togetherの原則
    * お金は、モチベータにはなりうるが、特異。予測しやすいため、予測を上回ったときに出るドーパミンを、長期的には期待できない。お金以外の何かがモチベータとしてあると、カラフル
    * 自分の脳で意思決定することが重要である。自分で意思決定したとき、何らかの予想をしているはずである。実際におきた結果はその予想と多かれ少なかれ異なっているはずで、そこに差分が生じる。その結果、ドーパミンが放出され、学習効果が高まる。
    * 葛藤に対し、他人の指示で行動した場合は、差分がないためドーパミンが出ない。
    * 挑戦すると、何かが得られるという脳内回路を強化する。

    ### 1.2.2. Stress

    * ストレス反応を起こしている≠ストレス状態を認知している
    脳の働き方も違う
    * 成功体験と、その途中の失敗をセットで学習することで、レジリエンスがはぐくまれる
    * ドーパミンは、モチベーションアップにつながる。ノルアドレナリンは、脳の情報処理機能を高める。反面、気が散りやすくなる。
    * 自分がやりたいことから受けるストレスは、良いストレスである
    * 慢性的なストレスは、コルチゾールが出っぱなしになり、海馬の縮小をもたらす
    * リラックスできる方法を探し、リラックスできる感覚とともに記憶する
    * 脳が最もストレスを感じることは、あいまいな状態が続くこと。
    * 超俯瞰。毎日、今日一日命があったことに感謝する。→強化学習。
    * ネガティブな出来事を、ポジティブな感情とともに想起することで、感情の書き換えが可能。

    ### 1.2.3. Creativity

    * 脳は0,1で処理をしない。
    * 不確実な脳を愛でる。
    * 「想像プロセス」と「評価プロセス」に分ける。
    →誰にとっても新しいものは、そう簡単に生まれない。重要なのは自分にとって新しいかどうか。自分にとって新しいものを生み続けることで、創造の脳内回路が強化されていく。
    * 自分でも、自分にとっての新しさと、他者からのフィードバックは分けて考えること。
    * 心理的安全状態の確保+クリエイティビティは後天的に育まれると信じること。
    * クリエイティビティの原点は、デフォルトモード・ネットワークである。どっぷり浸かった後は、デフォルトモード・ネットワークになるよう意識するのもよい。
    * 自分の「感」(感情・感覚)を大事にする。違和感を大事にする。
    * 日常から、新しさを見出す訓練をする。

  • ・自分の気持ちの変化がなぜ起こっているのかを神経学的に学べる本。
    ・ドーパミンとβエンドルフィンが出てる状態をキープ!キープ!
    ・クリエイティブ的思考はかなり複雑。クリエイティブを高めたいのであれば地道なクリエイティブ活動を。だけど休息もとっても大切。
    ・苦痛を感じられてラッキーと思う、耐えることを楽しんでみる。その先に普段以上の快感がある。しかし、苦痛を他人に強いることは全く異なるのでやってはいけない。能動的だからこそパフォーマンスがいつも以上に上がる。
    ・根拠のない自信を大切に。しかし、「リスクを認識する。」最大限の準備を。
    人間がここまで進化したのは、不確かさに直面しても前を向く力、つまりrIPSCの機能が備わっていたから。
    ・use it or lose it 使うか失うか
    ・人間の脳は新しいものに対して警戒し、ネガティブなものに対して注意が向きやすい特徴がある。

  • 脳の機能が随分と明らかになってきている。報酬系であるドーパミンの話は、茂木健一郎の本で、学んだ。そこから、だいぶ進んだようだ。
     本書は「脳を知ることは、自身を含めた人間理解を深め、生きていく上での知恵になるはずである」と言って始まる。確かに、自分の脳とどうつき合うか。自分の脳のトリセツがあれば、かなり楽となる。とにかく自分の脳の特徴を自分で知る必要がある。
     最新の脳神経科学の視点で、3つの機能、モチベーション、ストレス、クリエイティビティについて述べている。脳科学の進展によって、部分的な機能だけでなく、脳のシステムとして解明され始めている。とりわけ、創造性とは何かをこの間追求しているので、刺激的だった。
    また、そもそもクリエイティビティとは何か?一般的に「創造的行為をしている状態」ではなく「新しく価値ある何かを生み出した結果」をクリエイティビティと言っている。重要なのは、創造的行為をしているプロセスの状態なのだ。クリエイティビティは、天性のものではなく、後天的に獲得された能力である。そのことを知っただけでも、納得のいく話だ。また、ある部分だけでなく、脳のさまざまな部分を総動員しているという話も重要だ。
     脳は、ネガティブ思考に陥る傾向が強い。つまり、アラ探ししたり、ナンクセをつけやすい。脳は批判することが好きなのだ。とりわけ他人に対してその機能を発揮する。また自分に対してもネガティブ評価をしやすい。例えば、80点のテストの結果だった時に、なぜあと20点を取れなかったのかを考えてしまう。そうではなくて、なぜ80点を取れたのかということを考えるべきだ。ポジティブ思考に切り替えて、自分を褒めていくことのほうが大切なのだ。成功体験を積み重ねることのほうが、自分自身を向上させることができる。
     クリエティブを発揮する場合、人と違うことをやるのだから、人の意見に左右されやすい。つまり、そのようなことを気にしないタフさが必要となる。脳は、安全運転したがるのだ。そのほうが楽なのだ。冒険や挑戦は、リスクを背負うことになる。自分の目標を立てることで、リスクを背負う覚悟ができるのだ。そして、クリエイティブであるためには、成功体験を組み立てることだ。
     著者は、「直感」は文字にできない感情であり、説明ができなくても大切にして、また「違和感」は、同じように重要だという。直感と違和感は、これまでの体験の経験知と価値記憶から生まれている。
    モチベーションについて言えば、「動機づけ」と「行動が誘因され持続させる」ことは違う。また、ハウツーを与えられても、ヒントにはなるが、答えや解決にはならない。ハウツーものは、与えられるものではなく、自分自身でつくるものだ。
     自分を高めるためには、メタ認識がいる。メタ認識とは、「自分自身を、客観視、俯瞰視」した認知の状態である。
     生存に必要なモチベーション(睡眠、食欲など)が優先される。
     モチベーションとは、やる気を出す、ワクワクする、物事を達成する時に発揮される。ドーパミンはやる気ホルモンとして、①快楽に関わること。②報酬予測と報酬獲得。③強化学習の中にある。
     情動であるSeek:よくわからないけど、新しいことでワクワク。自分にとって何か良さそうだ。好奇心。Want:経験したことがある。Try:ドーパミンによる挑戦。より困難なタスクに挑戦。Like:好き。学習済みの快の認知的な判断。の4つの情動にドーパミンが関与する。
     空腹によるドーパミン誘導を勉強に意識的に振り向ける。ドーパミンが前頭前皮質に作用する。飢餓や断食によって脳内の反応が変わる。モチベーショントリガー、やる気スイッチをつくる。ドーパミンが記憶定着率を高め、学習効果を高める。ドーパミンは記憶に関連する脳部位の海馬と扁桃体にも照射される。ドーパミンは脳が知ろう、学習させようと反応する。それに、ベータエンドルフィンが加わることで、持続する。「楽しい雰囲気を感知する脳の状態」をつくる。
     脳は、脳に届けられた情報全てを記憶するわけではない。そのほとんどが脳の中で捨てられる。自分に意識的に注意を向けない限り、自分の脳に自分の情報が書き込まれない。さらに自分のことはよくわかっているという錯覚から、ほとんどの人は意識的に自分を見ようとしない。
    モチベーションを上げるには、やる気になった動因とやる気になっている自分を認識することで、よりモチベーションを持続することができる。ランナーズハイや夢中になることで集中する。脳が興奮して、ドーパミンを出しまくってる状態を作ることだ。ドーパミンは、集中力、発想力、いいパフォーマンスや生産性を向上させる。
    ストレスは生物にとって生存に必要だからこそ備わっている重要なメカニズム。ネガティブに作用するストレスだけでなく、ポジティブに作用するストレスもあるので、時には受け入れることも良いことだ。適度のストレスは、脳にとっても重要だ。いかにして、ワクワク、好きなことをやり続けるか。そして、脳がどこで、喜んでいるのかを自分で見つめることが必要だ。自分で経験して、失敗することで多くを学び、成長していくものだ。この本は、一度読んでも、よくわからなかったので、2回読みしてみた。常に、新しい気づきがあり、良書である。
    自分の脳の取り扱いに困っている人は、創造性を考えている人におすすめの本である。
     #青砥端人 #モチベーション #クリエイティビティ #ストレス #ドーパミン

  • モチベーションが上がらないとか、ストレスを辛いという人にはちょっと読んでもらいたい本。

    ざっくりまとめると、自分がどう感じているのかを把握してポジティブな反応を示しているイベントを増やすってことなんだけど、意外と出来てないものです。メタ認知

  • 単なる自己啓発本かなと思って読み始めたが、脳の機能についてしっかりと解説してて、学びになることが多かった。
    結構荒く読んだので、時間があったらまたパラパラ見返したい。

  • モチベーション、ストレス、クリエイティビティの3つを脳科学からみつめた一冊。 全体として論理的でありながらも、ポジティブな考え方、前向きな捉え方がさまざまな局面で重要であるという筆者の考えを感じた。 細かい機序はすぐに忘れてしまうが、心の持ち方を客観的にコントロールするヒントが散りばめられた興味深い本だった。繰り返し読み直していきたい。

  • amazon prime readingで読みましタ。近年の脳科学、神経科学からモチベーション、ストレス、クリエイティブとはどういう風に解釈されているのカ?という内容を簡潔に述べていまス。
    こういうケースでどこどこの脳領域が活動して~という話が多ク、「クリエイティブになりたいならこうしろ!」などという感じではありませン。ただほんのりと「こういう脳の活動を促せればいいかもね」とは書いてありまス。
    意識的に脳の活動を促すとハ……?とも思いますガ、こういう内容も知っていれば活かせる機会もあるだろうという感じでス。

    Use it or lose itの話や自身を俯瞰する事での内省などは行動のヒントになるかもしれませン。脳の用語多くて若干読みづらさはありましたが面白い本でしタ。

  • 一般的にワーキングメモリは短期記憶と言われていますが、本書では『長期記憶の一部である』と説明されています。
    例えば、電話番号を記憶するのと馴染みのないアラビア語の単語をいくつか記憶するのとでは、前者の方が断然覚えやすいはずです。それは、私たちが日頃から数字を使うことが多いため、脳内の長期記憶の中に数字という情報が保存されているからなのです。
    つまり、ワーキングメモリは長期記憶にある情報にアクセスして、瞬間的にその記憶をアクティブにさせているのです。
    これを読んで、記憶力がいい人の脳内には、他の人よりもたくさんの情報が詰め込まれていて、意識的なのか、無意識のうちなのか、以前記憶した情報を引き出しているだけだということが分かりました。
    なかなか人の顔を覚えられない私は、色々な人の顔を見ていれば克服できるのですかね?

  • モチベーション,ストレス,クリエイティビティを専門的に解説した本。
    モチベーションの最初の部分のみ読んだが、今の自分では読みたいという意欲がわかなかったので一度離脱。

    他の人のレビューを見ると、評価は高くわかりやすいという内容が多かったので
    時間があるときに改めて読みたいと思う。

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著者プロフィール

青砥瑞人(あおと・みずと)
株式会社DAncing Einstein代表。日本の高校を中退。米国大学UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の脳神経科学学部を飛び級卒業。脳の知見を、医学だけでなく人の成長に応用し、かつAIの技術も活用する、NeuroEdTechとNeuroHRTechという新しい分野を開拓。同分野において、幾つもの特許を取得する脳神経発明家。新技術も活用し、ドーパミン(DA)が溢れてワクワクが止まらない新しい学び体験と教育・共育をデザインすべく、株式会社DAncing Einsteinを2014年に創設し、Founder CEOも務め、学校、企業、学生、先生、社会人、などの垣根を超えた人の成長とウェルビーイングのデザインに携わっている。著書に『Brain Driven』(ディスカバー21)『HAPPY STRESS』(SBクリエィティブ)『4 Focus』(KADOKAWA)などがある。

「2021年 『最新の脳研究でわかった! 自律する子の育て方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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