ルポ新大久保 移民最前線都市を歩く [Kindle]

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  • 辰巳出版
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  • 国際色豊かな、モザイクのような街、新大久保に実際に住んで体験したことを紹介したルポ記。
    たしか書評を見て購入。ヒンドゥー廟などマニアックな箇所も紹介しており、丹念な取材が伺える。久々に新大久保へ飲みに繰り出してみたくなった。

  • 月並ながら、韓国以外のアジアの方がこんなに根付いているのを初めて知った。美味しそうなお店が沢山紹介されており、思わず脚を伸ばしたくなる

  •  新大久保と言えばコリアンタウンのイメージがあるが、現在は韓国人だけでなくベトナム人やネパール人などアジア各国の人々が集まる多国籍都市になっているそうだ。著者は実際に新大久保内のマンションに住んで町の人々と交流しながら取材を重ね、移民最前線都市の今を伝える。次に東京で働くとしたらどこに住むか考え中だが、こんな場所もいいのではないかと感じた。

     本書によれば、新大久保の住人が国際化した歴史はそう長いものではない。最初はバブル期の80年代後半、歌舞伎町で働く外国人ホステスらが住み始めたのが発端となり、21世紀になって韓流ブームが起こってコリアンタウン化した。その後、東日本大震災で多くの韓国人や中国人が帰国し、その穴を埋めるようにベトナムやネパールなど他のアジア諸国から留学生として来る人々が増えた。

     新宿の隣という便利な立地と、多くの同胞が住んでいるという安心感からさらに外国人が増える。学校や役所も外国人対応が進み、ますます外国人にとって住みやすい町になる。そういう循環が進んでいるようだ。各国の料理を出す飲食店も増え、アジアの雑多で緩い雰囲気が好きな人にしてみれば、面白い町だろう。

     しかし、昔から暮らしている日本人の中には、周囲に外国人が増えることを喜べない人も少なくない。文化も生活習慣も異なる人々の間ではどうしても軋轢が生じる。多文化共生は簡単なことではないのだ。永住ではなく一時的に暮らしている人が多いこともあって、まちづくりに努力する人々の苦労も伝わってきた。

     そして現在はコロナ禍の中にある。東日本大震災で変化があったように、今回も少なからぬ変化が起こるだろう。変化した後の町がどうなるかまだわからないが、辛い経験を越えてより一層たくましくなるような気がするし、そうあってほしいと思う。

  • 海外に行くのが困難な昨今、新大久保に行けば東南アジアや南アジアの雰囲気を味わえるのではないかと思う一冊。ここはもうコリアンタウンではなく、多文化都市。個人的にはヒンドゥー教の廟に惹かれた。

  • 週刊文春 2020年11月26日号 urbansea評

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著者プロフィール

フリーライター。1974年生まれ。週刊誌記者を経てタイに移住。現地発の日本語情報誌でデスクを務め,10年にわたりタイおよび周辺国を取材する。2014年に帰国したあとはアジア専門のライター,編集者として活動。「日本に生きるアジア人」「アジアに生きる日本人」をテーマとしている。
〔主要著書〕
『ルポ 新大久保:移民最前線都市を歩く』辰巳出版,2020年
『日本の異国:在日外国人の知られざる日常』晶文社,2019年
『バンコクドリーム:「Gダイアリー」編集部青春記』イースト・プレス,2019年
『おとなの青春旅行』(下川裕治との共編)講談社,2018年

「2021年 『ルポ コロナ禍の移民たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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