- Amazon.co.jp ・電子書籍 (203ページ)
感想・レビュー・書評
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インプットの過程、つまり読書が最初の思考プロセスであることに納得した。筆者の読書術がページを割いて解説されていて面白い。興味の赴くままに、本業の研究分野から外れて、いろいろなジャンルの本を読む「カニ歩きの読書」という、読書遍歴を表現した言葉とイメージ図も気に入った。思考の概念図もところどころに登場するので分かりやすい。とくに冒頭に登場する、本書の見取り図は、思考のプロセスとキーワードが視覚的に整理されていて、新たな目次のタイプとしても興味深い。
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帯のコピーが凄い!
現代最高の知性が明かす思考の極意
つい買ってしまった(*^O^*)
最近はフランス人の著作を読むことが増えた。
この本は完全日本語オリジナルと帯に書かれているように、日本様に書き下ろされた本であり、何度も日本の皆さんはという語りかけが入ってくる。
ソ連の崩壊や、イギリスのEUの離脱を予想した現代最高の知性が明かす思考の極意とは何か?
一言で言うと、謙虚であるということだ。
数字を読み替えることをせず、世の中で指標とされている何度も変換された数字を信じず、ただただリアルな数字とを客観的に見極める。それは自分が暮らしている環境についても同じように行うということである。
一言で言うとそうだが、他にも歴史を学ぶ点など、様々な視点を取り入れる事が書かれている。
人生無駄はない。
現代最高の知性の持ち主が、どんな青春を過ごしたのかも興味深く読める1冊である。 -
・P138:
(1)思考の面では自国に留まらず、外へ行ってしまいなさい
(2)SFを読み、想像の世界へ行きなさい
(3)すでに死んだ人の本をより多く読みなさい
(4)恋愛面で危機にある時ほど研究に没頭しなさい
・P202:映画「シン・ゴジラ」でも、誰が責任を持って決断をするかということが柱となっていましたね。でもこれは日本の「文化的側面」なのです。他方で強調しておきたいのは、フランスやイギリスのようなもともと個人主義的な文化のある国々においても、この種の順応主義のメカニズムが台頭してきているということなのです。
・P204:西洋の個人主義では、すべてが個人ありきで始まります。個人の中には、たった一つの、すべてを統制する自我が存在する---こうした規定が個人主義的文化の基盤にあります。
それと対照的なのが、こうした自我の存在というのはそもそも幻想であるとする仏教的な考え方だと思います。仏教では「私」や自己の存在を明確に否定していますね。 -
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「現代最高の知性」エマニュエル・トッド氏が思考の極意について語った本。
ソ連崩壊やリーマン・ショックなどを予見した世界的知識人、エマニュエル・トッド氏が日本の読者に向けて自身の思考法について語っています。
アウトプットは膨大なインプットから生まれます。思考の第一歩は徹底的な情報収集から。 -
書斎にあるトッド本は『帝国以後』だけなのだが、新聞やTVでのコメントやインタビューが強烈なので借りてみた。“どんな思考してるんだろう?”と。ちなみに風貌も強烈。
なるほど、本物の学者だ。思考のインプットは歴史とデータ。家系的には典型的なフランスのインテリなのだが、ユダヤ系であること、フランス合理主義よりイギリス経験主義によること、哲学嫌いなど、学術界や大学では認められなかった。むしろ、リスクを負って戦ってきた。
大学人としては「今日の大学は順応主義を生み出すところになっている(p201)」が耳痛い。 -
著者がどう自らが思考して行くかをまとめた本。まああまり深い内容では無かった。なので、結構スッと読めた。ユダヤ人で共産主義者だった祖先は良く第二次世界大戦を生き延びたな。フランスに居たからか。外から見る目の重要性を記しているが、それは著者は英語の文献を読むことで補っている。ケンブリッジで勉強した事が重要だったようだ。後、フランスの教育は哲学を良く勉強させるという件も面白かった。その辺りに地域性が出るんだなと。最後の未来のところでコロナについて光を当てているが、日本については、感染をよく抑えていて、内部での満足感は得られるかもしれないが、これまでより更に高齢者を救う事よりも子供を産むことの方が大切であるという事実を見えなくさせてしまう可能性があると指摘している。その通りだと思った。フランスの指導者層への辛辣な言葉は記憶に残った。