- Amazon.co.jp ・電子書籍 (296ページ)
感想・レビュー・書評
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めっちゃ良書。あくまでも歴史的事実をベースに実際はどうだったのか?しかも、それぞれの登場人物の置かれた背景と思想まで考察して、その上で、こうだったんじゃないか?と書かれており、実に納得できる。地に足が付いた感じ。
逆に言えば、江戸時代に入って各藩の歴史をとりまとめたり、軍学者の出世のため書かれた文献の影響で、フィクションが文献として残っていることが多く、資料がないために、仮にそういうことだったんじゃないか?となっている話が多いってことがわかる。
謙信は広報上手だった。同時代の武将だけでなく、後世の私たちもすっかり「謙信のイメージ」にミスリードさせられているんだなって感じる。
なぜ謙信がこんなにも関東に進出してくるのか?従来書かれていた「口減らし」だけでは納得できず、モヤモヤしていた。下記の著作で、まさか「室町幕府再興」の一環としての動きだったとは!最初知った時は、大ぼらとしか思えなかったが、歴史で言えば、源頼朝が成し遂げたこともあり、決して夢では無かった。ただし、頼朝の時代と、謙信の時代では、関東在地の武将たちの共通認識が違い、一枚岩の動きになれなかった。その意味で、次の時代を開いた、必要なステップだったと思う。
途中で越後から逐電した近衛前久の動きはいかにも公家らしい。
そういう意味では、足利義輝と近衛前久の動きは、新しい現実に対応した「室町幕府再興」計画で、この頓挫をもって、次の違う動きをしないと、これはダメだ!となったように感じる。
乃至政彦「上杉謙信の夢と野望 幻の「室町幕府再興」計画の全貌 歴史新書y 」洋泉社 2011.12
https://honto.jp/netstore/pd-book_03486766.html詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
上杉謙信がなぜ無謀ともいえる関東越山(越山とは関東方面だけではないらしいが)を繰り返してたかを解説した一冊。
丹念にその時代の関東地方の武将について分析しており、勉強になった。