- Amazon.co.jp ・電子書籍 (171ページ)
感想・レビュー・書評
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コロナを機にこれからの不動産業界がどう変わっていくのかをまとめた本。「アフターコロナの住宅市場はまさに弱肉強食だ。」のひと文には痺れた。
金融機関の返済猶予が6カ月間でその間に任意売却物件にする必要があることや、民泊の収入を不動産収入にしていると政府の給付金が受けられないことなど、不動産周りのお金の仕組みに、オフィスや飲食店、ショッピングモールの現状も重ねながら、コロナ禍の不動産状況を考察しているので非常にタメになる。
ルポでは郊外に引っ越した人のインタビュー記事や、ペアローンでマンションを購入した人の現状をまとめた記事など、コロナ禍でのリアルな人の動きがわかって興味深い。こういった現状は断片的にネット記事で見かけるが、こう1つの本にまとめてあると1つの大きな動きがだんだん見えてきた。不動産はその名のとおり投資先として手堅い分野な反面、負の状況に陥るとがんじがらめになってしまう諸刃の剣なんだなと改めて実感。
そもそも「住」は絶対的な需要なので、それが都心から郊外に分散したというだけ。変化が急すぎて不動産所有者が混乱しているのは事実だが、筆者の言うとおり、「自分らしさを追求する」という、不動産を選ぶ際のあるべき形になってきているということで、この変化自体は素晴らしいと思う。郊外地域の不動産関係者は、この期を逃さずに、その地域ならではの特色をアピールして人を呼び込み、街づくりを活発にして言って欲しい。地域としても、移り住む人としてもwin-winな形で変化していって欲しい。
最後の章のほとんどを使って生き残るヴィンテージマンションを紹介していたのには笑った。これどさくさに筆者の趣味を解放したかっただけな気がする(笑)。こういうマンション毎の特色を紹介するコラムは大好きなので楽しんで読ませてもらいました。詳細をみるコメント0件をすべて表示