フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔 (講談社現代新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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    原爆の開発に携わり、コンピュータの父と呼ばれる天才の人生と共に、20世紀の科学史を外観した本。
    ノイマン以外の科学者の紹介も豊富だった。

    ノイマンの業績を知るには仕方がないんだけど、数学・物理学などの用語が難しかった。非ユークリッド幾何学とか。
    あと本筋じゃないけど、日本の戦争司令部の敗戦の判断が遅れた責任についてはだいぶ熱く語っている印象だった。

  • フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔。高橋昌一郎先生の著書。天才科学者による科学優先主義と非人道主義。外見も中身も悪魔ならまだましなのかも。人間のフリをした悪魔と出会ったらどう対応すればいいのがわからなくなってしまいそう。会った時には悪魔だと決して気づかないだろうから。人間のフリをした悪魔とどう向き合うべきかは平和を愛する人たちにとって共通の問題。

  • たんたんとしていて面白い。

  • ノイマンの伝記。非常に興味深い話ではあった。所々著者の偏った思想が入ってくるのでおすすめはしない。ほかの著者が書いたノイマンの本も読みたいけど、「フォン・ノイマンの生涯」あたりも偏ってそうだしうーん。

  • タイトルの”フォン・ノイマンの哲学”というタイトルほど哲学が語られているわけではなくノイマンの伝記という感じであったが、超人的な天才ノイマンの話で非常に興味深かった。以前からノイマンは興味があり概略は知っていたが、本書はとても詳しく良かった。

  • 天才とは天災?祝福?

  • 量子関連。タイトルほどの過激さは感じなかったが、この天才を歴史的にどう評価したらよいのだろう。残念ながら量子の理解は深まらなかったが、ノイマン関連書籍を読んでみたくなった。

  • フォン・ノイマンの哲学
    人間のフリをした悪魔、人類史上最恐の頭脳という表紙だったのでどんな悪い人が出てくるのかと思ったら考え方に納得出来る部分もあって悪魔はちょっと言い過ぎかなと思った

    この本は雑誌連載をまとめた為か同じ内容が何回か出てくる
    最初にノイマンの人生のアウトライン
    後はノイマンを中心に関連する人のそれまでの歩み、ノイマンとの関わり方などが分かりやすく纏められていた
    関連人物の話が長いなと感じる所もあったけど、それがあったからその人の考え方や行動が理解出来たんだなと思った

    原爆の投下場所を日本人に1番精神的ダメージを負わせられる京都にする案を推していたエピソードが何回も出てきてこういうところが悪魔としているんだなと思う。しかし、理由は戦争を早く終わらせる為なので、どっちが良いか一概に言えないなと感じた。日本人としてはまず投下してくれるなよと思うけど、一億総突撃を考えていた当時の雰囲気のなかでは仕方ないのかなとも思う

    天才具合が規格外すぎて、ゲームやったらおもんないくらい無双しててびっくりした。天才やけど人間味を描かれていてよかった。

  • すごい人間がいたものである。その当時のヨーロッパの教育に関する考え方が現代も生きている。日本人は平均的になろうとするので大きな違いがある。自分もそうである。同質化しようとする。

    〇ノイマンは、「歴史的文化的価値が高いからこそ」京都に原爆を投下して日本人の戦意を喪失させ、一刻も早く戦争を終わらせようとした。
    〇彼は、睡眠時間を四時間と定め、残りの二〇時間を「楽しいことに使う」と決めていた。その「楽しいこと」の大部分は「考えること」であり、残りが、一流レストランで美食を楽しみ、ベルリンのキャバレーで飲むことだった。
    〇君と僕は趣味が似ている。たとえば君も僕もワインが好きだ。さて、結婚しよう。
    〇ノイマンは、それまでに読んできた膨大な書籍の知識によって、ニューヨークやワシントンのいかなる美術館、博物館や名所旧跡に行っても、学芸員や歴史学者以上の見事なガイド役を務めて、マリエットを感激させた。
    〇フレクスナーの基準によれば、医科大学は、教養課程のある大学に直結し、さらに付属病院を完備していなければならない。
    〇大学で授業を担当するようになってから、ノイマンは、常に上下揃いのスーツを着て、胸ポケットにはハンカチを覗かせていた。
    〇彼は、「アルゴリズム」と呼ばれる命令の集合を構成し、このアルゴリズムを一定の規則に基づく記号列に置き換えて、計算あるいは思考する理想機械「チューリング・マシン」を想定した。
    〇ウィーナーは、ノイマンと違って、他者の理解や認識について推量できないタイプの天才だった。
    〇ウィーナーは、制御工学と計算機科学に神経生理学や情報科学の専門家を集めて、通信と制御をしようとした。
    〇操る「サイバネティックス」(cybernetics) と呼ばれる学問分野を創始した。
    〇ラッセルは、一九四八年五月には、次のように述べている。 「ヨーロッパがソ連に侵略されると、被害は甚大であり、仮にその地を取り返したとしても、決して元の状態に戻すことはできないだろう。知識人は、北東シベリアか白海沿岸の強制収容所に送られ、過酷な環境で大多数は死亡し、生き残った人間がいても、もはや人間性を失った動物にすぎなくなるだろう(ポーランドの知識人がソ連に何をされたか、思い起こして)。
    〇そこでノイマンは、「すべてを、機械が得意なことと人間が得意なことに分けるのが、今後のために最良の手段です」と、未来を見通して語っている。
    〇ノイマンの思想の根底にあるのは、科学で可能なことは徹底的に突き詰めるべきだという「科学優先主義」、目的のためならどんな非人道的兵器でも許されるという「非人道主義」、そして、この世界には普遍的な責任や道徳など存在しないという一種の「虚無主義」であった

  • フォン・ノイマンは量子力学の数学的な定式化,ゲーム理論の創設,現代型の計算機の提案といったいくつかの分野で20世紀の科学に偉大な貢献を残した天才数学者である.原爆の開発にも寄与しているためか日本では(あまりいい意味では)それほど有名ではないかもしれない.
    本書によるとフォン・ノイマンは形而上学的な議論はきらいで,科学者はその成果物が人間社会に与える影響について無責任であってよいと考えていたようだ
    「〇〇の哲学」というより,単なる伝記を読んでいるようであった.

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著者プロフィール

國學院大學教授。1959年生まれ。ミシガン大学大学院哲学研究科修了。専門は論理学、科学哲学。著書は『理性の限界』『知性の限界』『感性の限界』『フォン・ノイマンの哲学』『ゲーデルの哲学』『20世紀論争史』『自己分析論』『反オカルト論』『愛の論理学』『東大生の論理』『小林秀雄の哲学』『哲学ディベート』『ノイマン・ゲーデル・チューリング』『科学哲学のすすめ』など、多数。

「2022年 『実践・哲学ディベート』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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